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第10話アーダリは借金を立て替える代わりに条件を出す

アーダリは借金を立て替えるますが、立て替える条件を出します。

エルリカさんは半ば諦めて、わたくしの借金立て替えを承諾しました。


「ありがとうございます。借金は全額わたくしが立て替えます。ただ……」


わたくしがこう言いますと


「やはり、ただで立て替えてもらえる訳はありませんよね……」


とエルリカさんは言います。


「もちろん、条件はあります」


とわたくしは条件を出します。


「どんな条件でも、覚悟します……」


とエルリカさんは覚悟を決めます。


「条件は、わたくしは同性が好きな女性のためのサロンを作りますので、それに協力してください」


わたくしは女性のためのサロン作りに協力してもらう条件を出しました。


「……条件はそれだけですか?」


エルリカさんはこう言います。


「ええ、そうですよ」


わたくしがこう答えますと


「……何かのご冗談ですよね?」


とエルリカさんがわたくしの条件を冗談だと思っています。


「いえ、冗談ではありませんよ」


わたくしは冗談ではないと返します。


「1万2000アニーを立て替えるのですよ?もっと、厳しい条件を出すかと思っていました」


エルリカさんは、意外過ぎて拍子抜けだったようです。


「もちろん、立て替えたお金は返してもらいます。ただ、1万2000アニーはどうして借りたのですか?」


わたくしはなぜ借金をしたのか聞きますと


「滞納した税金の支払いで、どうしても1万2000アニーが必要だったのです」


エルリカさんは借金の理由を教えてくれました。


「なるほど、税金じゃ仕方ありませんね。ただ、今回払っても、また滞納する可能性がありますよね?」


わたくしがさらに聞きますと


「ええ、最近は売り上げも下がっていますし……娼婦も2人しかおりませんし……娼館の営業は費用がかかりますし……」


とエルリカさんは経営が苦しい事を教えてくれました。


(これはチャンスですね)


わたくしは借金ばかりか、経営難という、条件が揃いすぎた娼館を運よく見つけました。


「でしたら、この娼館をわたくしが買い取るというのはいかがでしょうか?」


とわたくしは更なる条件を出します。


「えーと、それは……」


流石にこれは即答できません。


「買い取りに関しては後で良いでしょう。今はまず借金取りに帰ってもらい、お話はまた後日でどうですか?」


とエルリカさんに伝えます。


「そうですね……今日は借金取りに帰ってもらう方が先ですね……」


とエルリカさんも納得します。


「では、時間もあまりないですし、そろそろ借金取りの元へ戻りましょう」


「そうですね。営業時間の17時まで時間がありませんし、16時30分にはアーダリ様たちは大門を出ないといけませんし」


遊郭は17時から娼館の営業が始まり、夜の街になります。

なので、16時30分までに観光客などは一度大門の外に出ないといけません。

時間はすでに15時50分と、時間があまりありません。


「と言いましても、あくまでも規定で、実際は16時50分までに外に出ればよいですけどね」


とエルリカさんのお母さまが言いますが、そこまで厳密ではないようですね。


(そういえば、エルリカさんのお母さまのお名前を聞いていませんでしたね)


ですので、お名前をお聞きします。


「よろしければ、お母さまのお名前をお教えいただけませんか?」


「ヘルマです。よろしくお願いします」


と、丁寧に答えて頭を下げます。


「ヘルマさんですね。今日はお時間がありませんので、これで失礼します」


「わかりました。買い取りについては、また後日お話しましょう」


とヘルマさんも買い取りの話をするつもりがあるようです。


「そうですね、また後日」


「では、失礼します」


わたくしたちは、部屋を出ますが、アメリーがすすっとわたくしの側に来て


「公爵家の力はつかわないのではないんですか?」


と耳元で言います。


「あくまでもはったりで、相手が勝手に勘違いしただけです」


とわたくしはアメリーに言い返します。


「わかりました。余計な事を言いますと、バレますので後でまたお聞きします」


と言って、またすすっとわたくしから離れます。


(アメリーはこういう所が、優秀なメイドっぽいんですよね)


とわたくしは思っています。


「お待たせしました。時間もありませんので、手短に伝えますが、借金はわたくしが立て替えます」


待たせていた借金取りの2人にこう伝えます。


「こちらからしたら、払ってもらえれば誰だっていいですぜ」


「そうですぜ」


と腰を低くし手もみをしています。


「確認しますが、1万2000アニーでよいですね」


とわたくしは、借金の額を確かめます。


「へい、それでよろしいです。これが証文ですぜ」


とアニキさんは証文をわたくしに手渡します。


「これは公式の文章ですね」


わたくしが証文を見ますと、ちゃんとした公式の証文でした。

公文章に関しても、わたくしはメガネ(叔父様)の仕事を少しだけ手伝いましたのでわかります。


「ええ、あっしらは違法な事はしておりませんぜ」


「そうです。アニキの言うとおり、取り立てはしますが、あくどくはありませんぜ」


と言います。


(取り立ての時点であくどいとは思いますが、ちょろいのでよいです)


もっと揉めるかと思いましたが、そうでもありませんでした。


「確かに1万2000アニーですね。今は手持ちがありませんので、ホテルでお渡します」


わたくしはホテルでお金を渡す事にします。


「あっしとしましたら、払ってもらえばどこでも構いません。そうすれば、上も納得しますし」


と言いますが、やはり上から言われているようですね。


「わかりました。では、ホテルに向かいます。ただ、最後に娼館の者ともう一言話がありますので、先に外で待っていてください」


「わかりました。それじゃ行くぞ」


「へい」


借金取りの2人はそう言って、先に娼館の外に行きました。


「と言う事で、借金の事はひとまず解決です。買い取りのお話は、また後日にいたしましょう」


わたくしはエルリカさんにお伝えします。


「わかりました。13時から16時の間なら、いつでもお話する事が出来ますので」


午後のその時間なら、暇な時間ですし丁度良いですね。


「わかりました。また後日、その時間に訪れます」


「了解しました。もう16時になりますので、お急ぎください」


「ありがとうございました。では、失礼します」


「失礼いたします」


「こちらこそ、ありがとうございました」


わたくしとアメリーは頭を下げ、娼館を出ました。


そして


「では、ホテルに向かいましょう」


「へい、わかりました」


と借金取りと共に、ホテルへと向かいました。

お読みいただきありがとうございます。


流石にただで1万2000アニー(120万円)を立て替える事はしませんが

それでも、エルリカにとったら意外です。

普通に考えてたら、1万2000アニーをただで出す訳がありませんからね。

ただ、思っていた条件が、エルリカはからみたらこれだけと思うぐらいでした。


ツイッター

@shiizu17

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