一話
「あ?」
「だ・か・ら!
夢行路だよ!ゆ・め・こ・う・じ!」
「何それ?」
友人の鹿野 旭は噂話が好きだ。
なにか眉唾ものを仕入れてきては俺に話してくる。
まあ、残念なことに俺以外に学校で気軽に話せる友人とやらがいないらしい。
いや、そんなことはどうでもいいか。
「夢行路はな、突然現れる駅の名前さ。
一度行くとあるものを持っていかないと二度と行くことが出来ないんだって!
クラスの山田がそこで死んだ爺ちゃんと話したんだって!」
「嘘だろ」
「いや、それが探すとまだ居るんだよね。
夢行路で初恋の子が告白しに来たけどそれ以来一度も会わないとか。
海外に行った親友と会って話したとかさ」
「適当に言ってるだけ」
「もう、コウちゃんあいかわらず夢がないな~」
「それは夢行路とかかったダジャレか?」
「違うよ!」
榎本 公太。
通称コウちゃん。
俺だ。
小4ぐらいまでは身長が一番小さい童顔ショタッ子だったが、残念なことに小5からは異常に背が伸びて、高1になった現在168とまあまあの身長になったため、似合わない。
ちなみに小6で163という身長になっていた。
「あれ?わたしよりも高い?」と、女子からよく言われてしまった。
目つきも悪くなるし…
今では小学校の同学年だった奴らとごく一部しか言わない。
俺的には止めてほしい。
「夢行路ね~」
「馬鹿にしてない?」
「行ければ信じるさ」
「まあ、僕もね。
それよりも気をつけなよ。
もし、行った時に夢行路について知りすぎていると会った人がどこかに行っちゃうらしいから」
「どこかってあの世か?」
笑いながら言ってやった。
「ま、そうだろうね。
あと、夢香露」
「ああ~あれか」
うまいよな、あの飴。
たまに駅に行くとおばちゃんが売っている。
一個四百円とかいうバカ高い値段だがとてもうまい。
だから俺の小遣い五千円のうち千二百円はアレにつぎ込んでいる。
バカ?
バカで結構!!
五月からバイトもしてるし大丈夫なんだよ!!
「なんでそっちは知ってるのさ」
「ん~そりゃあ―」
「あれ、どこに売っているか誰も知らないんだよね」
「…」
え?
ええ~?
これって言うべき?
駅の近くの路地裏から入れる廃棄寸前のコンビニみたいな場所に売ってるって言うべき?
「ん?どうしたの?」
「夢香露って何かずっと気になってたんだよな。
名前しか知らないから」
だ・れ・が・い・う・か !
俺が飽きてきたら教えてやろう。
「そうなんだよね~。
飴・お茶・お香のどれかとは言われているけど実際なんだろうね?」
「飴だったら一個百円でも買いに行く」
「相変わらず甘いもの大好きだね~」
「ちがいます。愛しているんです」
「ハイハイ」
甘いものが最高だって!
皆はわかるよな!




