第4話 家は追い出されますが、高級ホテルで暮らす事になりました
アメリーの登場です。
アメリーは早速、アーダリ様からアーダリさんと呼びます。
「フリードリッヒ様、御用とはなんしょうか?」
とアメリーは、頭を下げ、部屋に入りますと父にこう聞きます。
「アメリー、お前にも話したがアーダリはこの家を追い出される。だから、一緒に行ってくれ」
とお答えしました。
「そうですか、わかりました」
とあっさり答えました。
「アメリー、この家を出るのですよ?良いのですか?」
とわたくしが聞きますと
「はい、構いません。ポメラニアン家のメイドではなくなりますが、アーダリ様……
いえ、わたしと同じ平民になりますので、アーダリさんをお世話係とて、また個別にポメラニアン家に雇われました」
と答えましたが、まだ正式に平民に降格された訳ではありません。
ただ、これがアメリーらしさなので、あえて言いませんが。
「そう言う事ですか」
わたくしはアメリーの話した事に、納得しました。
「お給金の額は下がりますが、今までどおりアーダリ様のお側にいるだけで、これまでの4分の3のお給金を貰えますので十分です」
減ると言いましても、今までの4分の3が貰えるのあれば問題ないですかね。
具体的な額は知りませんが、少しアメリーから聞いたお話では
『わたしの田舎なら、1か月のお給金で家族5人が2か月暮らせます』
と言っていましたので、かなりの額ですね。
アメリーの田舎は、農業や酪農が盛んな地域で、王国一の農業地帯です。
そのため、食料の価格なども安く、生活に必要な物の出費は王都よりも少ない聞いています。
そして、5人家族が2か月暮らせる額なので、相当な額となります。
「それは良かったですね、アメリー」
「はい、アーダリさんのお陰です」
アメリーはすでに、わたくしをアーダリさんと呼んでいます。
「2人とも良いかね」
わたくしとアメリーが話しておりますと、父は咳ばらいをします。
「すみません、お父様」
「すみませんでした、フリードリッヒ様」
わたくしとアメリーは頭を下げます。
「別によい。正式な沙汰は5日後に出るが、流石に5日で住む所を確保するのは難しいだろう。
だから、王都中央駅近くのホテルの部屋を、私の名前で押えておいた。
新しい住処が決まるまで、そこで過ごすが良い。なお、明日からの謹慎も、そこでするように」
「わかりました」
わたくしは、明日には家からは出ないといけないようです。
「娘のままではあるが、平民になった以上、この屋敷に住まわせる訳にはいかない。
これからは王城への登城も出来ず、公爵令嬢でもなくなる。
だが、その金とアメリー、お前の行動力があれば、なんとかなるだろう。
金をすぐに使いきるほど、愚かでもないのはわかっている。
むしろ、お前の事だから、ほとんど使わないだろう」
とお父様はおっしゃいますが、やはりもう王城へ行く事も、この家にも住めないのですね。
しかし、行き先がまさか、高級ホテルになるとは思いませんでしたが。
「今日まだ、この家にいてもよいが、明日の朝、アメリーと供にホテルに向かうのだぞ」
「わかりました」
この家にいるのも今日限りです。
「アメリー、ホテルには後で家の者に届けさせる。アーダリの必要最低限の物と、自分の物だけ持ってホテルに行くがよい」
「わかりました」
「では、2人共下がっても良い」
「わかりました、お父様。では、またお会いいたしましょう」
「フリードリッヒ様、失礼いたします」
わたくしとアメリーは頭を下げ、お父様の部屋を後にしました。
そして、わたくしとアメリーはこうして、ポメラニア家を出る事となりました。
******
翌日、朝早く、アメリーと2人で屋敷を出ます。
誰も見送りはしませんが、昨晩は盛大なお別れパーティーをし、夜遅くまで盛り上がりました。
家を追い出されるのに、なぜお別れパーティーをするのかわかりませんが、祝って?貰えたので構いません。
また、夏の後宮から本日まで3日ありました。
3日あれば、パーティーの食材の準備や、各種手回しもお父様……ならできますね。
流石としか言いようがありません。
そして、アメリーと同じベッドで、夜をすごしたのでありました。
わたくしはまだ眠いのですが、人目につきにくい早朝の内にホテルへと向かいます。
ホテルでは、父の名前は出せば、チェックインの時間ではありませんが、ホテルの部屋に案内されるそうです。
「では、行きますよ」
アメリーはトランクを1つだけ持ち、歩き出しました。
「アメリー、わたくしの分を持っておりませんよ?」
わたくしがアメリーに言いますと
「同じ平民なのですから、自分でお持ちください」
とアメリーは答えますが、まだ正式な沙汰は発表されておりません。
「まだ正式な沙汰は発表されておりません」
わたくしがこう返しますと
「今から慣れておくのですよ」
と答え、アメリーはすたすたと歩いていきます。
「わかりました……」
わたくしは置いてあるトランクを持ちますが、意外と重いです。
何とか持ち上げられますが、歩くまでは大変です。
「ま、まってください……」
わたくしはアメリーになさけない声で言いますと
「まったく、仕方がありませんね」
と言って、アメリーは足を止めます。
そして、わたくしの元に来ると
「これだから、元公爵令嬢は困りますね」
といいながら、わたくしのトランクも簡単に持ち上げました。
(まだ、元ではありませんよ)
と思いますが、荷物を持ってもらうので黙って置きます。
そしてアメリーは
「では、市電乗り場に行きますよ」
と言い、わたくしとアメリーは市電に乗り、ホテルへと向かうのでありました。
お読みいただきありがとうございます。
アメリーは最初からアメリーですが、流石にフリーリッヒの前ではちゃんとしています。
あと、アメリーはかなりのお給金を貰っていましたが、メイドを辞めてポメラリア家とは再契約をしています。
ノクターン版でも、ポメラリア家からお給金を別に貰ってはいましたが、具体的にました。
ツイッター
@shiizu17