03話 鈍感な強者
今日は元々の目的だった情報収集をしようと思う。
アルさんに聞いたところ、誰でも入れる図書館があるみたいだから、そこでこの世界について学ぼう。
『図書館ではお静かに』
へ〜、ここも図書館のルールは一緒なんだな。
まぁそれはいいとして、やっぱこの世界の歴史と地理ぐらいは知らないとな。
(すみません、歴史と地理についてわかりやすく書いてある本ってどこにありますかね?)
(そうですね、ちょっと待っててください)
お、持ってきてくれるみたいだ。自分で探すより確実だな。
(こちらの本ならわかりやすいと思いますよ。読み終わったら、私の所へ持ってきてください。)
(ありがとうございます。分かりました。)
「ふむふむ」
ざっと読んでみると、この世界は、6つの大陸に別れていて、今いる大陸が、人族が住んでいる大陸。他にも、魔族の大陸、獣人族の大陸、エルフ族の大陸、竜族の大陸があり、その5つの大陸に囲まれている真ん中の大陸には、この世で1番大きなダンジョンがあるらしい。そのダンジョンにはまだ誰も挑戦したことがなく、何も分かっていないとか…。
人族は、昔から魔族との関係が悪く、今は休戦中だが、
ずっと戦争を続けてきたらしい。獣人族とは、獣人族をさらって奴隷にする人間がいるため、こちらも関係が悪いらしい。ほかの種族は何も書かれていないから関わりがないのかな?っと思うことにした。後、1つ1つの大陸はとても離れていて、船で何週間もかけないと行けない距離らしい。いつかは行ってみたいな。でかいダンジョンとは別に、小さいダンジョンもあるらしいから、それにも挑戦してみよう。
(ありがとうございました)
本を返して、本の地図に載っていた、低レベルなダンジョンに挑戦してみることにした。
ここからは結構近いな。
「よし、やってやる」
ダンジョンに着くと、ラノベとか漫画で見たことある、いかにもダンジョンって感じのがあった。その入口の前には門番?衛兵?みたいな人がいたが、普通に入れるようだ。このダンジョンは下に潜っていく感じのダンジョンで、今の最高到達階層は60階層みたいだ。
1層目────
ゴブリンやボアしかいなかったので、余裕でクリア出来た。おっと、ダンジョン内でモンスターを殺したら魔石だけ残して消えるみたいだ。
2層目────
1層目よりすこしだけ強くなったゴブリン、ボアだった。
正直言って楽勝だ。そういえば、ダンジョンの前に立っていた衛兵さんが、1度到達したことある階層ならワープできるって言ってたな。あと、五階層ごとにあるワープポイントまで行けばいつでもダンジョン前に出れるとも言ってたな。
今日は10階層目指していこう。
3層目────
だだだだだだだ ドスン、ドスン、
ん?人の足音と、なんだ?
「おいガキどけ!俺らはあんなバケモンと戦えねぇ!なんで20層のバケモンがここにいんだよ…」
え?え?
20層?ここって3層だよね?
ブモォォォォォ!!!!
こ、この姿のモンスターは定番のミノタウロス!?
20階層の強さってことは俺には勝てない。ちっ逃げるしかないか。『一閃』
で隙を作って逃げよう。集中するぞ。
ふぅーーーーーーーーーー
『一閃』
スパン──────ぼと。
え?
ミノタウロスが腰から上と下に真っ二つになった状態で倒れていた。
なーんだ。ミノタウロスって案外弱いじゃん。20階層っていうのは聞き間違いだな。
お?魔石以外にも角みたいなのをドロップしたな。魔石はデスボアより少し大きいぐらいか。まぁダンジョンの魔物の魔石は外の魔物の魔石より大きいっていうしこれぐらいなのか────
「5階層にミノタウロスが出たんだって!3階層でまいてきたからまだそこら辺にいるはずだ!」
「な、何!20階層の、魔物がなぜそんな上層にいるんだ!」
「Aランク冒険者を集めろ!このままじゃ下級冒険者がみんな死んでしまう!討伐するぞ!」
今このギルドは緊張に包まれていた。
俺がここのギルドマスターに就任してから20年はこんなことは無かった。
ましてや50年以上前に攻略されてから誰も進んだことがない20階層の魔物が出てくるなんて…Aランク冒険者を集めても勝てるかどうか。でももしこれでダンジョンブレイクが起きたらこの街、いやこの国は滅ぶだろう。昨日デスボアを倒したあの二人がいれば戦力アップにはなると思うが、2人ともいないみたいだ。せめて家族だけは守らないと────────────
ふ〜 もう10階層か。レベルも73になったし、魔石もいっぱい集まったからワープして帰るか。
ん?衛兵さんが居ないな。どうしたんだろう。まぁいっか。ミノタウロスの角を売りに行こう────────
「注目!今2階層にいるわけだが、この次の階層にミノタウロスがいる。気を引き締めて、戦う準備をしろ!全員、死ぬなよ。」
「「「おぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」」
「あれ?何もいない…まさか、嘘だったのか、あいつら!」
「待てギルマス、ここにまだ新しい血がある。しかも大量のだ。あの冒険者たちが言ってたのは、3階層のだ。ありえないが、自然に考えると誰かが戦って倒したと考えるのが1番可能性が高い。」
「そ、そうだな。しかし、そんなことが出来る冒険者がいるか?あっ」
「そうだ、昨日デスボアをたった2人で倒した冒険者たちなら可能性はあるだろう」
「そうか、アルたちがやってくれたか。まぁ一応、5階層まで調査してから全員帰るぞ!」
あれ?誰もいないなぁ。
ミノタウロスの角を売りたいのに。
あ、奥に誰かいるみたいだ。
「すみません、素材の買取お願いしてもいいですか?」
「は、はい。どうぞ。」
「これです」
「…………!?」
「どうかしました?」
「こ、これはミノタウロスの角ですか!?」
読んでくれた方ありがとうございます!
これからもまだまだ続けていく予定なので、よろしくお願いします!
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