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【Dead-bed】~アフターマン・ライフ~  作者: TAITAN
~アフターマン・ライフ~
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第4話「遺言」


「うま!! オヤジィ!! デミアルのオレンジ追加でー」


『はいよ。いやぁ、それにしてもお嬢ちゃん喰うねぇ。学校もサボって場末の居酒屋で豪遊たぁ。金持ってんな』


 寂れた旧国道沿いの海辺。


 個人経営の居酒屋は業態的には昼にはランチも出す海鮮の旨い穴場だ。


 此処200年程で普及したアルコールの代用品であるデミ・アルコールを用いた飲料はアルコールそのものが大規模工業用や各種の製品製造に必要とされた時点でご禁制となり、その代用品として普及。


 以後、アルコールのように酔えるが、依存度が20分の1、体内での分解速度が30倍で悪酔いしないという一種の暗黙の合法麻薬として今では世界中で添加された飲料が年齢制限も無く子供にも売られている。


『いやぁ、タコわさやらほっけの一夜干しやら、渋いの好きだね。お嬢ちゃん』


「ジィが食ってたんだよねぇ。あ、カラアゲと焼き鳥おまかせ追加でー」


『はいはい。追加入りまーす』


 狭いカウンター席を前に下70代の眼鏡なマスターは学生がこんな昼日中から食べて飲んで豪遊している様子を良い良いとニコニコしながら食事を作り続けている。


「そっれにしても本当さぁ。日本、美味いもの多過ぎじゃねぇ?」


 ドカリとデミアルのオレンジ生中ジョッキを置いた少女の目は座っていた。


 人間らしからぬクリーム色というか白というには聊か艶めかしい肌。


 まるで最高級のラブドール系ガイノイドか。


 はたまたスキモノが数百万$掛けて造った動くロリコン趣味全開の愛人か。


 そんな彼女の整っていながらも何処か堕落した人間に特有の愉悦を浮かべる唇は食事の油でテラテラと輝き、赤い瞳の黒い瞳孔が薄く光を帯びる。


『いやぁ、嬉しいねぇ。外国人さんにそう言われるとこの歳で現場出てる身からすると報われる思いだよ』


「あっははは♪ 唐揚げウマ!! イカヤキにマヨ・サイコー!! おほ、んくんく、ぷぁ~~~ぁ~~バー食塗れの中米クソクラエーってなんもんよー!!」


『お嬢ちゃん。中米の出かい? そりゃぁ、苦労してるな』


「……ふぅ。マジでクソだからな。祖国の料理とか。いや、汚染済みのクソマズ食材の低汚染料理すら食えるのはほんの一部だけどー」


『うんうん。苦労したねぇ~~』


 涙脆い老人店主がハンカチ片手に頷く。


「何がクソってさぁ。レーションがクソマズ!! ありゃ、イヌのクソにも劣るね!? 何がフ〇ックかって? 朝から晩まで盛ってるカップルかってくらいに動かす癖にさ!! 幾ら点数が上がっても一切味が変わんないの!! 上のランクのもんにもならないの!? 信じられる!? ファッ〇!! 〇ァック!! 〇ァアアアアアアアアック!!!?」


 怒髪天の怒りでガンガンカウンターを叩く少女である。


 老人はウンウンと頷いている。


「ぜぇってぇ、あのクソみたいなキャンプに放り込んだ兄貴達をぶち殺すって決めたね。あたしは!!」


『学校は大変だよなぁ。解るよ。オレも若い時は不法移民だーって地方の学校で虐められたもんさ』


「はっはぁ~~オッサンも苦労してんね? 出てくる時に嫌いな連中みーんな弾薬庫に集めて爆破してやったけどな!!」


 ゲラゲラと嗤い声が上がる。


『仕返しするは我にありってか?』


「応とも!! 何が乱パに混ざれだ!!? サノバ〇ッチ!! あたしが拉致られて片腕切り落とされたくらいでシオらしくなるかっつーの!! はは、ザマァ~~♪」


『お嬢ちゃん。腕は義肢かい? サイバネは今時高いからねぇ~~』


「んなわけないでしょ!? ピッチピチの生身だっての!! 腕を拾って背中に背負って一晩中、あいつらと撃ち合いながら裸で走って逃げたっつーの!!」


『やっぱ、数には勝てないか……オレもそうだったっけなぁ……』


「ま、逃げ切ったし!! 刻印まで接合再生させんのに3か月も掛かったけどな!! あたしのバージンは理想の嫁にヤルんだから!!? だーれが、あんなクソ共に!!」


 言っている間にもバクバクゴクゴクと爆食していた少女が細い体の何処に入るのかというくらいにモロ出しの腹部を妊婦のように膨らませて立ち上がる。


「また来っから。ごっそさん。じゃね~~~」


『はいよ。御贔屓に~~~』


 老人が手を振って送り出す。


 その姿は調理用のドローンに置き換わっていた。


 脳髄から脊髄が入ったドラム缶らしいものが店の奥の壁に備え付けられており、客の出入りが終了した事で店内のホログラム投影が終了。


 店舗内の古き良き居酒屋にありがちな飾り。


 大漁旗だの、招き猫だの、大量の酒瓶だの、諸々も単なる灰色のカウンターと壁に早変わりしており、スピーカーが切れて、香料噴出用の空調も途切れる。


 先程まで再現されていた200年程前ならば、普通だった居酒屋の風景はもうその空間の何処にも無いが、夢を売る商売たる個人経営の小規模店らしい現実を前にしても、脳髄そのものたる老人は苦労人な若者がまた来てくれるよう叫ぶ。


『生きてりゃ儲けものだよ!! お嬢ちゃん!!』


 そう人生の訓を与えて、ネットの海へと戻っていった。


 こうして、アメリカからやって来た少女は日本に来て初めての食事に大満足しながら、満ち足りた気分で駐車場に向かって行くのだった。


 *


「あ、出て来た」


「んだテメェ?」


 駐機スペースにあるテディの前で待っていると昼食を食べたらしいテディのマスターが出てくる。


 恐らく同年代くらいだろう。


 全身を覆う局部以外は透明のシール服を着込み。


 革製の海を思わせる蒼いダボダボのジャケットとデニムのホットパンツを履いた子がこっちへ足早にやってくる。


 今までテディを見ていたのだが、ピンク色の塗装に腕や脚部をヌイグルミっぽい装甲に置換して太くしてある為、中身を偽るには丁度良さそうな太さだった。


「ん~~良い遺伝子してんじゃん。あたしのテディに何か用?」


「シラヌイ」


『タグの継承者ですね。レジア・バレッド』


「?!」


 すぐに顔色を変えた子が腰からハンドガンを取り出してこちらに向けてくる。


 その前にホログラムで出て来たシラヌイが弾丸を一発映し出した。


『この時代に彼が死を選ぶ事は当然のように解ってはいましたが、大往生だったようで……』


「テメェは!?」


『遺言を聞きましょう』


「―――ッ」


 驚いてすぐにシラヌイに向けていた銃口を降ろすものの。


 手には持ったまま。


 もう片方の手でホットパンツから黒い羽根が重なったペンダントが出てくる。


 それはおじさんから貰ったものと色違いなだけに見えた。


 音声がそのペンダントから発される。


『ジェーン。君に貰ったタグをお返しする。良い人生だった。それとこれは旧知の仲である君にしか頼めない事なのだが、もしも良ければ、我が人生最後の傑作たるこの子の面倒を見て貰えないだろうか』


 知らないおじいさんの声だった。


『嘗て、君にオフィサーとして鍛えられた日々は忘れない。そして、我が子孫にして最も似ているこの子こそ、僕がこの時代に遺す本当の遺産だ』


 その言葉を聞いていた子が少しだけ歯を噛み締めた気がした。


『我が青春の君よ。いつかまた会おう。首を長くして待っているよ……』


「あの馬鹿ジィ……昔の恋人に何言ってんだか。馬鹿なんだから……」


 涙が袖で乱暴にゴシゴシ拭われる。


『ふふ、彼らしい。タグはまだ預けておきましょう。それと貴女が此処に来た経緯も聴取せねばなりませんね』


「ア、アタシは遺言を届けたら遺産貰ってサッサと面倒なとこからオサラバすんの!! ジィの遺言が何であろうと面倒なんざ見て貰いたくないんだけど!!」


『生憎とそうも言っていられない状況です。これを』


 シラヌイがホログラムでニュース速報を諸々出していく。


 そこには国際宇宙港でテロとの見出しが出ており、戦闘終了後に姿を消した敵OPを追う追跡部隊が大量に映っていた。


「な、何よ? 関係ないじゃん。あたし」


『本当にそう思いますか?』


「どういう事?」


『その機体が彼の機体だとすれば、今回のテロの原因はその機体の可能性が高いです。貴方は日本も物騒だなぁくらいの感覚で逃げたのでしょうが、コレに襲われたら日本政府から没収の憂き目に合いますよ?」


 シラヌイが敵の情報を映し出してわざとテディを追う素振りだったモヤモヤの映像を見せる。


「こ、これさっきの……って、ジィの機体狙ってたの?」


『間違いないでしょう。何処から嗅ぎ付けて来たものやら。ですが、色々と解りました。この映像を警視庁や公安に出せば、貴女は即日任意同行という名の拘束で機体を取り上げられてしまうでしょうね』


「お、脅す気か?!」


 思わずその子が身構える。


『いいえ、彼の遺産たる貴女をしばらく護る必要も出て来たようですし、隠れ家を提供しましょう。日本でバカンスでも如何です? レジア・バレッド』


「……あたし他にも兄貴達から追われてんだけど」


『知っています。調べましたが、もう日本国内に密入国した部隊が数名いるようです。懐かしい友人の孫娘。面倒くらいは見ましょう』


「……はぁ、解った。それで? そいつが今のアンタのオフィサーなわけ?」


『ええ、現オフィサーのアズール・フェクトです』


 ジッとこっちをその子が見てくる。


「ふ~ん。ま、今は何だかんだ言ってる場合じゃなさそうだから、借りにしとく」


『話は決まりました。トレーラーも丁度来ましたね。回収して、そのまま隠れ家に向かいます』


 国道側から駐車場に大型のトレーラーがやってくる。


 エーミールが使っているのと同じタイプだ。


「え、えっと、よろしくね? よく分からないけど」


「解らねぇのかよ。ま、いっか。どうせ、兄貴達から逃げるにも個人じゃ限界あったし……アズールだっけ?」


「うん。レジアさんでいいかな?」


「かったりぃからレジアにしとけ。それにしても、こんなのがオフィサーとは……ジィもビックリだな」


「?」


 トレーラーにテディがクレーンで積み込まれていく。


 レジアがこっちをシゲシゲと見ていた。


「……でも、すっげー好み。ねぇ、アンタ……あたしのコレにならない?」


 小指が立てられた。


「小指にはなれないよ?」


「ちっげーよ!? 天然かよ!?」


「?」


 よく分からなくて首を傾げるとはぁ~~と溜息が吐かれる。


「ま、いっか。これから時間はそれなりにありそうだし、取り敢えず……」


 横に来るとガバッとレジアが片手でこっちの首を引き寄せて。


「よろしくね? あたしの小鳥(えもの)ちゃん。にひ♪」


 そうニヤニヤしながら、耳元に囁くのだった。


 どうやら、変な子に絡まれてしまったらしい。


 それから笑顔になってブンブンと両手で握手を強要された後。


 トレーラーに載せられて、お家に帰る事になったのだった。


 *


「あ、アズール。お帰りなさい。あのね。おじーちゃん弁護士さんが『良いカリがコーアンに作れた。今度、お礼をさせてくれ』って伝えて欲しいって……?」


「あ、エーミール。ただいま。ええとね? シラヌイのお友達のお孫さんが今日から此処に住むんだって。レジア」


「おほ!? 姉妹とか!? 姉妹とかぁ~~~♪ カワイイじゃん。イイネイイネ!!」


 ニンマリ興奮した様子のレジアがエーミールを見ると同時に何やら盛り上がって、拳銃をいつの間にか両手に持って胸元でクロスさせて決めポーズというのか。


 そういう自信満々なジェスチャーをして歯を煌めかせた。


「あたしはレジア。レジア・バレっド。よろしくぅ♪」


 瞬時に銃が腰の後ろのガンホルダーに仕舞い込まれる。


 拳銃からしてフルカスタム品だ。


 蛍光色のショッキングピンクと蒼褪めたスカイブルーのパーツでデザインも何だか取り回し易そうな短いバレルで小物感が強い。


 だが、弾が極端に細いように見えて、4mmくらいのピアシング・ニードルと呼ばれる合金製弾丸を射出するタイプだった。


 貫通力のみを偏重した弾丸は針のように細く。


 威力こそ普通の銃弾に劣るが、5cmくらいなら鉄製の扉も貫通するハンド・レールガン中最も尖った玄人向けの品である。


「あ、ダメだよ。だーめ」


 その様子を見ていたエーミールがすぐに背後を振り返って何でもないとジェスチャーするのは背後に見えざる蜘蛛型ドローンが二機いるのを知っていたからだ。


「へぇ~~~さすが、フィクサーの根城。良いドローン使ってんじゃん」


「見えてるの?」


「あたしが銃抜いた瞬間に静穏精密のスナイパーモードでこっちの脳天狙ってたしね。そりゃ観察するっしょ」


 レジアが玄関先から内部に靴を脱いで入って、何も無いように見える虚空をコンコン叩く仕草をした。


「あ、避けられた。こー見えて電子戦向きなんだけど、こっちのハックで全然捕まらないって事は此処のセキュリティ……少なからずペンタゴン・クラスじゃん」


 型が竦められる。


「ま、脳に直結してないし、電脳化もしてないし、脳の無機置換もしてない。本当に旧いタイプのハッカーだけど、これは自信無くすわ」


「そうなの?」


 左程気にしてもい無さそうに壁際にレジアが立って周囲の景色を見渡した。


 帰って来るまでに都内の交通規制を抜けたので今はもう4時を過ぎている。


「そっれにしても東京の地価どうなってんの? このビル一つで400億はするじゃん。これ全部アンタの? アズール」


「これはレリアさんのを貸して貰ってるの」


「レリア? んだっけ? そのあたしのパチモンみたいな名前。どっかで聞いたような? ああ、もしかして武器商人の?」


「うん」


「アンタ、そういうヤツなんだ。へぇ~~前にウチにも納品してた事あったっけ」


 レジアがソファーに座るとエーミールがキッチンの方からお茶を持って来てくれる。


「ありがとう。エーミール」


「おう。ごっそさーん」


 紅茶がグビッと一口でカップを半分空にする。


「うぉ!? うま!? コレ市販品じゃないだろ!?」


「そうなの?」


「そうなんだよ……はぁぁ、あのAIもアンタも金持ってんな」


 呆れた瞳でレジアがカップの中身を飲み干す。


「今は傭兵のお仕事してるんだ」


「傭兵……同業者ねぇ。日本のラノベにありがちな日本の少年少女が謎の機体を使ってますよりはマシか」


「?」


「いや、アンタも大概だけどね。っと、テロリストが逃げ込んだ場所が特定されたっぽい? 長期戦か」


「長期戦?」


「ネットのダイバーニュース見てみ」


 言われた通りに音声で指定するとすぐにネットニュースがホログラムで出てくる。


『空港を襲撃したと思われるテロリストが載った機体はどうやら埼玉方面の立ち入り禁止区画に入ったようだと関係者からのリークがあり、高濃度放射能汚染地帯内部という事もあり、警察は―――』


「これって……」


「日本の大都市圏や市街以外にも幾つか核が落ちた地域はあるって聞いてたけど、へ~~大陸の内陸部みたいなとこもあるんだ」


「本には都市部や市街地を狙った汚い核を弾道弾に乗せたって書いてたけど」


「ははっ、まったく。見知らぬ国で見知らぬヤツに狙われて巻き込まれるとか。此処も大して変わらねーなぁ」


「どういう事?」


「ジィが行ってた通り、天地の差も薄氷って事じゃん」


「??」


 よく分からないのでお茶を頂いて出されたクッキーを食べる。


 やっぱり、シラヌイが作るお菓子は売り物よりも美味しかった。


「機体の格納と補修を終えておきました。現在、被害にあったトレーラーを修復中です」


「あ、お帰り。シラヌイ」


 シラヌイが玄関から戻って来る。


「彼の機体は一先ずオーバーホールです。あのテディの外装は外しておきましたが、よろしいですね?」


 レジアがシラヌイに手をヒラヒラ振る。


「好きにしろ。どうせ、ジィに返して来いって言われてたし」


「そうでしょうね。彼以外にアレを使いこなせる者は貴女の親族にはいないでしょう……」


「へぇ、もう調べたんだ?」


「良くある話でしょう。遺産を争って家族間の諍いというのは多かれ少なかれ何処の国のどんな時代にもある事かと思います」


「でさ。あたしはあたしで兄貴に追われてるけど、あんたらが追ってるアレ何? やたら磁力強そうな感じの兵装だったけど」


 日が暮れ始める夕暮れ時。


 今までの経緯を話したら、何やらニヤニヤしたレジアが瞳を細めていた。


「アンタらハッカーいないんだ。じゃあ、あたしがやったげる。此処に匿われてるだけじゃ性に合わないし♪ その代わり……」


「解りました。報酬を支払いましょう。先程のシステムへのアタックから推察しての自給換算でよろしいですか?」


「オーケーオーケー……歩合制って事でいい?」


「交渉成立です。衣食住に関しては無料にしておきましょう」


 レジアが立ち上がるとガンホルダーを腰から外してシラヌイに渡す。


「じゃ、良い部屋を寄・越・せ♪」


「用意してあります。元々、このフロアには部屋が余っていましたので」


 シラヌイに連れられて背後でヨッシャとかガッツポーズしたレジアがフロアの奥に消えて数十秒後。


『う、うぉおおおおお!!? 勝ったぜええええええええええええええ!!!』


 そんな叫びが木霊してくる。


 エーミールはクッキーを齧りながら、ネットから流れてくる都内の交通規制やニュース情報をチェックしながら、大変だなーという顔でシラヌイから出されている宿題をキーボードでしていた。


 今時はホログラムに触るだけで入力出来たりするのだけれど、シラヌイは基本的に何でも基礎的な技能は裏切らないと言ってやらせてみる感じなのだ。


『ふっはぁ~~~♪ ジャグジー!! 個室!! 天蓋付きのベッド!! 良いチェア置いてんじゃん!!? こ、これ2万ドルするやつ!!? 此処はゲーマーのヘブンかよ!?』


 何やらレジアは感動しっ放しらしい。


『何だコレ!? 最新じゃねぇけど、スパコン4つも置いてあんの!? あははは、しかもQGPUは換装済み? 最新の光量子光源使うヤツじゃん!! 日本のJABETとフランスのパラドックス社の合作だろ!! そこらの企業がマネタイズしてるワールドが7、8個入る代物とかさぁ!? こんな、こんなんあったら、あたし好き勝手するぞ!?』


 何かシラヌイが肩を竦めてヤレヤレという顔をしている気がする。


『もう渡さないからな!? 今からダメって言っても使うからな!?』


 もはやレジアはお家の快適さの虜になっているらしい。


『何だ? この速度!? ゴミか!? あたしは今までゴミを使って仕事してたのか!? うぉ?! 計算早!? 常駐してるプログラムの4割がアンタで残りがOPのバックアップ?! 99%処理能力使ってねぇのか!? 勿体ねぇ!?』


 奥からは何やら猛烈なタイピング音が響いて来る。


『これだけあったら、半年で1$を百万倍に増やせる自信あるぜ? どうして、使ってないんだよ?』


 どうやら疑問も出て来たらしい。


『はぁ? 金を持ち過ぎると身動きが取れなくなる? AIの思考方法ってやつは……それでさっそく仕事してぇ気分なんだけど、何かある?』


 シラヌイと話している様子を横目に今日の訓練に向かう事にする。


 レジアの上機嫌にタイピングする音が奥から引き続き響いていた。

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