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第2話 アーダリの処遇

国王陛下に食卓ダイニングに来るようにと言われ

アーダリとアントニーはダイニングに向かいます。


今回はアントニー付の侍女、センテが今回から登場します。

ノクターン版では、かなり後から登場しますが、

センテも同行しているはずなので、今回から初登場します。

わたしとアントニー様はダイニングへ向かいます。


「アントニー様、アーダリ様、ついに国王陛下に知られてしまいましたね」


と、アントニー様の側使いの侍女、センテがこう言いますが、何故か声は楽しそうです。


「センテ、何か楽し気でありませんか?」


「楽しいに決まってるじゃないですか。、国王陛下が直接、裸のお2人をみて

関係をお知りになるなんて、下手なゴシップ記事よりも面白いですし」


センテはこういいますが、ゴシップ記事を読んでいるようです。


「センテ、ゴシップ記事をどこで見ているか知りませんが、私はもちろん、アーダリも厳しい立場なんですよ」


とアントニー様はおっしゃります。


「そう言われましても、困ります。わたしは、いたすのは構いませんが、ほどほどにと注意しましたので」


と、センテは言いますが、確かにセンテは


『王都から離れて油断した時に、お2人の関係が記者に知られてしまうのです』


と言ってましたが、まさにそうでした。

ただ、知られたのが記者でなく、国王陛下でしたが。


「知られてしまったものは、仕方がりません。今できる事は、アーダリの処分はいかに軽くすることです」


「そうですね……」


今考えるのは、わたくしの処分をいかに軽くすることです。

いくら女性でありましても、嫁入り前の王女に手を出しましたので、ただではすみません。

しかし、わたくしの父は宰相で、この国を動かしています。


 さらに、わたくしの家、ポメラニア家は、王族から別れた家柄です。

時が経ち、かなり血のつながりは、ほぼないと言っていいぐらい薄くなっています。

しかし、王室との親戚関係は、現在も続いております。

なので、国王陛下もあまり強く出れないはずです。


「どんな処分があっても、わたくしは楽しみです」


センテはそう言って、すました顔をします。

これは、センテがわたくしとアントニー様をからかっているという印です。


「他人事だとおもって、楽しいですね、センテ」


わたくしはこう言いますが


「はい、他人事ですから」


とあっさり返しました。


(やはり、センテは簡単に行きませんね……)


わたしはそう思いながら、ダイニングについたのでありました。


 ダイニングでは、朝食がすでに並べてありました。

そして、国王陛下が苦い顔をして、わたくしとアントニー様を待ち構えています。


「挨拶はいい。食事が冷めるので、2人共早く座るんだ」


国王陛下がこのようにおっしゃるので


「わかりました、お父様」

「はい、失礼いたします」


と、わたくしとアントニー様は、それぞれの位置に座りました。

センテは、頭を下げ、部屋に隅に立ちます。


「食事をしながら、先程の事を話す、それでいいか?」


国王陛下がこのようにおっしゃりますので


「わたくしは、国王陛下のおっしゃるままにいたします」


「そうか……」


国王陛下はため息をおつきになりました。


 わたくしたちは、食事を頂きますが、沈黙が流れています。

フォークとナイフが、皿に当たる音が部屋に響いてます。

食事をしながらと言いましたが、既に食事はほとんどなくっています。


 そして、いつもはベッドの上で、アントニー様と甘い時間を過ごしながら

食べる朝食は、非常に美味しいのですが、今日は全く味がしません。


「では、話すとする……」


国王陛下はフォークを置き、ナプキンでお口を拭き仕方がありませんます。

わたくしとアントニー様も、食べるのをやめフォークを置き、口を拭きます。


「今回の事だが……流石に、2人の関係を公にする訳にはいかん……」


と頭を抱えます。


 フローレン王国は、同性愛が法的に規制されておりません。

しかし、かと言って、堂々と言える訳でもありません。

わたくしや一部の方は、公表していますが、それなりの地位がある方ばかりです。

もっとも、わたくしは王族、貴族、軍人、平民と、誰彼構わず手を出しているので

隠しても、隠しきれなかっただけですが。

だから、国王陛下にこうして知られてしまったのですが……。


「お父様、是非寛大な沙汰を……」


アントニー様は、国王陛下に寛大な沙汰を頼みます。


「アーダリの父、フリードリッヒは、この国のために尽力している。

フリードリッヒが居なかったら15年前の戦いにも勝てず、この国も平和で発展した国になっていなかったからな……」


国王陛下は、父のあまりにもありすぎる功績のため、やはり強く出れません。


「今回の問題は、あくまでもわたくし個人の問題です。わたくしの性的嗜好が、女性のため、こうなったのです」


わたくしは、今回の事は、あくまでもわたくし個人の問題であり、父と家は関係ないと訴えます。


「ああ、性的な事まで、他人がどうこうできんからな。

ただ、流石に、結婚前の娘……王女に手を出した事を、不問にはできん……」


国王陛下もご理解していただきましたが、かと言って、王女に手を出した事を不問にはできません。


「国王陛下、わたくしは、他に沢山の女性に手を出しています。

同性愛は禁止ではありませんが、かといって、18歳未満の女性に手を出す事は禁止されています」


わたくしは他の法を破った事を、国王陛下に訴えます。


「噂に聞いておるが……18歳未満にも手を出していたのか……」


国王陛下は逆に呆れます。


「といましても、わたくしも17歳や18歳でしたが」


と答えました。


「そうか。もっとも、法律上では、同年代は淫行にならんので罪に問えん」


「しかし、他に罪に問う事は出来ません」


アントニー様に手を出したい事以外で、わたくしを罪に問う事は出来ません。

わたくしは、他の事に関しては清廉潔白です。


「そうだが……仕方がない」


国王陛下はしばらくお考えるになりますと


「アーダリは数多くの女性による淫行の罪より、ポメラニア家を追放する……こでいいな?」


とわたくしに聞きますが、公爵家からの追放は、貴族にとっては死刑に等しい罪です。

いえ、場合によってはそれ以上です。


「はい、構いません。国王陛下の寛大なご判断に、感謝いたします」


わたくしは立ち上がり、頭を下げます。


「アーダリ、座るが良い。女同士で子が出来ない事が、唯一の救いだ。

もし、アダーリが男で、子が出来ていたら、その場で首と陰部を切り落としていたぞ」


と国王陛下がおっしゃりますが、お顔が真剣なので笑えません……。

ただ、首と陰部を切り落とされても、文句は言えない事をしたのは事実です……。


「しかし、家を追放と言う事は……もう、逢瀬どころか、側に仕える事も出来ないのですね……」


公爵の地位を失うと言う事は、お会いになるどころか、側に仕える事すらできません。


「アントニー様、根性の別れではありませんので、会う事は出来ます」


わたくしがこう慰め返しますと


「そうですね……」


涙ぐみます。


「……アントニーが、そこまでアーダリ―のことを思っているが、これは仕方がない事だ」


これを見て、国王陛下も父親として複雑な気分の様です。


「わかっております。しかし、私は女性を娶りたいのです……」


と、アントニー様は、涙で潤んだ目から出たとは思えない事をおっしゃりました。


「まったく……」


国王陛下は再び頭を抱えます。


 アントニー様は19歳ですが、通常ならば他国へ継ぐが

国内の有力貴族から婿にとります。


しかし、未だに嫁がず、婿も取らないのは理由があります。

アントニー様の上に3人の王子がおります。

皇太子である、カスパー皇太子が王位継承第1位なのは言うまでもありません。

しかし、第2王子は身体が弱く、第3王子は素行に問題あり、さらに王位継承を拒否しています。

なので、王位継承第4位のアントニー様が第2位となっております。


 このため、他国に嫁ぐのも難しく、さらに婿にとるのも相手が限られています。

なので、現在もお相手が決まっていません。


「同性の結婚は認めていないと、お前もわかっておるだろ……」


「それはもちろんです。なので、私が女王になれば良いのです。

カスパーお兄様に何があるか、わかりませんし」


先程涙を潤ませていたアントニー様でしたが、涙はすっかり乾いております。


「アントニー、不穏な事を考えておるなら、いくら娘でも容赦はしないぞ?」


国王陛下はこう言いますが、わたくしも不穏な事を想像しました。



「もちろん、冗談ですよ」


アントニー様はほほと笑いますが、なにか冗談に聞こえません。


「とにかくだ、正式な沙汰は王都に戻ってから言い渡す」


「はい、そうします。お父様」

「わかりました、国王陛下」

「この話はこれで終わりだ」


話は終わり、食事の残りを口しました。


「私は王都に戻る。まだ余暇も残っているので楽しむが良い」


国王陛下が馬車にお乗りになり、王都へと戻ります。


「わかりました、お父様」


「お気をつけて、国王陛下」


国王陛下がお乗りになった、馬車が夏の離宮を離れていきました。


「お帰りになりましたね」

「そうですね」


国王陛下が王都にお戻りになり、再び余暇を過ごす離宮に静けさが戻りました。


「アントニー様、それでは余暇を過ごしましょう」


わたくしはそう言うと、アントニー様のお手を取ります。

そして、そのまま中に入ります。


「アーダリ、いったいどこへ」


アントニー様は戸惑いますが、再び寝室へと向かいますが

アントニー様も、これですべてを察したのでありました。


お読みいただきありがとうございます。


ノクターン版ではアーダリが後から思い出したように

書きましたが、全年齢版では詳細に書きました。

内容的にはほぼ同じですが、国王陛下とのやり取りが

さらにわかったと思います


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@shiizu17

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