31春香
「友達を助けに行くだそうです。」
それを聞いたギルマスは私の気持ちを代弁するかのように肩をがっくりと落とし一つ溜息をした。
「昔はあんなに憶病だったのにな。」
「ほんとですよねー。」
ユウの両親はギルマスのパーティーメンバーだった。冒険中に事故に巻き込まれてギルマスをかばって死んでしまい、取り残されたユウをギルマスが養子に引き取った。ユウはギルマスの背中を見て育ち、未来絶対にギルマスのようなかっこいい冒険者になってみせると息込んでいた。
でもいざ冒険者になると自分の両親がモンスターに殺されたのを思い出して上手く戦う事が出来なかった。冒険者になったばかりのユウは毎晩こっそり泣いていた。私は隣で泣き止むまで黙って待つ事しか出来なかった。
それから3年経って憶病なユウもCランクの冒険者になった、自分より弱いモンスターなら戦えるようになって前よりは頼れるようになった。ユウに自信を付かせるため私は冒険者になりたての人達の護衛を任せた。後輩を守る事で自信に繋がっていくと思ったから。
ところが今回は強い怪物に当たってしまったらしい。後輩からは感謝されていたけどとても辛そうだった。昔と同じように夜に泣き出してしまった。どうやら最初にB+の怪物に当たってしまって逃げてしまったらしい。ユウの安全の方が大事なんだから逃げたのは逆に嬉しかったんだけどな。「春香に守ってって言われたのに後輩を見捨ててきちゃった…」って言ってたけどその後ちゃんと助けてあげたじゃない。
昔のように塞がってしまったユウをどうやって元気づけようか悩んでいたある朝、勤務中だったはずの同僚が走って来てユウがブラッディサイスの者に弟子入り志願していると告げてきた。一緒に走っていったらもうギルドにユウの姿がなかった。泣きそうになるのを堪えてギルマスに報告をしたらギルドの皆がユウを探してくれた。ユウは見つからなかった、行方不明リストに入れられて捜索を続けられたが全然見つからない。
吸血鬼の真祖に直接訴えてみた。向こうはどうしていいかわからない表情をしていたがユリアの名前を聞いた途端顔が真っ蒼になった。こっちは役に立たないかもしれない。ユウの行方不明から1か月程経ったある日、天魔族が似た人をライラという国で見かけたと言ったがギルマスはありえないと切り捨てた。その国は人間が行ける場所じゃないらしい。
皆が捜索を諦めたある日、ユウは珍妙な格好をして帰って来た。元凶の三人がワクワクしながら後ろで控えている。玩具の剣を振り回して遊んでるけどもしかして本物のユウ?私は混乱が解けないままだったけどギルマスは茶番に付き合いきれずにユウ以外の遊んでる人達を追い出した。
ギルマスは帰って来たユウと話すのを聞いてあの三人に毒されたなと思っていたら外の様子を見てくると言ってきた。衝撃波を起こしてダッシュしていったのをギルマスと共にユウの向かった先を聞きながら追ったらユウがケガした子供を連れてきた。後からユウが巨大のモンスターを倒したのが町中に知れ渡った。いやいや何の訓練してきたらこうなるのよ…
ユウの急成長に驚きが止まらないままユウはまた旅に出ると言ってきた。友達を助けに行くって…あなた友達なんてこの町の中以外にいたの?
「裕赦が町の中で倒したモンスターはSランクだったらしい。」
「ええ!」
Sランクのモンスターは一体で町を破壊できる程の強さがある。
「素手で二体共一撃で仕留めたそうだ。」
「はぁ…」
どうしてこうなった。
「目撃者がかなりいる。あいつはもうこの町の英雄にされている。」
「え…」
「その英雄がすぐに旅に出てしまったんだが。」
「うん。」
「どうしよう?」
「私に聞かれても。」
「「…」」




