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森のお屋敷はちょっとおかしな

展開はやいかな?

ここは、田舎にありそうな入ってはいけない森の奥深く、ちょっと場違いなお屋敷の中。


「それで今日はぁ」


よく通る声が小さく周りをつんざく。


「ちょっとだーけ特殊なんだけどぉ」


どう聞いてもふざけてるようにしか思えない声がまたもや周りをつんざく。


「受けてもらえるかなーぁ」


うるうるおめめがちゃぶ台を通り過ぎて少女の顔へ近づいた。


「ユリンまって、もっと詳しく教えてくれないと分からないから」


うるうるおめめのヌシ、ユリンの目の前で冷めた声。


後ろの啓は、ユリンとも少女とも似ても似つかぬ真剣な表情でしっかりレオーー小型の機械を握りしめていた。


「なんとですねーぇ、依頼はダンジョン!」

宣伝のような声のトーンで、少女にせまる。


鼻と鼻が触れ合った状態で、電気が漏れた。


「……ほぇ?」


驚きの声が、自然と体を座布団へと乗せる。


「ごめん、でなに、ダンジョン?洞窟なの?」


あっけらかんと尋ねる少女には、いとも簡単に元のムードに戻ることができたが……ユリンには。


「そ、そう、ダンジョンえと洞窟じゃなくてぇ、そのぉ、電気電気がぁ、あ危ないのぉ」


明らかにしどろもどろと視線を移すその姿は、少女を不安にさせた。


「電気が、通っているの?」


「違うよぉっ!」


あれっ説明不足だったのかな、などと呟くユリンは、少女にとってもどかしくてしょうがなかった。


ふうー、と長く細く吐いて、ようやく元の笑顔に戻った。


何か知らないが、喜怒哀楽が大きい子だと少女はつくづく思う。


「依頼者は小さな女の子ぉ!てことで報酬は少ないなんてそなことないぃ!」


少女のうずうずが顔に出る。仕事は好きだけど、報酬を知るのにこんなに溜められたのは初めてだからだ。


「50万ん!いつもの10倍ぃ!!女の子のお母さまが代わりに報酬をだしてくれるらしいのですぅぅぅ!」


思わず少女の口から声が漏れ、啓の目は大きく開かれる。


レオをにぎる手も、もっと強くなる。


「はぁ〜〜何買おうかな〜〜ぁここはやっぱりアメリカかな〜〜ぁアメリカ買っちゃおうかな〜〜ぁ?いいでしょ〜〜ぉ??」


うるうるおめめがまたもや覗く。


「アメリカは、5万じゃ買えない」


「がぅぅぅぅ!?」


手をついて大げさに、本気で驚く。


「……アメリカ、5万じゃ買えないぃ?……買えないのぉ?ううううぅ、でもぉ……隣町のマリアは5万って……ぇ」


そして、初めて啓の声が溢れる。


「で、特殊な依頼がなんだって?」


「……っっっっ」


正座をしてスカートの裾を握りしめ、歯を食いしばってうつむくユリン。


途端、少女は目を落とす。


ちゃぶ台の上には、何かの引っ掻き跡と、何かの書類。

その書類は依頼内容の書かれた紙だ。


それに気づいた啓が、ちゃぶ台の前に歩み寄って書類をとりあげる。


「ぁっ、それは、ユリンがやらなきゃいけないおしごとっ……」


涙でぐちゃぐちゃの顔が啓を向く。


それでも、啓は続ける。


「えーとなになに、空谷の狭間?そこに行くらしい」


「空谷の、狭間……知らないな」


「ああそれは俺も同じだ、でも地方では有名らしいぞ?」


ユリンの呆気にとられた顔が二人を交互に見つめる。


そんな猫耳浴衣なんか知らずに、二人は話を進める。


「で、その女の子の名前はーー」


その瞬間、うるうるおめめが白目を剥いた。




「うをあーーー!!あをあをあをあーーー!

!それ、ユリンのしーごーとーぉ!!」




見事にお屋敷が震えた。


あまりに怒り狂った顔に、立っていた啓が尻餅をつく。


「ユリン、女の子保って。」


少女にとってはさほど驚くことじゃないと知った啓は、レオを握る力を緩めた。




が、既に遅かった。




レオはナイフを突き刺そうとしたのかーー少女に羽交い攻めされていた。


レオの右手には曲がったナイフが、


少女の左手には多量の赤い液体が、


それぞれ啓の目に焼き付けられた。


止まる思考回路の奥に、レオが汗をかいたという記憶が、インプットされた。


え?


啓の頭は、ついに真っ白になった。

結構頑張りました!

感想よろしくお願いします

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