佐藤君物語 第二章
掲載日:2010/10/13
佐藤君は言った
「あなたは昔の事を忘れてしまったかもしれない。
でも、考えてみてください。あなたの履歴書には
ちゃんと大卒と書いているじゃないですか。」
「・・・・・・」
「あなたには過去もあり未来がある。だから忘れないでください。
あなたは思い出を失ってはいません。いつだって、
あなたの心のマイドキュメントに、保存ささっているんですよ。」
「ありがとうございました。」
うわべだけそう言って、俺は車に乗り込んだ。
しばらく運転していると雨が降ってきた。
「あれ、おかしいな、今日は晴れているのに・・・。」
俺はワイパーを動かした。
でも、雨で前が見えないのだ。
ワイパーが乾いたフロントガラスにこすれる音が聞こえてくる。
こんな雨が降ったのはいつごろだったろうか。
海水のような悲しみの雨が・・・。
―――――――佐藤君物語 第二章――――――――




