表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

第2章 家畜化された悪魔

朝。

縁側でヴァシャが軍用マグカップで緑茶を啜りながら伸びをする。その隣、15cm太の相撲縄で柱に縛られた悪魔が不機嫌そうに座っていた。ボロボロの和装スーツに、折れかけた角が痛々しい。


「ふーん、悪魔さん、寝心地どうだ? 飯はうまかったか?」

ヴァシャが下駄でポンと悪魔を蹴る。


「ふざけるな! 俺は地獄の王だ!数百万の魂が震えてるぞ!」

悪魔が牙をむく。


「へーえ、偉そうだねぇ」

ヴァシャはあくびをしながら茶を飲む。

「餌やってるこっちが偉いんだよ。文句ある?」


悪魔は俯いて呟く:

「これ...武士の風上にも置かん...」


「なに?この根性なしが!」


「...本当に地獄に帰してくれないのか?」

悪魔の声にはかすかな期待が混じる。


「は?ペットは外に出さんよ。ほら、草でも食ってろ」


悪魔が猛然と飛び上がるが、特注の相撲縄が首をガツンと引っ張る。ヒノキの柱は微動だにしない。


「なにこれ?!解けない!」

爪で縄を引っ掻くが無駄だ。


「んー...海軍式だったか?侍結びとか?」

ヴァシャは顎を撫でる。


悪魔が縄を噛み切ろうとするが歯が立たない。


「地獄に帰りてえええ!」

涙声で喚きながら暴れる。


「うるさい! もう一声あげたら鍋物にするぞ」


「なぜ俺を恐れない?!」

悪魔が突然真顔で聞く。

「お前...本当は何者だ?」


「ロシア人だ。お前は泣き虫妖怪。男らしくしろ」


「まさか...あの『特別学級』に...?」

悪魔の顔から血の気が引く。


「お?知ってるのか『あの』教室を?」

ヴァシャがニヤリと笑う。


「しまった...」

悪魔が慌てて口を押さえる。


「よし、明日から『矯正授業』だ」

指の関節をポキポキ鳴らす。


悪魔は完全に絶望した漫画顔で顔を覆った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ