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悪霊 Evil spirit ――異世界死生 編――  作者: ナ・ココ・なご
さいきょーの従者
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17話 制御式。世界を編む

「やはり、魔法や魔術を使えることが強くなるうえでは必須みたいだ。でも、どうやったら使えるようになるのだろう?・・・この『魔術大全』あたりが入門書として無難でしょうか?」


 手に持つ資料を元の場所に戻して、書棚に並ぶ魔術大全の一巻目を手に取る。その百科事典のように分厚い本はずしりとノインの手に沈み込む。彼は近くにある作業台の椅子に腰を掛けて、ぱらぱらと流し読みをし始めた。


 その本に書いてあった内容を箇条書きにすれば次のようになる。



 世界は2つの異なる界から成り立っている。一つは天異界、もう一つは現世界だ。天異界はエーテルが満ち、現世界にはカロリックが満ちている。このエーテルとカロリックが二つの異なる世界を循環しているという。

 すべての万物はこのエーテルとカロリックというエネルギーにより成り立っている。そして、生物や無生物を問わずその身を器と呼び、その器にエネルギーが蓄積されていく。器の大きい者であればあるほどエネルギーの保有量は大きく、よりエネルギーに対する支配度は高くなる。当然にエネルギー量の多い者が強者とされるのだ。


 ―――エネルギーの測定は、実存強度により表わすと書いてます。5等級エーテル結晶石を基準値「1.000」としているようです。


 魔術・魔法は、この世界に遍く存在するエネルギーであるエーテル又はカロリックを制御式により操作することで可能となる。その扱うエネルギー量によって制御式は段階を経る。エネルギー量の乏しいものを魔術と呼び、より巨大なエネルギーを必要とするものを魔法と呼ぶ。


 ―――へえ。エネルギーを多く使うものになるほど制御式が複雑化する。そして最大の魔術が魔法と呼ばれる。なら、その制御式を学べば魔術を習得できるってことになるのかな?


 エネルギー量の少ないものから順に示すと、

  標準魔術(平面単一・制御式)

  高位魔術(平面複合・制御式)

  複合Ⅰ式魔術(立体単一・制御式)

  複合Ⅱ式(立体複合・制御式)

  複合Ⅲ式(可変複合・制御式)

  領域『魔法』(自在式)

 になっている。 


 天異界のエーテルは万能エネルギーであり、これに対する現世界のカロリックはエーテルよりもエネルギー量が少なく、万能を有するに至らない。


 ―――とにかく実戦あるのみだ。まずは、この制御式を描いてみよう。



 魔術大全の最初ページに戻り、制御式の図解が載っているページを開く。そこには標準魔術の制御式が発現効果とともに説明されていた。


 どの制御式がいいだろうかと目が迷っているのに気付き、思わず苦笑してしまう。初めての魔術だ。期待が膨らんでしまうのも無理からぬことだ。とりあえず一番初めに描かれている標準制御式・火属性『燈火』を使ってみようと思う。その効果は照明と記載されてあった。

 ノインは魔術を発現させる手順をもう一度確認する。エーテルで空間に魔術情報を刻み込み制御式を構築する。次に構築した制御式が術者のエーテルを吸収し魔術を実行する。その実行された魔術はエーテルそれ自体ではなくなり、魔術という実体となって世界に影響を及ぼす。


 彼は周囲のエーテルに意識を向けて、消えたり途切れたりしないように自身の体に蓄積されているエーテルを用いて空間に制御式を刻んでいく。魔術の解説書の通りに制御式が出来上がっていくが、その制御式が空間から弾けた音を立てて消えてしまった。あっと思う間もなく壊れてしまったが、新たな関心を呼び起こす。「これは難しい。制御式がこんなにも簡単に壊れてしまうものだなんて。でも、実践することは本当に楽しい」


 もう一度、今度はゆっくりと丁寧に制御式を空間に刻み込んでいくが、またも壊れて消えてしまう。だが、ノインは二回目は初めの時とは違ってその消えゆく様子をつぶさに観察していた。「制御式の組み立て方には問題はない。だけど、その制御式を僕自身が壊してるみたいだ」


 どういう仕組みかは分からないが自分自身が制御式を壊していた。この予期しえない結果を目の当たりにして、彼は制御式が崩壊する場面を何度も思い返し、その原因を探る。そして見つけた。自分が制御式の魔術情報を喰らっているのだと。


 どういうことなんだろう?と自分の手の表や裏を見返して触って確かめてみたりする。しかし、変わったところを探し出そうとしても、いつもの自分の手以外には何もない。うーんと、首をかしげて思案しても納得できるような答えは出て来ようはずがない。


 なら、再び制御式を編んで確かめれば良いだけだ。


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