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地獄の人形使い  作者: 零-Rei-
第三章 呪いの人形館
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深く暗い闇をイメージさせる漆黒の背景。


その一番上には血のように赤い文字で"呪いの人形館"とサイトのタイトルがデカデカと表記されている。


そして、その下にはフランス人形の画像。


金髪、碧眼(へきがん)、ふくよかな丸顔、フリルで飾り立てられたピンクと白を基調とした可愛らしいドレスを身にまとった、そのフランス人形は、しかし、とても普通のフランス人形とは言えなかった。


それは、そう、まるで、人の生き血を全身に浴びでもしたかのような血染めのフランス人形だったのだ。


じっとりと血を吸って、真っ赤に染まっている。


僕はゴクリと生唾を呑み込んだ。


ゾクゾクと得体の知れない寒気が背筋を()い上がってくる。


僕は、思わず、プルプルッと震え上がった。


なんと気味の悪い画像なのだろうか。


見ているだけで気分が悪くなってくる。





そうして、そのまましばらくその画像にじっと見入った後、ふと我に返ると、僕はようやく画面をスクロールし始めた。


画面がゆっくりと流れ始める。


すると、続いて、現れたのは管理人自身が自分で書いたと思われる文章だった。


タイトルと同じように血のように赤い文字で書かれている。


"こんにちは、このサイトの管理人で、地獄の人形使いともうします。


私は、黒魔術を使って、あなたに代わって、あなたの恨みを晴らします。


特に、理不尽に(いじ)められているあなた、力になります。


あなたの名前、相手の名前、詳しい事情等書いて、メールをください。


相談、呪いの代行ともに無料です。


お気軽にどうぞ。"





僕はスクロールする手を止めた。


じっと携帯の画面を見つめる。


「無料か・・・」


僕はポツリと呟いた。


そう、この手のサイトでは呪いの代行をする代わりにいくらかの料金をいただくというシステムが普通なのだが・・・。


珍しいな。


どうやら、このサイトは詐欺や営利を目的とするサイトではなさそうだ。


そうして、そんな事を考えつつ、僕は、再び、画面をスクロールし始めた。


次いで、承諾事項が現れる。


これは特に読む必要はないだろう。


飛ばして、先を急ぐ。





すると、次に現れたのは連絡用のメールアドレスだった。


"地獄の人形使いにメールする"


と、ある。


好奇心に駆られた僕はさっそくそのメールアドレスをクリックしてみた。


すぐにメーラーが立ち上がる。


そして、そのままメーラーでメールアドレスを確認してみると、


"Shimuka1993××××××"


と、あった。


この1993というのは生年月日なのだろうか?


もし、そうなら、ここの管理人は、まだ高校生という事になるが・・・。


まぁ、いい。


僕はとりあえずそのメアドを電話帳に登録した。


登録名は"地獄の人形使い"だ。


いつか何かの役に立つかもしれない。





そうしてさらに画面をスクロールしていく。


すると、次に現れたのは著作権表示だった。


"呪いの人形館(C)"


と、ある。


どうやらこれで全部のようだが・・・。


あれ?


僕はふと首を傾げた。


何かが気にかかる。


いったい何だろう?


そうか・・・。





普通、この手のサイトには依頼人からの感謝の声を紹介するコーナーが必ずといっていいほどあるものなのだが・・・。


しかし、この"呪いの人形館"にはそれがないのだ。


もちろん、依頼人からの感謝の声とはいっても、新しい依頼人を獲得するために、管理人が自ら自作自演したものがほとんどなわけだが・・・。


やはり、このサイトは詐欺や営利を目的とするサイトではなさそうだ。


そうして、そんな事を考えつつ、僕は、今度は、逆方向に画面をスクロールさせていった。


再び、あの血塗りのフランス人形の画像が現れる。


僕は、もう一度、その画像をじっと凝視した。


しかし・・・。


何度、見ても、不気味な画像だな。


見ているだけでゾクゾクと寒気がしてくる。


と、その時だった。





ルル ルル ルル


携帯の着信音が鳴り始めた。


ルル ルル ルル


急いで、ブラウザを閉じ、電話に出る。


「もしもし、久遠ですが・・・」


「あっ、優輝さん?


月島です」


「あぁ、冬子さん。


どうも」


電話の主は僕の仕事上のパートナーの冬子さんだった。

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