5暁(2)
「え?」
少し撫でたら突然両腕をつかまれた。え?なに?顔をお腹にグイグイ押し込まれた、迷って心細かったのかなと思いきや突然ドヤ顔を決めてきた、いや色んな角度からドヤ顔決められても解らないからね?ちゃんと喋ろうね?
そんなこんなで解らない表情を見せたら向こうも気づいてくれたらしい、懇々と自分が来た理由としようとしていた事を説明してくれた…いやそれでもなので虜になって下さいはないでしょ、これで虜になったらプライドあたりが色々と傷つくから無理。
でも僕を虜に出来なかったら成人式が上手くいかないらしい、正確には眠らせて悪夢を見せる段階まで行かないといけないそうだ、それで僕に何のメリットがあるのか聞いてみたところ「他のサキュバスと違って有意義な悪夢を見せる事ができます」と返してきた、細かく言うと彼女が予見した悪い未来を見せて、それが起きる前に解決する策や回避する方法を考える事ができるらしい、「別に身体のあれこれをやるのが恥ずかしいからとかじゃないし…」と顔を真っ赤にして言っていた。
とりあえず答えは保留にして「今日はもう遅いしこれを持っていくと失敗だとは言われないよ」と言って瓶詰めのミルクをあげた。「うん…頑張る」と言って自分の体と手に握っているミルクを交互に見ている彼女はもしかしたら別の意味でとってしまったのかもしれない、涙目のまま空高く飛んで行った、もっと丁寧に扱うべきだったかなーと思う反面、あれはいったい何だったんだろうとも思いながら再び月を見上げた。