第七話 盟友
「やっと、やっとだ…………これで僕は――最強の神になれる!!」
今まで冷静沈着だったクロノスが、不気味な笑みを浮かべていた。
「!?」
「!?」
その姿を目にしているアキレスとガイアは、味方でありながらも驚きを隠せないでいる。
「おい、どういうことだよ!?」
アキレスがクロノスに問いかける。
「俺はこうなる日をずっと待っていた! カオスをわざと泳がせ人間のこいつに力を分け与えるのを待った甲斐があった! ガイア、お前のおかけだ」
敬語を使わず、一人称が俺。
クロノスが一瞬にして別人のようになった。
「…………何なんだよ」
ガイアは得体の知れなくなったクロノスに恐怖を感じた。
「おーい、俺が関わる話で俺抜きに話を進めないでくれ」
禍々しい雰囲気の中、平常運転な鋭太郎が言った。
「随分と強気だな。その余裕はどこから出てるのか」
クロノスは鋭太郎の頭を掴み、持ち上げた。
「念のため聞くぞ少年。お前はカオスから力を得たのか?」
「そうだけど、何か」
鋭太郎はクロノスの問いにさらっと答えた。鋭太郎は無駄に余裕をかましていた。ガイアに捕らわれたときとは大違いである。
「フフ、そうか――」
クロノスが気味悪い微笑みを浮かべると、唇を舐めた。
「なら、少年を食べることにするとしよう」
「!?」
「!?」
「!?」
クロノスの言葉にアキレス、ガイア、遠くで聞いていたカオスが驚く。
「……お前ホモだったのか!?」
鋭太郎は別の意味で驚いていた。
「比喩ではないぞ少年。フライドチキンを貪り食うように、お前も俺の胃の中に入れてやる」
「フライドチキン!? 焼いて食うのか!?」
「っ!?」
鋭太郎の舐めきった態度にシビれを切らしたクロノスは、鋭太郎の頭を地面に当てた。勢いよく当てたが、鋭太郎は平然として無傷だった。それを見たクロノスは感心する。
「素晴らしい……神の力を分け与えられたとはいえ、死なないように手加減したとはいえ、俺の力で傷を与えられないとは」
「いや、普通に痛いから。頭割れそうだ」
「…………はぁ」
クロノスは怒りを一気に通り越して、呆れた。
「本当なら生きたまま食するのがベストだが、食っている際に変なこと言われると食欲をなくすかも知れない。仕方ない、殺すとするか」
クロノスは右手を上に構え、素早く下ろし指先で鋭太郎の首を突き切ろうとした。
「何考えてんだよバカ!!」
ガイアが突如焦るように言った。
クロノスは右手を寸止めし、後ろを向く。
「っ!? なぜ!?」
クロノスの不意をついて攻撃を仕掛けてきたのは――アキレスだった。
クロノスは咄嗟に襲いかかるアキレスの右拳を右手で弾き、アキレスの腹に蹴りを入れる。
「ぐっ!!」
アキレスは後ろに押されるも、両足に重心を乗せ踏ん張った。
「アキレス、お前は何を――ハッ!」
クロノスはアキレスが攻撃してきたことに疑問を抱いている間に、別の問題が発生することに気がついた――が、既に時遅かった。
鋭太郎が力ずくで鎖を解き、クロノスの脛を蹴った。
「っ!」
不意に足をすくわれたクロノスは前に倒れる。鋭太郎は地面に着く前に左手でクロノスの腹を殴った。
「んぐぁ!!」
クロノスは空高く飛ばされた。
「!?」
鋭太郎は驚いた。
鋭太郎が驚いた。
強く拳を入れたとはいえ、まるでバトル漫画に出てくるモブ敵が主人公に殴られた時のように、あっさりと飛ばされていった。
人間に化けたとはいえ相手は神。そんなことがあっていいのか。
夏織に力を分けられたとはいえ、神を簡単に吹き飛ばせるとは、鋭太郎も考えてすらいなかった。
クロノスは体勢を整える様子も見せず、背中を地面に強くぶつけた。校庭の地面は今、ガイアの能力で草原と化しており、砂が土に変わったため、そこまで痛くはないだろう。
「クロノスを吹っ飛ばせるってことは、やっぱお前はただ者じゃねえ。力比べならトップクラスの神と互角に並べそうだ」
アキレスが敵であるはずの鋭太郎に、近づきながら馴れ馴れしく話した。
「そうか? あいつは参謀向きって気がするが」
鋭太郎が立ち上がりながら言った。
クロノスも後に続くように立ち上がる。鋭太郎から貰った拳の痛みが残っており、フラフラとしていた。
「参謀……向きだとッ……!?」
「ん?」
「そう見えるのか……この俺がッ……!?」
「見た目で決めるのは良くないと思ってるが、なんか優しいクール系っぽくて真面目にみえたから――」
「いい加減にしろ!!」
クロノスが声を張り上げ言った。きっとクロノス以外にも言いたかった奴もいるだろう。
「この俺は神衛部隊のトップ3(スリー)だぞ! 未知の力を得てイキっている人間如きが俺を侮るな!!」
「秋葉、神衛部隊ってなんだ?」
「人間世界で言う軍隊だ」
鋭太郎がアキレスに聞くと、わかりやすく返ってきた。
「普通に軍って言った方が早くないか?」
「アイテールの野郎が付けた名だ、知ったこっちゃない」
「!? おい、アキレス……今お前、アイテール様を野郎などと!!」
クロノスは、アキレスがアイテールを侮辱したことに驚き、更に怒りが増した
「もういいだろ? お前さっきのでわかってんだろ?」
「……アキレス、まさか!?」
アキレスがお前呼ばわりしたことにも、クロノスは驚きを隠せなかった。
クロノスはガイアの繋がりもあってアキレスとも信頼関係を築いてきた。アキレスは目上のクロノスに対しても口は悪かったが、これまでに『お前』などと舐めた呼び方をされた覚えはなかった。
「アキレス……冗談……だよね…………?」
ガイアは気づいていた。信じたくない真実に。
クロノスも薄々わかっていた。
「今日から俺は、カオス側に付くことにした」
「ぇ?」
遠くから見て聞いていた夏織が、耳を疑った。
思いもしなかったのだ。自分を追う者が、守る側に寝返ることに。
「どういうことだ! 貴様が寝返っても何も得られんぞ!」
焦燥に駆られるクロノスが言うと、アキレスは表情を変えぬまま答える。
「全くもってその通りだ。俺がカオスを守ったところで何の利も得られない。だがそれはそっち側でも変わらねえことだ。今思えば報酬について何にも話してくれないしな。それに神の掟だの何だの、理不尽さに最近気づき始めたからな。カオスたちとともにお前らに対抗して、いっそ神の掟を変えてもらおうかと。そうすればカオスだって――」
「は? 意味わかんない…………」
アキレスの話に、ガイアは理解出来ずにいた。
「あんたが任務に行きたくなかったのも、掟に不満を持っていたことも全部知ってる! それなのにどうして!? 妹を人質に取られてること、忘れたって言うの!!」
「…………」
アキレスはガイアの方を向き、切ない目でじっと見つめた。
「何か言ったらどうなの?」
シビれを切らしそうなガイアが催促すると、アキレスはため息を吐く。
その後、アキレスは悲しげに下を向き、ズボンのポケットからスマホを取り出して使い始める。
「何やってんの? こんな時に」
ガイアの怒りが爆発しそうになる。アキレスはそんな彼女を気にせず、スマホの画面を見せた。
「――――――――――嘘でしょ?」
画面の『何か』を見たガイアの顔が真っ青になる。
「うっ、ぶぉふぇ!!」
ガイアが突然膝を落とし、嘔吐し始めた。
「おい! 何を見せ――っ!?」
クロノスが言い終える前にアキレスがスマホの画面を見せた。
画面の『何か』を見たクロノスは、口に出す言葉が思い浮かばなかった。
※
話は夏織がクロノスと戦闘していた頃に戻る。
「俺を、仲間にしてくれ!!!」
「………………………………………………………………え?」
人気のない、古びた建物が並ぶ空き地にて、鋭太郎はアキレスの信じがたい要求に戸惑っていた。
「いや待て、なぜそうなる? 今の流れなら『妹のために、カオスを差し出してくれ』って言うんじゃないのか、普通」
「もうカオスはどうでもいい。俺がカオスを連れ戻しても意味がなくなった」
アキレスは土下座の状態で動かないままだった。
(アキレスの心情は確かなものと見れるが…………)
「妹はどうする? あんな話聞かされたら、敵である俺も黙っていられない」
「…………」
「……嘘だった?」
「違う、本当に妹はいた」
「いた?」
アキレスの言葉が過去形だったことに、鋭太郎は嫌な予感が頭をよぎる。
アキレスは正座を保ったまま、ズボンのポケットからスマホを取り出し、一枚の画像を見せてきた。
「っ!?」
画像を見た鋭太郎は尋常じゃない吐き気に襲われた。
金髪ツインテールの少女――アキレスの妹が台の上に仰向けに横たわっている。
両手足に錠が連れられ自由が奪われている。
両目がえぐり取られ、地面に落ちている。
右手の親指が砕かれ、それ以外の指は第二関節から上が切断されている。
腹が切られ胃、小腸、大腸が飛び出ている。
左胸に穴を空けられ、その心臓は謎の男が素手で持っていた。
その男はカメラ目線で、ニッコリと満足げな顔で笑っていた。
「これは…………!?」
鋭太郎は本能的にくる吐き気と、なぜより効果的にアキレスの心をえぐる動画で送ってこなかったのかという思いを抑え、声を出した。
「してやられた。俺がしくじったからな……」
「いや、まだお前失敗も何も――」
「お前が、カオスの好きな人であると特定が着く前の話だ」
アキレスが突然、昔の出来事を話し始める。
「相変わらず生意気なガイアと喧嘩し、一時的に別行動を取ってたときのことだ。俺は偶々、一人だったカオスを発見した。ガイアが駆けつけるまで見張るつもりだったが、偵察任務が大の苦手な俺はしくじって、カオスにバレた。無論、流れるように戦闘するハメにな」
「…………」
鋭太郎は黙ってアキレスの話を聞いていた。
「めちゃくちゃ強かった。シンプルに力強い、チートレベルだ。だが一つだけ、戦ってわかったことがあってな。カオスは必死なんだ……愛する人に会うため、話すため、思いを伝えるため。妹のために戦っている俺と、なぜか同じような気がして」
(そうだよな……俺のことだけに夏織は体張ってるんだよな)
「その戦いで俺は、奇跡と言っていいだろう…………カオスに勝った」
「!?」
アキレスの話に鋭太郎は驚く。
(えっ、じゃあ本当ならこの時点でカオスは連れ戻されてるのか!? でも今もこの世界にいる。どうして…………?)
「俺もボロボロで、気を抜いたら倒れそうだった。カオスは立てない状態だったが、口から血を吐いてでも、這いつくばってでも俺に立ち向かおうとした――――」
◇
夏織と鋭太郎が出会う、三週間前の話――
時刻は深夜2時。
「はぁ……はぁ……」
人気のない川沿いにて、アキレスと夏織が戦闘を繰り広げていた。
とはいえ、戦いは既に終盤。互いに大量の血と汗を流し、息を切らしていた。
夏織はうつ伏せに倒れており、アキレスは両足でなんとか立てている状態であった。
「ぅぅ」
夏織は瀕死の体を地に這いずらせ、まだ戦う意思があると言わんばかりだった。
「もうやめろ! 俺たちはお前を殺すつもりはない!」
「うぅぅ……ぅうぅ…………!」
アキレスはもうこれ以上戦う気はなかった。上からの指示で身柄の拘束となっているからでもあるが、アキレス本人の意思で、夏織を殺したくなかった。
しかし、夏織は諦めまいと体を震わせながら、アキレスの方へ這い寄ってくる。
「頼む……これ以上立ち向かわないでくれ!」
必死に希ったアキレス。すると、夏織が動きを止める。
「……嫌」
「っ!?」
「嫌!! 嫌!! 嫌!! 嫌ぁ!!!」
諦めたのかと思いきや、子供が駄々をこねるように、夏織は叫んだ
「おい…………」
アキレスはどうしていいかわからず、困り果てる。
「鋭……太郎…………会いたい…………」
夏織が、大粒の涙を零し始める。
「私は…………そばにいれれば……それだけで!」
その場に泣き崩れ、もはや戦う意思など消えていた。
「……………………」
すぐにでも捕らえれば任務が終わる、絶好のチャンス。
だがアキレスは、愛する人を想って涙する夏織の姿に、無意識に涙を落としていた――
◇
「俺も甘いもんだな……涙流してお前を――鋭太郎のこと思ってるカオスに心打たれた俺は、あいつを逃がした」
「…………」
「俺は、せめてカオスを鋭太郎に会わせてから捕らえようと考えてな。ガイアには途中で逃げられたって伝えたんだが……上の奴らは甘くなかった」
「監視……か」
「あぁ、エフェクトで俺を遠くから監視してた奴がいたらしくてな、今日アイテールの親友であるエレボスから直々に電話がかかってきた」
(エレボス――暗黒の神か。神世界の方でもやはり上の存在なのか)
「電話の内容はどうでも良かった。問題はその後に届いたメール」
「それに、あの写真が…………」
「あぁ」
「…………」
「…………」
――辺りが静寂に包まれる。
雨が強くなって来たような気がした。
「俺は復讐がしたい。神世界に行けない以上カオス側について暴れまくり、アイテールの野郎直々に来させ、この手であいつを殺す!」
「…………」
「強制はしない。鋭太郎――お前の判断なら、カオスも、ニュクスも受け入れてくれるはずだ! だから――」
「何言ってんだ?」
「…………」
――やっぱり、か
アキレスは言葉を口にできなかった。
拒否されて当然のこと。アキレス本人が百も承知していたことだ。
だが――
「断る理由はないだろ」
「・・・・・・・・・・・・?!」
予想外の言葉に、アキレスは困惑した。
「俺ら『元々』似たもの通しだったじゃねえか」
「元々?」
「あぁ、今になって都合良く思い出したんだ――」
◇
一週間前の話――
「おい、弁当箱忘れてっぞ」
放課後、真っ直ぐ帰宅しようと教室を出ようとした鋭太郎に、声をかけた人物がいた。
その人こそがアキレス。
夏織が恋をした人間が鋭太郎であると突き止めたアキレスは、国籍を偽って鋭太郎と同時に高校へ入学し、監視をしていたのだった。
「あぁ……悪いな」
無愛想でありながらも、鋭太郎は律儀にアキレスの元まで歩き、弁当箱を受け取った。
「鋭太郎――でいいんだよな?」
「?」
「お前はなぜ学校に来てる? 俺が見た限り馬鹿とは思えん。早退するくらいなら学校に行く必要はねえと思うが」
アキレスが意図のわからない質問を、鋭太郎に投げる。
鋭太郎は、何の躊躇いもなく
「確かに、行く必要は無いんだけどな。マジな話、今やってる授業の大半は三年前に済ましてある。でも、学校に行かないと幼馴染みが無駄に心配するし、姉との約束だからな」
「約束?」
「時間の無駄でも、苦痛しかなくても学校には行けって。てか逆にこっちが聞きたいんだが、どう見てもお前不良だよな?」
「――あぁ、俺も行く意味は無いんだが……幼馴染みがうるさいし、妹が行けって言うからな」
「…………」
「…………」
数秒の沈黙後、二人は同時にニヤリと笑う。
「……似た者同士だな、意外と」
「まさか、お前みたいな自堕落な奴と似るとはな」
◇
「あれ以降、お前は体調不良という名のサボりで顔を合わせる機会がなかったからな」
「……なんて野郎だ。あんな下らない話を覚えているだと!?」
「俺、幼馴染みの恋侍以外ロクに話せた相手いなかったから、良く覚えてる。あれから、友達くらいにはなれるかなーって思ってた」
「友達、か…………」
アキレスは目を伏せ、微笑みを見せたかと思うと――
「アッハハハハ!!」
溜まっていたものが爆発するかのように、盛大に笑った。
「やっぱ俺らは似た者同士だわ! 俺も、お前が初めての友達ってことになるな。幼馴染みのガイアを除けば」
「なんか凄えな! 神世界の俺は秋葉だったのか!」
「それなら人間世界の俺は、鋭太郎ってことなのかよ!」
「アッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!」
「アッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!」
二人は大爆笑した。
人気のない場所だからいいも、普通であれば通行人に変な目で見られてもおかしくない程、彼らは笑っていた。
「――似た者同士、今日から俺たちは『盟友』だ。よろしく頼む」
「あぁ、お前の復讐にも協力するぜ」
アキレスと鋭太郎は、固い握手を交わした。
二人の顔はこれまでにない無垢な笑顔だった――が、
数秒後、二人の表情が一気に真剣になる。
「問題はこの後だ」
「だな」
二人は手を離し、真剣に話し合いを始める。
「学校じゃ今頃他の連中が騒ぎ起こしてんだろ?」
「あぁ、騒がしくないようにしていると思うが、今はきっと俺待ち――いや、先にカオスが着いている頃だな」
「俺たちはそれに乗っかって突入するか?」
「いや、下手に行かない方がいい。学校にはガイアとクロノス。ガイアはどうにかなると思うが、力を分け与えたカオスがクロノスに勝てるとは思えん」
「クロノス……時間の神か。マジかよ最終章辺りで出てくるラスボスの右腕並に強い奴が、第一章に出て来るのかよ……いきなり詰んだぞ。時間停止とか使われたら勝ち目ないぞ」
「いや、鋭太郎ならまだ勝てる見込みはあるぞ」
「え?」
「カオスの力を得たのなら時間停止空間に乱入できるかもしれない。いや、鋭太郎にも出来るはずだ。カオス程の神なら乱入できるからな」
「屁理屈かよ……まあ、ぶっつけ本番でやるしかないな」
「ああ。だが無防備に突入するのはマズい、何か策を――」
「そんなの簡単だろ?」
「?」
「俺を捕まえればいいだろ?」
※
「アキレスの妹は……死んだのか…………!?」
話は戻る――悲惨な姿になったアキレスの妹の写真を見たクロノスが動揺する。
「なあ、俺たちの回想長くない?」
「気にすんな」
体調を戻したガイアが、震えながらも立ち上がる。
「でもどうして? わざわざカオス側にいる必要ないじゃない!」
ガイアがアキレスに問いかけると、アキレスは少し考え、答える。
「ガイア、お前もこっちに来るか?」
「嫌だ」
アキレスはガイアをカオス側に招こうと試みたが、ガイアは即答で断った。
「あんな奴と一緒にいるくらいなら…………私は殺す! カオスも! あんたも!!」
怒りを露わにしたガイアは、剣をアキレスに向けて構える。
「どうしてお前は、昔からカオスを嫌っているのかはわからねえが」
アキレスはクロノスの方を向き、堂々と言い放つ。
「今日から俺は、カオス――いや、鋭太郎側に付くことにした!! 文句あるならかかってこい!!」
この日、神世界の英雄アキレスは、神世界の裏切り者――秋葉となった。