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命の蜃気楼  作者: クク
2/2

命を奪った日

首が痛い笑


どこの世界でもそうだ、弱肉強食。強いものが生きる、弱いものは死ぬ、強く強くなろう。何を犠牲にしたとしても。


―――――――――――――――――――――――――――


光に包まれた俺たちは、目を開けると古い酒場のような場所に立っていた。


「ようこそ、人類最後の砦へ。あなた達は選ばれたのよ」

と胸元を大きく開けたシャツに、股間の形が分かるピッチリとしたズボン、赤い口紅、そして髭、まぁ俗にいうオカマみたいな人が俺達にそう言った。状況が飲み込めず皆黙ったままだ。


「あなた達には、これから命をかけて人間の外敵、モンスターと戦ってもらう異論は認めない。」とオカマが言う。


「ちょっと待ってください、急に命をかけて戦うってそんな」と4年授業を一緒に受けていたが名前も知らない同じ教室にいた男が言うと次の瞬間その男の首元にナイフが突きつけられた。


「いい、あなた達の選択肢は3つここで私に殺されるか、命をかけてモンスターと戦い死ぬか、強くなってこの世界を生き抜くかこの3つしかない。どうする?」


―――――――――――――――――――――――――――


俺達に選択肢なんて、1つしか無かった。戦う、それしか生きる道はない。


この世界にきて、わかったことは

たいして、この世界の気候や時間の感覚は変わらない、けど太陽が2つあるのには驚いた。

2つこの世界には、人間の外敵としてモンスターがいる。俺たちはそのモンスターを狩る、狩人としてこの世界に転移されたこと。そして帰れないこと。

3つ狩人にはそれぞれジョブがあること。

4つこの世界ではモンスターを倒せば倒すほど強くなれる、しかしリスクも多い、まずこの世界には傷を治せるポーションや回復薬ましてや薬草も存在しない、神殿で神官に治療してもらうか、狩人のジョブの一つであるヒーラー職に治してもらうかこの2つしかない。


「今日もゴブリン退治行くぞ」

俺とゼミが同じだった山本が声をかける。俺はパーティーを組んだ。


酒場での出来事のあと、俺たちは一人一人首から下げられる銀色の細長いペンダントを貰った。そこに自分の血をつけると自分のジョブが分かると言うので皆行った。俺のジョブはネクロマンサーだった。オカマ女、(名前はディアン)になかなか珍しい職ねと言われた。

モンスターと戦う場合、1人で戦うのはセオリーではなくパーティーを組むのがいいらしいのでとりあえず俺はゼミの男子メンバーである美波と山本と組んだが、これが失敗だった。

ゼミのメンバーで組んだせいで、ゼミの女子メンバーつまり、本橋も同じパーティーになってしまった。パーティーメンバーはオカマが用意した、馬小屋に寝泊まりしている。2つの部屋に男3、女3生活することになった。気ますぎて胃に穴があきそうだ 。


俺達以外にパーティーが6パーティー出来ていたが今更、パーティーを抜けるなんて言う度胸はおれにはなかった。

―――――――――――――――――――――――――――




「そっちに逃げた、追いかけろ」

と山本が叫ぶ。

俺達はモンスター、(ゴブリン)を狩るために森に来ている。

この世界に来て、6日が経過した。

しかし、俺たちは1匹もモンスターを狩れていない。俺達以外のパーティーはモンスターを倒し、レベルを上げたらしい。

俺達のパーティーとしての編成は悪くないはずだ。

戦士の山本、美波

弓使いの本橋

ヒーラーの林

魔術師の大倉

そしてネクロマンサーの俺



しかし、皆生き物殺すことに慣れていないのだ。

俺ははやく、レベルアップしたいと思っているが、俺の場合モンスターを殺せるスキルというか攻撃出来るスキル持っていないのが1番のネックで戦士である男二人に任せるのが1番効率がいい。

俺のいま、使えるスキルは相手の視界を悪くするシャドウと倒したモンスターを使役するスキルネクロマンスしかない。まぁ実質シャドウしか使えない。今の俺はかなりの雑魚、自己嫌悪で吐きそうだ、


「慧斗、危ない」

名前を呼ばれた方向を見ようと体を動かすが、俺の体は俺の指示に従わず、何かのせいで地面に押し付けられた。


地面に押し付けられ、肺の空気が一気に抜け呼吸が出来なくなる。歯を食いしばり、前を見ると、ゴブリンが俺に馬乗りになり、俺の首を握り締めていた。


やばいやばい、息が、、死ぬ、あ助け、てく

と声に出そうとするが、「こふぅ、ヒゥュ、」とただ空気だけが出る。


う、う死ぬ、、い、いやだ、死にたくない


俺は歯を食いしばり、俺の首を締めているゴブリンの手を左で引き剥がそうと力を入れる。


しかし、負けじとゴブリンも首を絞める力を強める。


なにか、なにかないかと右手で地面に探る。

何かが右手にあたる、それは森の中ならどこにでも落ちている木の棒だった。

木の棒を拾い、ゴブリンの眼球目掛けて刺す。木の棒はゴブリンの眼球に刺さり、ドロリと血と何科が混ざった赤黒い物が俺の胸に落ちる。


俺の首を締めていた両手が離れる。しかし、ゴブリンは


「ぐ、ぐぁぁぁ、」

と言うと俺を殺すためにまた、首を絞めようとする。




俺はうぁぁぁいぃぁぁぅぁぁぁぁぁぁぁぁぃぁぁぁぁぉおと

声にならない声で叫び、腰にある短剣をゴブリンの首に刺す、今まで感じたことのない感触を手に感じる。


「コふゅ、、」

と音がなりゴブリンの首から血が出る。


しかし、安物の短剣なのでゴブリンを殺せる程深く刺さってはいない。だが、僕の首を締めていたゴブリンの力が弱まる。今だと僕の全神経が、生きたいという本能がそう告げる。


「ふぅ、ふぅ、死ね、死ね、死、死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね、」

と何度もゴブリンの首に短剣を突き刺す。


「もう、やめろ、」

と声がする方を見ると山本と美波の後ろに隠れた女子達がいた。林と大倉は「うぅ、うぇ、」と何故か分からないが吐いている。


「ああ、山本、俺やったぜゴブリン殺してやった」

俺はこの世界に来て6日目、初めて生き物を殺した。




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