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第17話 アーダリとエルリカの話し合い その2

前回からの続きです。


娼館を買い取るかどうかの話し合いは続きます。

わたくしはエルリカさんの問いに答えますと


「アーダリさんが女性のお客さんを紹介し、紹介料を受け取るということですよね」


と返してきます。

これに対してわたくしは


「はい、そうです」


と答えます。

わたくしがエルリカさんの娼館にお客を紹介し、紹介料をいただき

お互いを得をするという仕組みです。


エルリカさんも特に説明せず、理解してくださいましたが


「それならば、やはり娼館を買い取らなくても良いと思います」


と返します。

確かに、お客を紹介するのであれば別に買い取る必要はありません。


「確かに、わたくしが買い取らなくても、お客を紹介するだけで構いません。

しかし、遊郭は女性が来る場所ではありません」


「そうですね。夜は女性が入る事が出来ませんし」


「それを変えるため、わたくしが娼館を所有している事が大事なのです」


「アーダリさんが所有することがなぜ大事なのですか?」


わたくしが娼館を所有する事が大事と伝えますが、それがなぜなのかエルリカさんが尋ねます。


「わたくしが所有していることにより、関係各所へのお話が楽になるのです」


わたしはこう答えます。


「なるほど、そう言う事ですか」


エルリカさんも理解しているようです。


「わたくしが所有している事により、無視する訳にも行きません。

そして、わたくしの叔父は法務大臣ですし、根回しもしやすいのです」


「つまり、公爵家の力を使うと言う事ですね」


エルリカさんははっきり言いますが、そのとおりです。


「はっきり言えば、そのとおりです。家を追放されましたが、世間ではまだまだ

わたくしは公爵家の娘と言う認識ですからね」


家を追放されても、わたくしはポメラリア家の一員ですし

まだまだ世間では公爵令嬢としてとおっていますので、これを利用しない手はありません。

それに、省庁にも何かと顔がききますからね。


「買い取る理由がわかりましたが……本当にお客さんを紹介し、娼館に来る事が出来るのですか?」


エルリカさんは鋭い質問をします。

口でどうとでも言えますが、実際にお客さんを紹介し、娼館に来る事が出来るかわかりません。


「確かにそうですね。こればかりはやってみないとわかりません」


わたしはやってみないとわからないと、はっきり答えます。


「そうですね。ただ、それを聞いて安心しました」


エルリカさんは安心と言って、微笑みました。


(なるほど、わたくしを試したのですね)


わたくしはエルリカさんの微笑を見て、エルリカさんはわたくしを試したと気づきました。


「わたくしを試したのですね」


わたくしも微笑みながら、エルリカさんにわたくしを試したと伝えます。


「試した……と言えば、確かにそうなりますね。

純粋な疑問でしたし、アーダリさんも元とはいえ、貴族ですから高圧的に迫るのかと

思っていましたので、はっきり言ったので安心しました」


エルリカさんは今度は笑いますが、平民から見た貴族のイメージはこのようです。

わたくしは高圧的な態度をとることはありませんが、貴族の中には平民に対して高圧的な

態度をとる貴族の方が多いのかもしれません。


「わたくしはそのような態度をとることはありませんよ」


「それはわかっています。そうでなければ、このような話し合いをしていませんからね」


「確かに」


わたくしとエルリカさんは笑い合いますが、だからと言って場が和んだわけではありません。


(問題はこれからですね)


やってみないとわからないと言ったものの、夜の遊郭に女性が訪れることができるかはわかりません。

女性が夜に訪れることは法律では禁止されてはいませんが、遊郭の取り決めは管理を任されている

遊郭管理組合が決めており、許可といいますが取り決めを変更しないとなりません。

そして、その取り決めの変更も、王国に提出し認可されないといけないのです。

なので、娼館をただ単に買い取れば良いと言う訳ではありません。


 さらに許可が出たとしましても、男性のための夜の遊郭に女性が訪れるかもあります。

こればかりはわたくしの力ではどうにもなりません。

もしかしましたら、誰も訪れる事がない可能性も十分あります。

そうしましたら、娼館を買い取る意味はありません。

しかし、折角関係ができましたので、娼館との協力関係だけは築いておきたいです。


「エルリカさん、買い取ると言いましたが、現状では買い取るかは不明です」


わたくしははっきりとエルリカさんに伝えます。


「そうですか、わかりました」


エルリカさんは意外とあっさりと返事をします。


「エルリカさんは買い取った方が良いのではないのですか?」


わたくしが聞きますと


「もちろん、買い取っていただいた方が良いです。しかし、利用価値がないのなら仕方ありません」


とエルリカさんは答えます。


(買い取って欲しいと懇願すると思いましたら、意外とあっさりですね)


エルリカさんはもっとあれこれ言うのかと思いましたが、現状では買い取っても

わたくしに得がないことはわかっているようです。


「確かに利用価値はありません。ありませんが、それはあくまでも土地と建物の話です。

人の協力ならば可能ではないのでしょうか?」


わたくしは土地と建物は、現時点では買い取りの意味はないが

人の協力ならば可能だと、エルリカさんに伝えます。


これに対し、エルリカさんは少し考えましたが


「そうですね、人の協力ならできますね」


と答えます。


「ありがとうございます」


わたくしがお礼を言いますと


「できますが、何を協力すればよいのですか?」


と尋ねますのでわたくしは


「女性の夜の悩みについてです」


と答えました

お読みいただきありがとうございます。


娼館を買い取っても、お客である女性が来る問題もあります。

法律ではないものの、遊郭の管理組合の取り決めや男性のための場所なので

女性が夜の遊郭に訪れるこが出来るかもわかりません。

なので、アーダリは現実的なことからの協力を求めます。


ツイッター

@shiizu17

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