エピローグ
最後です。
あれからおよそ一月がたった。
今は八月の七日。
俺は今、六月に行った場所に来ている。
「ここらへんだったよな」
弥生がナンパされていた場所だ。
彼女に会った場所。
俺が彼女を助けた場所。
あの後から、夢行路にいけなくなった。
いや、夢香露が無くなった。
無くなった。
買っていた分も、売っていた場所も、何もかも…
まるで最初から無かったかのように…
いや、無かったのだろう。
所詮、あれは夢。
ただの夢だ。
もともと、無かったのだ。
「そういや、携帯の番号聞いてなかったな」
俺は、弥生を探している。
ゼロに近い可能性を信じて、ここに来ている。
「ま、ただ、諦められないだけ…か…」
未練がましいのだ。
しっかりと弥生が死んだことを確認しなければ。
「無理…ありすぎだな…」
そもそも、彼女の住所を知っているわけではない。
知っているのは名前と好きな物や色ぐらい。
なんの手がかりにもならない。
「あの…」
「ッ!!!!」
いた。
彼女が…
「すいません…」
弥生が…
「榎本 公太さんですか?」
夢行路であったときの台詞を言いながら、
あそこであったときと同じ口調で、
そこには弥生がいた。




