01話 召喚?からの追放?
「しょうま殿、そなたはにはここを出ていってもらう──」
こうして俺、クラスごと異世界召喚された黒金しょうまは追放された。
「クソ、なんでだよ、異世界召喚ってのはチートをもらえるんじゃなかったのかよ。」
俺は勘違いしていた。元々いた地球では普通に友達と仲良くできていた。だがその関係はすぐに壊れてしまった。ただもらった職業が無職だっただけで…
「え?これって異世界召喚ってやつ!?」
俺は17年間生きてきた中でいちばん興奮していた。
なんせいつもラノベなので読んでいた異世界召喚を自分もされたのだ!めちゃくちゃ楽しんでやる!だが、
そんな期待はすぐに打ち砕かれた……
「勇者様御一行、ようこそインパス王国へ。」
「え?なになにどーゆーこと?」
「え、え、やだここどこ!」
「誰だよお前!説明しろよ!」
「い、インパス王国…?」
「驚かれるのも無理はない、今そなた達は我が国の魔法で異世界から召喚したのだ。余はインパス・バノユール・ヘルドメルカ13世だ。このインパス王国の国王を務めている。勇者様御一行、夜の隣にいるラーゲットについて行って頂きたい。」
「こちらへどうぞ。ご案内します。」
「「は、はい」」
「お好きな椅子におすわりください。まずはこの世界について説明したいと思います……」
ラーゲットさんが説明してくれたのを要約すると、この世界には全員に職業と呼ばれるものがあり、それを5歳の時に創造神様から授かるらしい。ここインパス王国では、迫り来る帝国との戦争に向けて、有能職と呼ばれる強い職業の人たちを兵力として集めていたらしい。しかし、魔族からの進軍と重なり、どうしても兵力が足らないと気づき、苦肉の策として、有能職の頂点とも呼べる勇者を召喚できる、異世界召喚を行ったということだ。
ここで気になるのは、自分の職業だ。やっぱりチート職がもらえるんだろうな──
「では皆さん、ステータスオープンと言ってみてください」
「「「ステータスオープン」」」
「おお!賢者って書いてあるぞ!」
「俺は剣聖だ!」
「な、なんと!有能職がいきなり2人も!?」
「では勇者は誰なんだ??」
「あ、ゆうき〜勇者って書いてあんじゃん!」
「あぁ、そうだな!俺がこの国を助ける勇者だ!」
「「おおぉーーーー!!」」
クラスのみんなはとても盛り上がっていた。
俺もステータスを見てみる、「ステータスオープン」
「え?…」
俺のステータスには職業が書かれていない。書かれているとすれば、無職ということだけだ。異世界にもバグが存在するのだろうか、「すみません、俺無職としか書かれていないんですけど、バグってません?」
「ば、ばぐですか?そのような言葉は初めて聞きましたね…ていうか無職だって!無職なんて雑用以外何も出来ない下級職じゃないか!なんで異世界召喚で無職の雑魚が来るんだ!?」
どうやらバクではなかったらしい、俺はチートを貰えなかったのか…
「ハハハハ!しょうま無職なのか!まぁ学校でも金魚のフンみたいなもんだったからな!w」
((クスクス))
みんなも笑っている…俺はそう思われていたのか…
「しょうま殿、私にもう一度着いてきてください」
「はい……」
着いた先は、召喚されてすぐにいた場所、国王の前だった。
「ふむ、しょうま殿は無職だったのか。申し訳ないが、今この国には無職を養うほどの財力は無い、そなたにはここを出ていってもらうしかない。あぁ最低限の金は渡そう。心配するな。」
これが今日1日に起きた出来事だった──
「最悪だ、終わりだ、もう生きていけない…」
俺は完全に詰んでいた。金銭はもらえたが、今俺が持っているのは5銀貨。これは安い飯付きの宿に1泊できる程度だという。しかも最低限の防具、剣も貰ったが、剣など振ったことがない。
「クソ、チートもらって無双するはずだったのに」
この時、俺の事を笑ってきたクラスメイトの顔を思い出した。俺を追放した国王の顔も、無職を罵倒してきたラーゲットの付き人の顔も…
「見返してやる」
俺は心に誓った。クラスメイトを、国王を、俺の事をバカにした全てのやつを見返してやると。そのためにはまず、やらなければいけないことがある。情報収集だ、なんせ俺はこの世界のことを知らなすぎる。人が集まりそうなところを探そう。おっあそこは…
「冒険者ギルド?」
そこには冒険者ギルドという名の酒場のような場所があった。冒険者はなんとなくラノベにでてきたものとイメージが一緒だったから、俺はまず冒険者がイメージどおりのものなら登録しよう思った。異世界召喚のことを隠して…
「あ、あの、すみません…」
「あ?どうした坊主、そんな変な格好で」
制服は俺が思うより変な格好らしい。しかもギルドの受付は怖いおじさんだった
「え、えっと、冒険者登録したいんですけど」
俺はラノベでつちかった知識を使い、知っている単語を、ぶつけてみた
「おう、いいぞ、ただ登録には試験があるが、その格好でやるのか?動きにくそうだが…」
至ってその通りだったが、生憎これ以外の服も、服を買うお金も持ち合わせていなかったので、
「このままで大丈夫です!」
「そうか、ならいい。怪我するなよ」
意外にも優しいおじさんだった
「じゃああっちにいる茶髪の若いのの所に行ってくれ」
「はい!」
「試験を受けるんですけど、」
「あぁそうか、えっと武器は剣でいいのか?」
「あ、えっと、はい」
(変に綺麗だが、まぁ新調したのか)
「よしじゃあついてきてくれ」
「はい!」
ついて行くと、少し狭い闘技場のような場所に来た。
「よし、じゃあ早速だが俺と戦ってもらう」
初めての戦闘だが、大丈夫だろうか…まぁ試験だしてかげんしてもらえるだろうと思うことにした
「いきます!」
その時、自然と体が動いた。そして、ギィン!試験官と剣を交えた。剣を振ったのは、初めてのはずだった──
その後、試験官に善戦したが、気づいたらたおれてしまっていた。あぁ、もっと体力をつけておけばよかった。そう思った時だった…
「「おぉー!」」
今まで気づかなかったが、見物客がいたらしい。何故かよく分からないが、歓声を上げている。
「け、結果は…」
「余裕で合格だ」
「やった!」これでお金には困らない!そんな甘いことを考えていた。
「じゃあ今日からお前はEランク冒険者だ」
冒険者には上から、S、AからFまであり、俺は試験官相手に善戦できたことで下から2番目からスタートできるらしい。
なんにせよラッキーだ!でもなんで剣を使えたんだう…
まぁ今そんなことはどうでもいいか!
「じゃあ登録料として銅貨3枚貰うぞ」
か、金がかかるのか…
「銀貨1枚からでお願いします」
「あいよっ釣りは銅貨7枚なっ依頼は1個下のFランクから1個うえのDランクまで受けられるぞ。」
「ありがとうございます!」
依頼書を見てみると、このランクだと雑用か採取系しかないみたいだ。
「ん?これいいな」
その依頼書には、荷物の運搬と書かれており、報酬には、剣聖の教えその1、と書かれていた。
「なんか強くなれそうだな」
そう思い、その依頼書を持って受付に行った。
依頼はすぐに終わり、報酬の本もすぐ貰えたので、泊まれる宿を探して、そこで読むことにした。案外すぐに宿は見つかったが、金額が金額なので、少し汚かった……
もう薄暗かったのし、昼食も食べてなかったので、夕飯を済ませることにした。そこの食堂には、冒険者のような人達がいて、酒を飲んでいた。すると、
「おい、ひよっこ、お前俺に酒奢れ」
と絡まれた
「え、無、無理ですよ、お金もうないですし…」
「あぁ?んなの関係ねぇだろ無いなら稼いでこい」
「無、無理ですって」
俺は内心めちゃくちゃビビっていて今にもちびりそうだった。その時、
「新米冒険者をいじめて楽しいの?」
と、整った顔立ちでスタイルがよく、サラサラな髪の毛をした女性が入ってきた。
「なんだぁ?お前には関係ねぇだろ」
「関係ありありね、見たところこの子は新米冒険者みたいだし。同じ冒険者が絡まれてるのに見て見ぬふりはできないわ」
「俺らも同じ冒険者だろぉ、邪魔すんな」
「はぁ、あなたたちと同じにされたらいやね、手荒な真似はしたくないんだけど、言うこと聞かないならしょうがないわね」
と言ってその女性は消えた、と思ったその時、男たちの服がパラパラと、落ちていった。
「な、なんだぁ!何をした!」
「何をしたって、服を切っただけでしょう?もしかして見えなかったの?」
その女性はとてもバカにしたような顔で言っていた。すると、「舐めてんじゃねぇ!」
酒に酔っている男は実力差も分からず突っ込んで行った。
しかし、その女性はスラリスラリと男の攻撃を交わし、みごと転ばせた。
「「あはははは」」
食堂にいた人たちがいっせいに笑った。男たちは女性に負けたのが恥ずかしいのか、金を置いて帰ってしまった。お決まりの捨て台詞をはいて…
「覚えてやがれ!」
俺は不覚にも、その女性に見とれてしまった。戦ってる姿が、とても美しかったのだ。
「大丈夫?新人くん」
「だ、大丈夫です!助けて下さりありがとうございました!」
「いいのよ、同じ冒険者なんだから。あんな男たちとは違うけどねっ」
「ははは」
「またなんかあったら言ってね、助けてあげる」
「はい!ありがとうございます!」
その女性はそう言って帰って行った。
その後夕飯を済ませ、部屋に戻ると、本のことを思い出した。『剣聖の教えその1』は、とてもためになる本だった。
その本を読んでから、毎朝剣の素振り1000、腕立て100、
腹筋100、ランニング10キロ、本に書いてあった呼吸法、歩法の練習を始めることにした。
次の日、朝のノルマを終わらせてから、宿を出ると、重要なことに気づいた。
「金が、無い!」
そう、金がないのだ。昨日泊まった宿で、ほとんど使い切ってしまったのだ。でも今の俺には金を稼ぐ手段がある。
少しでも多く依頼を受けよう。冒険者ギルドに行き、依頼書を見ると、Dランクの所に、ゴブリン3匹の討伐依頼があった。
「これを受けます」
そう言って受付に持って行くと、
「昨日登録したばかりのお前さんがゴブリン討伐はまだ早いんじゃないか?」
と言われてしまった。しかし、俺には金が必要なのだ。ゴブリン討伐を成功させれば、今日一日は過ごせるだろう。そう思っていると、
「まぁ1人ではキツイって言ってるだけだ、誰かもう1人2人いれば安心して依頼できるんだがな」
「うーーんそうですね、でも知り合いが誰もいないですし…」
「なら私が付き添いなら大丈夫でしょう?」
ん?昨日の──────────────
執筆始めました!
更新は頻繁ではないですが、できるだけ早くしていきたいと思います!読んでくれて、感想などを書いてくれると嬉しいです!よろしくです!