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悪霊 Evil spirit ――異世界死生 編――  作者: ナ・ココ・なご
人形が歩し研鑽の道、形迦而明絶。
85/98

85話 現れし漆黒。黒魔術師の軍団よ。

12/29~(年末年始)は午前と午後に分けて、1日2回の投稿となります。


今回投稿している「異世界もの」はα版で『なろう』要素が少なめかもしれません。そこで、翌年にはβ版(もう少し『なろう』要素を取り入れたもの)を投稿する予定です。


いずれも同じ世界設定ですので、御一読頂ければ嬉しいです。

 恭しくネキアはリヴィアタンに深く頭を下げた。そのネキアに続くようにリヴィアがノインに指示を出す。


「ノイン。貴様は黒魔術師どもを相手せよ。奴ら悉くをこの世界から滅失させねばならぬ存在だからな」

「ええ。分かりました」

「ノインちゃん、無理は禁物だからね。何かあったら私が守ってあげるから!」


 ココがノインを抱き締めながら、心配そうに彼を案じる。

 それを遠目に見ていたミケは、ノインと呼ばれる少年をちらりと盗み見て、うーんと眉間にしわを寄せて唸る。本当に彼は黒魔術師と戦い得ることが出来るのだろうか、と。

 既に都市エーベの防衛は鉄壁を構築せんと作戦が練られている。そのなかでミケは都市の防護壁での戦いに配置されていた。

 先程、黒魔術の大群を見て素晴らしいなどと訳の分からない事を言っていた少年を、ミケは訝しむ。ネキア様はノインを過大評価しているようだけど、そんなに強そうには見えない。「この子、ちゃんと戦えるんだよね?」なにせ8万人の黒魔術師が相手なのだ。はっきり言って負け戦になるのは目に見えている。防御壁を稼働させる音が中枢区画に振動として伝わってきて、ミケの顔が思わず引き攣ってしまう。ネキア様は、本当に戦うおつもりなのだ! 早く逃げなくてはならないのに。あっ! でも、そうか。いざとなったらネキア様の魔法で魔法ですぐに撤退できるってことですよね? そうですよね、ネキア様。

 ミケは深呼吸をする。そして自分を奮い立たせるように彼女より年下の少年に、威勢よく声を掛けた。


「ノイン君。あたしたちの持ち場に行こう!」


 黒魔術師の相手をするには、自分と同じ防御壁・外郭に行かなくてはならない。だから、ノインの肩を軽く叩いて、彼に自分の後についてくるようにした。

 その発言を皮切りにして、その部屋にいたネキアの配下達が防衛壁展開の作業工程を最終段階に移行させていく。ココもリヴィアの転移魔術で所定の場所に転移していったようだ。ネキアは、ミケとノインが向かった配置場所に遠見の魔術の位置を合わせる。「彼の異能を見極めなければならない。私の紫刹破しれぎを遥かに超える連樹子であるのかどうかを」 

 世界のことわり外からやって来る来訪者。彼らは最初から天異界の2層以上の力を有する存在としてこの世界に現れる。ネキアが知るうえで、この世界に生存する来訪者は自分を含めて6人を数え、ノインを含めれば7人になる。彼女の戦略上において来訪者は重要な位置を占めるおり、だからこそ彼の力の発現の限界位置を見定めなければならない。

 ネキアは広間の中央に座して、ノインの姿を遠見の魔法によって覗き見るのだった。



 自由都市エーベの外郭防壁。その都市の外周を守る防壁の上にミケは立っていた。この場所はとても静かだ。冷たい防壁の外には無限に広がる天異界の宙が広がっている。ミケはその吸い込まれそうな漆黒の暗闇を見つめて、吐く息が白く立ち昇った。宙はいつものように静寂と闇に包まれ、ミケの小さな体がその中に溶けてしまいそうなくらいに雄大さを誇っている。

 彼女の隣でノインが天異界の宙の彼方を見つめていた。

 そうなのだ。ノインの見つめる先には黒魔術師の軍団が都市エーベを含む全ての聖霊と浮島の全てを滅ぼさんと迫ってきているのだ。だから、戦い、打ち勝たなくてはならない。そうでなければ、ふたたび天異界の宙を見上げることすらかなわなくなってしまうから。

 ミケは大きく息を吸い込んでノインに確認する。


「ノイン君、もう一度言いますね。あたしの実存は2層なので、ノイン君よりもあたしの方が強いです。だから、上官である私の命令にはきちんと従うように! んで、あたしたちの役目はここで敵を足止めしつつ、都市魔術の攻撃地点に誘導していくこと。分かったよね?」


 ミケは人差し指を立てながら、作戦内容について念を押す。


「ええ! ミケさん、了解しましたよ。僕はここで黒魔術師たちを待ちます!」


 目を輝かせて応えるノインを見て、ミケは本当にこの少年は大丈夫なんだろうか? と不安に満たされていく。


 ―――と、

「ノインちゃあああんっ!!」


 白き魔動杖を携えたココが宙からノインの胸に飛び込んできた。ココの姿は先程の服装とは変わっていて、白い羽のような飾りをした白いふわふわの服に身を包んでいた。


「ノインちゃん! 大丈夫? 黒魔術師との戦いなんて未だ早すぎだし、怪我から治ったばっかりだし、心配で来ちゃったよおおおお!!」

「ココ! 僕は大丈夫ですよ。ココに直してもらった完璧な腕も、ほら、この通りに力一杯動きますよ」


 そう言って、心配するココにノインは笑顔を返す。その2人の間に突如、ミケが割って入ってきた。


あや―――っ、ココ様。リヴィアタン様とご一緒ではなかったのですかっ!」


 ミケが、ココをノインから強引に引き剥がして、ココをぎゅっと抱き締める。聖霊の愛子あやし様が、お独りで歩くなど危険極まりない。リヴィアタン様は何をされているのだ? 黒魔術師が来襲するというのに‥‥‥。


「ミケちゃん、苦しいのだああああ!」


 抱きしめられたココは手足をばたばた動かして、顔をミケに向ける。そのココの大きな瞳がミケを通り越して、彼女の背後に広がる大きな天異界を見つめて固まった。ココの瞳に映し出される大きな漆黒の闇。


 ―――っ!


 その瞬間にミケの全身に緊張が走った。



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