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三話

 彼女はこちらに気づいた。

 俺は内心あせっている。

 相手は清楚系美少女。

 俺はツリ目系普通男子。

 そもそも女の子と喋る機会、ましてや美少女と喋る機会だなんて…

 無いとはいえない。

 無いとはいえないが…全員友人の彼女という…

 小中時代の友人達の彼女である。

 十人程いるが全員美少女なのだ。

 たまに恋愛相談(笑)にのってやるが、非リアの俺に聞かないで欲しい。

 特に内三人は「キスはさせてあげるべき?」とか聞くな。

 付き合ってるんならさせてやれよ、かわいそうだろ。

 そう言ってやったら「でも、ファーストだしな~」じゃねえよ!

 何で付き合ってるんだよ!!

 完全に遊びじゃねえか!!


 ま、まあそんなこともあり美少女は怖い生き物だということを知っている。

 女という生き物は繊細であり、頑丈だ。

 うまく扱わなければならない。

 ちょっとしたことで簡単に切れる。

 そういうやつも俺は知っている。

 だって最初に俺に恋愛相談(笑)をしてきた奴に対して

 知るか!

 といったところ切れられた。

 非リアの俺に相談するの間違ってるよね?

 そう思わない?

 軽い感じで聞いてきたから軽く返したら切れられたこともある。

 なぜだ。解せぬ。

 俺はこのせいで非リアならぬ避リアになりかけた。

 さて、現実逃避はやめてどうするか考えないとな。


 Hey オジョウサン オレト オチャ シナイ?


 冗談はおいておこうか。

 ここは無視が一番だろう。

 話しかけない。

 これほどいい技はないな。

 よく思いついたよ俺。

 なんで話しかけないといけないなんて思っていたのだろうか?

 馬鹿か俺は。

 藪をつついて鬼を出す必要はない。

 「あの~…」「は?何?ナンパ?アンタがあたしと釣り合うと思ってんの?馬鹿じゃない?来世からやり直してきたら?もしかしたら友達ぐらいにはなれるかもよ?」

 見たいなことがあるかもしれないじゃないか。

 彼女もこっち見ただけじゃん。

 どんだけ自意識過剰なんだよ俺は。

 あんな美少女が俺を相手にするわけがないだろう。

 とりあえず携帯いじってよ…


 え?圏外?


 いやいやいや。

 いやいやいやいや!

 ここどこだよ!

 電車に乗ってたらアマゾンの駅に止まりましたてきなこと?

 いや、アマゾンに駅はないけど。

 まあ、携帯会社のミスかなんか調整中とかだろう。


「あの~…すいません」


「えと…なんでしょう?」


 あれ!?

 なんか話しかけられた。

 お金ないんで貸してください。

 いや、さすがに無いから。


「榎本 公太さんですか?」


「はい、そうですが…。失礼ですがどちら様で?」


 え?

 え??

 え???

 俺の知り合い?

 実はあなたの婚約者なの。

 だから、無いから。

 ヒトメボレです。

 なんで名前知ってるんだよ。

 実は同じ幼稚園に居た…

 正直俺だとわからないだろう。

 実は隣に住んでる…

 残念。

 隣の家は空き家。

 ごめんなさい、人違いでした。

 ありえる。


「あの時はありがとうございました。覚えていますか?」


「ええと…」


 だ、だめだ。

 思い出せない。

 いや、やっぱり人違い…


「六月の七日です」


 ええ??

 六月の七日っていうと…

 修学旅行最終日!

 ……………が、どうしたんだ?


「人違いじゃありませんか?」


「いえ、違うと思うのですが…。お友達に鹿野 旭でしたっけ?

 たしかそんな名前の方もいた気がするのですが…」


 俺に違いないだろう。

 え?じゃあ、何?

 どこかでフラグが立っていた?

 見す見す逃す俺では………


「思い出した…。あの時の…」


「はい。あの時は自己紹介出来ませんでしたから。

 それでは改めて…

 小宮山こみやま 弥生やよいです。

 あのときはありがとうございました」


 そういってこちらに頭を下げた。

 頭が上がったあとに見えた笑顔はとても可愛かった。

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