第18話 アーダリとエルリカの話し合い その3
アーダリとエルリカの話し合いは今回で終わります。
アーダリは夜の相談を求めますが、エルリカの話を聞いているうちに
娼館の経営が思った以上に悪いので、話し合いを忘れ支援をすると言いだします。
わたくしはエルリカさんに夜の相談に協力をして欲しいと伝えますが
「アーダリさんは何度も夜の相談と言いますが、それはつまり……性に関してですか?」
とエルリカさんが聞き返しますが
「はい、平たく言えばそうです」
わたくしはエルリカさんにはっきりと答えます。
「そうですよね。しかし、経験が豊富なアーダリさんなら、わざわざわたしたちに
頼まなくても良いと思いますよ」
エルリカさんはこう言いますが、確かにわたくしは経験は多いです。
しかし、経験と言いましても(女性同士ですが)一般的な経験ですし、悩みの相談に答えるとなると
経験だけでは答えることはできないと思います。
「確かに、年齢の割に経験は多い方かもしれません。しかし、悩みの相談に答えるとなると
わたくしよりも、経験と知識が多い娼館の方が良いと思ったのです」
わたくしはエルリカさんに理由を説明します。
「アーダリさんの言う事はわかります。しかし、うちの娼館は娼婦は2人しかおりません。
ルベアさんは娼婦になってまだ1年程ですので、相談にのれるのはシャミーさんだけですよ」
「そうでしたか……」
シャミーさんは見た感じからも、ベテランの娼婦と言うのはわかりました。
ルベアさんは若いと思ったのですが、娼婦としての経験は1年程でした。
(ルベアさんの経験は、思ったよりも浅かったですね……)
ルベアさんはわたくしと同じか、少しだけ年下と思いましたが
それでも思ったより経験がないのは、想定外でした。
(しかし、娼婦ですから、経験はありますよね……)
若いと言いましても、1年間娼館で働いていますからね。
「1年間、娼館で仕事をしていればそれなりに経験がありますよね?」
わたくしはエルリカさんに尋ねますと
「ありますが……何分、2人で回せるほどにお客しか来ないので……他と比べましたら多くはないです……」
と答えました。
「そ、そうですか……」
通常どれぐらいの人数で娼婦がいるかわかりませんが、2人は少ないですよね……。
経営難で税金の滞納や借金がありますから、売り上げもかなり少ないと思いますし。
ただ、だからこそ娼館を買い取る話を持ち出して、協力を求めてその謝礼を払うと持ち掛けたのですが
思ったよりも状況は悪いようです。
(どうしましょうか……)
わたくしはもっと簡単に話しがつくと思っていましたが、エルリカさんが意外と手強いうえに
経営状況は想像以上に悪いようですね。
しかし、借金を立て替えましたし、ここまで困っているなら助けないとなりませんね。
「経営が想像より悪いようですので、まずは借金を立て替えましたので支援をいたします」
この際、協力以前にこの娼館を立て直すことを考えます。
「え~と、それはどういうことですか?」
エルリカさんはわたくしが支援をすると、突然に言ったので困惑しています。
「お話を聞いていましたら、このままでは立て替えたお金が戻って来ません。
なので、先ずは経営を立て直すための支援いたします!」
わたくしはテーブルに手をついて、思わず立ち上がりますが
もう、娼館を買い取る云々ではなく、エルリカさんたちを助けます!
「そ、それは嬉しいのですが、買い取りのお話しは……どうするのですか?」
「買い取りの話は、またあとです!買い取る代わりに同額の支援をします!」
「は、はぁ……」
エルリカさんはわたくしに押されて、何も言えません。
「アーダリさん、エルリカさんが困っていますよ」
アメリーがこう言いますが、確かにわたくしもちょっと興奮し、思わず前のめりになっていましたが
アメリーの一言で冷静になりました。
「すみません、思わず興奮してしまったようです」
わたくしは椅子に座り直します。
「アーダリさん、目的を忘れていませんか」
アメリーが目的を忘れていると言いますが、確かに忘れていました。
「確かに、忘れていました」
「なので、もう1度はなしをまとめましょう」
「そうですね。エルリカさんもよろしいですか?」
「構いませんよ」
「では、まとめましょう」
わたくしたちは話をまとめます。
まずは娼館の買い取りですが、こちらは話がすぐにまとまらないので保留にします。
相談の協力についてですが
「シャミーさんは遊郭の出入りは自由なので、シャミーさんがアーダリさんの作るサロンで
行うのはどうでしょうか?」
とエルリカさんが提案します。
「そうですね……シャミーさんがよろしいなら、それでも構いませんよ」
遊郭に女性が出入りするよりも、シャミーさんがわたくしが作るサロンで相談を行うが現実的ですね。
「毎日は面倒だが、昼間は暇だから別にかまわないよ」
シャミーさんは毎日は面倒と言いますが、構わないそうです。
「では、お願いします。もっとも、サロンをどこにするかも決まっていませんが」
話し合いをしていますが、まだサロンの場所すら決まっていません。
「そうか、決まったらまた教えてくればいいぞ」
シャミーさんは特に気にしている様子はないです。
「わかりました。出来るだけ早く開業します」
「あたいはいつまでも待つから、急がなくていいぞ」
シャミーさんはこう言って、はははっと笑います。
(シャミーさんは面白い方ですね)
わたしはシャミーさんを見て思わず笑いますが
「支援についてはどうするのですか?」
エルリカさんが支援について尋ねてきます。
「そちらもまたちゃんとお話しをしましょう」
「そうですね。そろそろ開店の準備をしないとなりませんし」
時計を見ますと、思ったより時間が経っておりもう15時になるところです。
「もうこんな時間なので、本日はここまでにします。今後もお話しを進めていきましょう」
時間になりましたので、本日はここまでにします。
「そうですね。わたしとしましても、支援はお願いしたいです」
エルリカさんも支援は受けたいようです。
「わかりました。では、わたくしはこれで失礼いたします」
わたくしが帰ろうとして席を立ちますが、突然ドアが開く音がしました。
「遅くなりました、話し合いはどうなっていますか?」
と言う女性の声がし、女性が部屋を見まわし、わたくしを見つけると
「あれ、アーダリ様ではないですか、お久しぶりです」
とわたくしに言うのでありました。
お読みいただきありがとうございます。
アーダリは娼館の経営が思ったより悪い事がわかり、思わず支援すると暴走気味にいいますが
アメリーが一言言ったことにより冷静になりますが、アメリーがちゃんとしたブレーキ役になています。
シャミーは提案をあっさり受けいますが、昼間は暇なことあり良い暇つぶしと思っています。
開店の時間になりましたので、話し合いはいったん終わりです。
最後にやって来たには次回の新キャラで、警備担当の女性です。
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