第4話 悪霊の長
ユウヤたちに敵対する存在、前話までの奇妙な影として登場していた奴がついに登場
「今日は1人かぁ……」
ユウヤは大きくため息をついた。この日はユミもユウカも用事があり、ユウヤは1人で見回りをすることになっていた。
(いつもは少し騒がしいくらいなのに……今日は本当に静かだ……。なんか、寂しいかな……)
「おや、少年……今日は1人かい?」
不意に、後ろから声がして思わずユウヤは振り向いた。
「……えっ?誰だ?」
(だ、誰もいない……一体今の声は……)
「こっちだよ、こっち」
向き直ると、そこにはシルクハットをかぶり、奇妙な笑顔のようなお面を付け、真っ黒なマントに身を包んだ男が立っていた。
「うわっ!?」
(後ろから声がしたのに……いつの間に前に!?)
「驚かせてしまったかな……?えーと、たしか……ユウヤくん」
(名前を知ってる……?レーダーが急に反応を始めたぞ!?幽霊なのか!?)
「あんた、誰だ?幽霊なのか?」
ユウヤは内心震え上がっていたが、恐れている様子を見せずに聞いた。
男は答える。
「……私は、悪霊の長。悪霊共の上に立つものだ。ずっと君のことは見てきたよ」
「!?悪霊……の、長!?」
(悪霊……本物か!?それに、上に立つものだって!?どうしてユミもユウカもいない時に……!)
「話をしようじゃないか、ユウヤくん。……場所を移そうか」
真っ暗な路地裏、チンピラやホームレスなんかがいる訳では無いが、陰鬱な空気が流れている。
(レーダーがあの男に大きな反応を示している……一体あいつの正体はなんなんだ!?)
「話って、なんなんだ?」
「単刀直入に言おう、私は君が欲しい」
「……は?」
(な、何を言っている……?僕が欲しい?わけがわからないぞ……)
ユウヤは冷や汗を垂らした。目の前にいるのは自分の命を脅かしかねないもの、そいつが自分を欲しがっているその状況が理解出来ず戸惑っていた。
「君は素晴らしい霊力を持った生者だ……君のようなものが駒となってくれるか、あるいは糧となってくれるなら……とても嬉しい」
「駒?糧?……僕を利用するつもりか?」
「そうだね……君に霊になってもらえば、駒として使える。死んでみる気は無いかい?」
(こいつ……!!)
寒気がユウヤの背骨を突き刺す。目の前にいる『悪霊の長』と名乗ったそれが、自分に死ぬことを提案していることが恐怖でしかなかった。
「し、死ぬつもりなんてないね。なんで僕が死ななきゃならないんだ」
『悪霊の長』は残念そうなポーズをとり、こう言った。
「なら、君には糧になってもらおう」
その瞬間、『悪霊の長』はユウヤの目の前、約50センチメートルまで移動していた。そのまま手刀を繰り出した。
(は、速っ……)
ユウヤはギリギリでかわしたものの、手刀は首を掠めていた。
「ほう、中々いい反応をするな。これもその霊力がかなせる技か……な!?」
ユウヤはポケットから吸魂札を取り出し、『悪霊の長』の胴部に貼り付けた。無意識だった。
(頼む……効いてくれ!)
「どうだ!こいつはお前に効くのか!?」
『悪霊の長』は少しふらついた。
「吸魂札か……!やってくれるな少年!……フッ、また会おう!!」
「……消えた……」
『悪霊の長』は何処かに消えていった。それは、いつもの幽霊の成仏とは異なり、『逃げられた』という感じだった。
次の日、ユウヤは事の顛末をユミとユウカ、そして死神に話した。ユミとユウカは全く知らないという風で、死神すらわからないと言った。
「はぁ……悪霊の長って……一体何者なんだ……」
「ま、無事でよかったよ」
「そうそう、命があってよかった」
ユミとユウカはユウヤを励ますようにそう言った。
死神は、去り際にこう言い、ユウヤにある物を渡した。
「今度そいつに会ったらそれを使うと良い、きっとそいつの正体に近づけるはずさ」
それは、長い棒の様なものだった。
「そいつで面を叩き割るといい、特別な棍だから霊の物にも干渉できる」
「……しかし、悪霊の長か……まさか、ね……」
死神は、ユウヤたちに聞こえない程度にそう呟いた。
悪霊の長は身長185センチメートルくらいでマントはぐるっと体を覆っていて体がどうなってるかわからない感じです
声は渋い方がいいと思います