2村長レイシア
「本当に大丈夫なのかしら…」
今日は村の歴史上最も厄介な人物達すら比べることのできない問題児ラズリの成人式である、問題ごとは間違いなく起きると諦めているが出来るだけ大ごとは避けてほしい。
ラズリの見た目は銀髪碧眼の美少女だ、ほぼ無表情で神々しささえも感じさせる、その見た目はどんな種族や性別だろうと一目惚れしてしまうだろう、女を見飽きた吸血鬼の真祖でさえも多少は心動かされるかもしれない、その見た目で自信を無くしたり嫉妬したりしたサキュバスもかなりいる。
しかし問題は見た目より性格とその力である、村の外にでたこともないのに妙に博識で頭がよく天気や災害、さらに人の行動を予測する事ができ、外で何が起きているのか誰よりも知っていた、彼女曰くすごく頭がいいかららしいが明らかに何か隠している、この前村を荒らしに来た竜人の心臓を笑顔で会話しながら抜き取っていた、最強の種族でも弱い子は弱いからと血だらけになりながら何事もなかったかのように言っていた。
それだけ聞くと怖くて仕方ないがかわいい所もある、人見知りな子ではあるが心を許すようになるとなついてくる、無表情でも綺麗だが笑うとこっちの表情が崩れるぐらいにかわいい、学校で習った色仕掛けは恥ずかしくて出来ないらしいが成人式では持ち前の美しさで何とかしてやるといきこんでいた、昨日の夜軽く撫でたら笑顔になって学校で習ったという魅惑的な表情とやらを披露してきた、ドヤ顔にしか見えなかった、最後に「わーい!成人式絶対に成功させるよー!」なんて言ってはしゃいでいたから「落ち着いて学校で習った手順で頑張るんだよ。」であきらめ半分で返したら案の定全然聞いていなかった...。
成人式前にすでに何度も言ってきたけど、今朝念押しにもう一度「吸血鬼の真祖ラファエルの誕生会が城で開かれる、吸血鬼はサキュバスが嫌いだから極力近寄るな、へたしたら殺されるぞ。」と言ったら満面な笑顔で「はーい!」とそれはもう元気よく答えられた、不安で仕方ない。