おや…アドルフのようすが…?
「雨…か…」
梅雨も開けたと言うのにこのじめっとした空気はどうにも慣れることが出来ない
「兄上…」
ふと、最近家族に加わった弟に話し掛けられた
弟の水槽は私の隣にある
なんでも、私が間違って補食しないようにだそうだ
人をなんだとおもっているのだろうか…
弟は、私の名前がヨーロッパ風の名前だからと言うことでカミーユと名付けられた
弟は名前を貰ったことが無いそうだ
とても喜んでいた
「どうした…カミーユ」
「兄上…今日の昼食ですが…」
「ほう…どうした…」
「これを…」
カミーユが示す方向を見ると、ラップにかけられた昼食が見えた
む?なんだこれは?
何時もであれば私たちに誂えて小さく用意されていた昼食が、今日に限って人間のサイズで用意されていた
「むう…?これは一体…」
「兄上…このような手紙が…」
「手紙…?」
どうやら、家主の一人の゛ねーさん゛からであるようだ
「いい加減…小さく用意するのが…面倒に…なった…これを飲んでから…昼食を取りなさい…あと…写真を送ること…」
なんのことであろうか?
手紙には小瓶が二つくくりつけられていた
はて…?
「兄上…如何…しましょうか…?」
「仕方あるまい…その小瓶…飲んでみるしか無かろう…」
嫌に毒々しい色の小瓶を掴み、栓を抜いてみる
「ほう…なかなかに…芳しい…」
「この…匂いは…私には…」
「ふふ…まだ子供であるからな…弟は…」
このような小さい成りで私と対等に会話できるだけでも、弟は頭が良いと言えよう
弟から「私は…これで…大人です…」やら「兄上と私は…年が…変わらないのでは…」やら聞こえるが、気のせいであろう
一口、あおってみる
途端にミントの爽やかな香りと鮮烈な刺激が伝わってくる
なかなかに旨い
「カミーユ…お前も飲んでみろ…」
と、声をかけた所で私の意識はブラックアウトした
そろそろお約束を実行せねば