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勇者カップルと踊る精霊達  作者: ここがキーパーソン
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2.ラテンドレスで騎士に囲まれるのは少し恥ずかしい

「勇者様方を来賓室にご案内せよ。」

「かしこまりました。()()様」

王は騎士に指示をして、数名の騎士と部屋を出て行く。

この部屋には窓がなく扉から入り込んだ日差しが眩しい。


視線を感じ、ラテンドレスを着ていることを思い出す。

語弊を恐れずドレスを説明するなら、多くの毛糸がぶら下がった黄色のビキニだ。ボトムスの毛糸はスカートになっている。

毛糸の先には透明なストーンが付いていて、歩くたびに揺れ、キラキラと光を反射する。視線が気になってお腹を両手で隠す。


外に出ると中庭がある。中庭を抜け城に入る。

城は吹き抜けになっておりとても天井が遠い。

窓以外からの明かりはなく、少し薄暗く感じる。

しばらく廊下を歩き、金の装飾の扉の中に入る。

室内は調度品が窓からの光を反射していて廊下より明るい。


案内された椅子に座ると急に緊張を感じマークを見る。

マークはすこしイライラしているような雰囲気だ。


すぐに、王と2人の貴族と騎士達が入ってくる。

遠くてハッキリとは聞こえないが貴族に向かって王が自慢げに話している。

「見よ。彼らが勇者だ。私はこの目で勇者召喚の儀が成功するのを見た。しかも2人!2人が一度に来たのだ。」

()()様、確かに今回の勇者は本当に不思議な格好で別世界から来たかのようです。」

「本当に別世界から召喚したのだ。」


王と貴族は私たちが案内された席の反対側に座る。

テーブルは20人ほどが囲まそうな広さで、王の周りは騎士達が守っている。

王はまだ20才前後のそそっかしい青年といった感じで()()といった雰囲気はない。

貴族は2人とも真っ白な白髪でおそらく60は越えている。

左の貴族の眉間には深い皺があり、私たちを訝しむように見ている。

右の貴族は笑顔で王とこちらを交互に見ている。

騎士達もみな中高年といった感じで若い王が浮いて見える。


右の貴族が笑顔で口を開く。

「勇者様方、この度は別世界からの召喚に応じていただき、誠にありがとうございます。私は右大臣のコルイド。奥が左大臣のスネイプ。そして、中央におわしますのが、我がグランベルグ王国の偉大なる()()ベルグ七世にございます。」

コルイドが話終わるか否か、マークが苛立ちを隠さず喋る。

「待ってくれ。俺たちは召喚に応じたつもりはない。まだ、表彰式も終わってない。王様、俺たちを早く帰してくれ。」


ベルグ七世が不快な顔で、コルイドを見るとコルイドは笑顔で口を開く。

「勇者様、申し訳ございません。召喚した勇者様を元の所に戻す方法は私達には分かりません。あと、王様ではなく、()()とお呼びください。」

その言葉にマークは頬を掻きながら次の言葉を考えている。


私はその時、初めてイギリスにダンス留学に行った時のことを思い出していた。

お師匠様が「やる気あるならキングストンに行ってこい」と飛行機のチケットを買ってくれて、イギリスに着いてすぐに鞄を置き引きされて、帰る方法もなくキングストンに行ったら、リクレール先生が住み込みで働かせてくれて、あれは結構楽しかったよね。

師匠も「俺のことは先生じゃなくて師匠と呼べ」って呼ばれ方にこだわってたなあ。でも、()()って呼ばせるのはさすがにやりすぎだよね。

ダンス留学の思い出と王様への脳内突っ込みを一巡して、マークを見る。

マークの方も話が一巡したようで、表情が怒りから絶望に変わっていく。置き引き事件の時のマークを思い出し、不意に笑ってしまう。


笑う私を見た王様は、少し安心した表情をする。

「勇者様方、この水晶に手を翳していただけませんか。この水晶はステータスを表示するマジックアイテムです。」

騎士がこちらに水晶を運んできたので、とりあえず手を翳す。

騎士が驚いて言う。

「踊り子職。魔力1。武力1。スキルなしです。」


続いてマークも手を翳す。

「踊り子職。魔力0。武力2。スキルなしです。」


王様が頭を抱えている。

多分すごく弱いってことだよね。

だって、私たちただの社交ダンサーだし、魔王と戦うような力はありませんよ。

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