3
「入ってきましたお城の中―!」
今認識阻害で皆に自分の存在を隠しているけど念には念を入れてテンションを上げるのも小声で抑えた、おっとあそこに人が沢山いますね!見に行きましょう!
「誕生日おめでとうございます、暁様!」
「ありがとうございます。」
「どきなさいブス!爵位が低い者が気安く近寄っていい方ではなくてよ!」
「私の間違いでなければあなたの爵位の方が低いんではなくて?」
「私は暁様に好かれてるからいいのよ。」
「は?誰が誰を?」
…珍しくも自分の色仕掛け戦術に自信を持てる会話が聞こえてきた、しかし今どう返せばいいか分からず苦笑いを続けている人は色んな女の人に気に入られているのだけは分かった。それならば自分も気に入るかもしれない、大人の忠告も成人式の事も忘れてその人の周りに人がいなくなるのを待った。
周りに誰もいなくなって溜息をついた男性の手の形はパーだったので認識阻害を解いてチョキを出しながらじゃんけんぽんと早口に言いながら男の元へ急接近した。
驚いている男の手の形がグーになっていた…
お互い固まったまま数秒が過ぎた後、男が気まずそうに話しかけてきた
「あの…誰ですか?」
「ラズリだよ…慰めて…」
「いや、そうじゃなく..ってえ?」
「じゃんけん負けたことないの、勝てると思ったの、自信なくしそうだから慰めて。」
「…」
「…」
仕方ないと半端諦めた表情で撫でてくれた、うん…悪くない力加減だ…
「ラズリのじゃんけんすごかった?強かった?かっこよかった?」
「えっと…うん凄かったよ。」
この男を気にいった気がする、早速虜にしよう!
抱きつくのはまだ恥ずかしいから代わりにこの人の両手を持ち、キスするのはもっと恥ずかしいから頭でお腹にぐりぐりしてみる、ちゃんと力加減もしている、最後に魅惑させる顔も使って自分の女子力を最大限に活かす、これで完璧のはず…ってあれ?気のせいでなければ何しているのか解らないという顔をしているぞ?そんなバカな…