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黒い背景に小さな赤い文字でびっしりと承諾事項が書かれている。
僕はそれを頭から丁寧に読んでいった。
しかし、それは、まぁ、よくある普通の承諾事項だった。
取り立てて変ったところは何もない。
が、とにかく、何も考えず、読み進めていく。
そうして、そのうち、その中程まで読み進めたところで、僕は、思わず、画面をスクロールする手を止めた。
握り潰さんばかりに強く携帯を握り締めながら、じっとある承諾事項の一節を凝視する。
これは・・・。
僕は、思わず、ゴクリと生唾を呑み込んだ。
"第13条 料金その他
呪いの代行の料金は無料です。
ただし、必要経費として、あなたの命をいただきます。
これは主に生贄として使用されます。"
そう言えば・・・。
田中さんが、黒魔術の儀式においては、悪魔と契約する際に、その対価として、必ず生贄が必要になると言っていたな。
そんな事を思い出しつつ、じっと承諾事項のその一節を凝視する。
それから、しばらく、そうしていた後、僕は、ようやく、我に返ると、再び、画面をスクロールし始めた。
とにかく、一度、最後までこの承諾事項を読んでしまおう。
この一節について考えるのはそれからでも遅くはないだろう。
そうして、僕は、再び、承諾事項を丁寧に読み進めていった。
"この承諾事項については、呪いの代行を依頼するメールを送られた後、私が呪いの代行を承諾した時点で、承諾されたものとみなします。"
これで全部だ。
僕はようやく最後まで承諾事項を読み終えた。
が、残念ながら、結局、あの一節以外にこれと言って不審な条項は見当たらなかった。
僕は携帯を開いたまま机の上に置いた。
とりあえず忘れないように要点をメモしておこうか・・・。
そんな事を考えながら、イスから立ち上がり、ベッドの上に放り投げてあったショルダーバックの中から愛用の黒塗りの手帳を取って、戻ってくる。
それから、僕は、再び、携帯を手に取ると、問題の承諾事項の要点をメモし始めた。
しばらくその作業に熱中する。
やがて、ようやく、その作業が終わると、僕は静かに手帳を閉じた。
思わず、小さなため息が一つ漏れる。
さすがに疲れたな。
そうしていると、やがて、
ルル ルル ルル
ルル ルル ルル
と、携帯の着信音が鳴り始めた。




