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ピンポ~ン
僕は玄関のチャイムを鳴らした。
しばらくそのまま待つが、返事がない。
ピンポ~ン
僕は、もう一度、チャイムを鳴らした。
ややあって、ようやく、ドアの向うから、パタパタと誰かが走ってくる音が響いてくる。
そうして、それから、すぐに、ガチャリとドアの鍵を開ける音が響いたかと思うと、ドアが少しだけ開き、中から四十代前半くらいのショートカットの女性が顔をのぞかせた。
すぐさま礼儀正しく挨拶する。
「あっ、初めまして、久遠優輝ともうします」
「初めまして、月島冬子ともうします」
「あっ、どうも、山村さおりの母です。
ちょっと待っててくださいね。
今、チェーンを外しますから・・・」
そうして、そう言うと、お母さんは、いったん、ドアを閉め、チェーンを外すと、再び、ドアを開け、僕達を家の中へと招き入れてくれたのだった。




