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第9話 アーダリは娼館に恩を売ろうとする

アーダリは借金取りが来ている娼館へ行きますと

「話は聞かせてもらいました!」

と颯爽と登場。

そして借金取りもすぐにアーダリだと気づいたので

この娼館はポメラリア家が密かに経営していると言う、はったりを言います。

借金取りもこれをすっかり信じてしまい、アーダリには好都合。

わたくしは借金取りが来ている娼館の前に立ち


「話は聞かせてもらいました!」


と颯爽と登場です。


「あ~?だれ……って、アーダリ様じゃないですか」


「アーダリって公爵家のか!」


「他に居ないだろ!」


わたくしを見た借金取りの2人は、すぐにわたくしだと気づきます。


(今は元ですが、公爵家の令嬢だと思っているのは、何かと好都合ですね)


今は家を追い出されましたが、2人は新聞やラジオの報道を知らない様です。


「ええ、わたくしは宰相ポメラリア家の娘のアーダリ・ポメラリアでございます」


わたくしは令嬢らしい丁寧な挨拶をします。


「ど、どうも……」


「お、俺らは……この娼館の借金を回収に来ただけでして……」


借金取りの2人はわたくしの名を聞いて恐縮しています。


(これは良い展開ですね)


2人はわたくしを誰だか理解し、逆らう気はないようですのでなおさら好都合ですね。


「ここは、わたくしのお父様が密かに経営している娼館です。察しが良い方ならおわかりですね?」


もちろん、これは嘘ですが、ここははったりを言います。


「そんな話聞いた事あるか?」


「バカか!密かにって言ってるんだから、俺たちが知る訳ないだろ!」


「それもそうか」


この2人は物分かりが良くてありがたいです。

「密かに」で全て察してくれました。


「そうです。極秘だったのですが、借金とはいえ強引な取り立てをみたら、黙って見逃す訳にはいきません」


わたくしはさらにはったりを言います。


「ど、どうするアニキ?」


「ど、どするのもなに……」


アニキと呼ばれた男性は悩みだします。

この2人も上から言われて、仕方なくの借金を回収しに来たのでしょうね。


「ですので、わたくしがその借金を立て替えます。ただ、娼館の者と少しばかり、お話させていただけませんか?」


わたくしが娼館の方と話せないか聞いてみます。


「立て替える話なら、別にいいですぜ」


「アニキがいいというなら、俺も構いませんぜ」


アニキさんが良いと言うので、そうさせていただきます。


「わかりました。内密な話なので、奥の方で話してもよいですか」


「ああ、構いません。どうぞ、お話してください」


とアニキさんは腰が低くなります。


「わかりました。では、奥に行きましょう」


わたくしは娼館の経営者と思う女性に言いますと


「わ、わかりました。では、こちらの部屋に行きましょう」


と、受付と思われる場所の隣にある、ドアを差しています。


「そうですね、あちらでお話をしましょう」


と、知っている振りをして、アメリーと共に女性とその部屋に入りました。


 部屋に入り、ドアを閉めると


「あ、あの……本当にアーダリ様ですよね?」


と女性は確かめます。


「はい、わたくしはアーダリ・ポメラリアです。ですが……今は家を追い出され、平民です」


と自己紹介をします。


「ですよね。新聞のお写真でしか見ていませんでしたから、実物はとてもお綺麗ですね」


と女性はわたくしを褒めてくださりました。


(わたくしは確かに綺麗ですが、今は借金を立て替える話です)


わたくしは綺麗と言われ喜びますが、今は借金の話を進める事が大事です。


「そんな事ありませんよ。それより、あなたのお名前を教えていただきませんか?」


わたくしは女性のお名前を尋ねます。


「そうでした。わたしはエルリカ・フラト、ここの経営者です」


女性はエルリカさんとおっしゃり、やはりこの娼館の経営者でした。


「ここの経営者でしたか。失礼ですが、借金はおいくらになりますか?」


わたくしが借金の額を尋ねますと


「1万2000アニーです」


とエルリカさんが答えます。


「1万2000アニーなら、すぐ出せる額ですね」


とわたくしが言います。


「あ、あの、立て替えてくださるのですか!?」


エルリカさんは驚きますが、無理もありませんよね。

たった今出会ったばかりですしね。


「ええ、先程も言いましたが、ここは父が密かに経営している娼館と言う体にしてあります。

なので、わたくしが立て替えても、おかしなことではありません」


わたくしが説明しますと


「そ、そうだとしまして……」


とエルリカさんは返事が出来ません。


(余程肝が据わってるか、ずうずうしく無ければ、これが普通の反応ですよね)


エルリカさんの反応は普通です。

なので、責めはしませんが、かと言って借金取りをこのままにしておく訳にもいきません。


「1万2000アニーぐらい、わたくしにとって大した額ではありません。

それに、ここで一旦借金取りを帰しても、どちらにしてもまた来ます。

なので、ここはわたくしに任してください」


と優しくも、説得するようにエルリカさんに頼みます。

しかし、これでもエルリカさんは「そうですか……」と言って、まだ悩んでいます。


(このままだと、どうにもなりませんね……)


エルリカさんは悩むばかりで、話が進みません。


「エルリカ、ここはアーダリさんの言う事を聞いた方が得ですよ」


と突然、奥の方から女性の声がしましたが、そちらを見ますと

50代と思われる、グラマラスな女性が立っていました。


「お母さん、聞いていたのですか?」


エルリカさん、その女性をお母さんと呼びます。


「お母さんと言う事は、ここは家族で経営をしているのですか?」


わたくしがエルリカさんに聞きますと


「はい、わたしと母で経営しています」


と答えました。


(なるほど、ここはエルリカさんとお母さんのお2人しかいないのですね)


わたくしはこの娼館の状況を理解すると


「それでしたら、なおさらわたくしにお任せください。

公爵家の息がかかっているとわかれば、相手も手を引きますので」


と頭を下げます。


「アーダリさんが頭を下げるとは、流石、元ポメラリア家の方ですね」


と頭を下げたわたくしを見て、エルリカさんのお母さまがこう言います。


(元と言っていますので、報道を知っているようですね……)


お母さまはわたくしの事をわかって、言っています。


「エルリカ、元とは言え、公爵家のご令嬢が頭を下げてまで、立て替えるとおっしゃっているのですよ。

ここは素直になりなさい」


とお母さまがこう言いますと


「そ、そうですね。ここまでされたら……仕方ありません……」


と半ば諦めたように、エルリカさんは言うのでした。

お読みいただきありがとうございます。


アーダリのはったりを借金取りが信じてしまうぐらい、それだけポメラリア家の力が凄いと言う事です。

また、アーダリの名前と顔も知られていると言う事です。

借金取りがアントニーの件を知らなくても、そこまで不思議でもないとは思います。

あと、借金取りはあえてテンプレのダメなキャラにしてありますが

この方がアントニーとポメラリア家のすごさがわかると思います。


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@shiizu17

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