25話 世界滅亡
「今、世界滅亡の危機なのです」
「で、具体的には?」
シヴァさんが冷静に返答するものの、他のパーティーメンバーは皆動揺している。
「え、え?」
「は?」
「????」
もちろん俺も動揺してはいる。
まぁ異世界転生ではお約束とも言えるパターンなのでパーティーメンバーほどの驚きは無いが…
「ではまず順を追って説明しましょうか…、まずこの世界の起源についてから話しましょう…いえ見てもらいましょう」
「おわっ!」
こいつ…脳内に直接…と言わざるを得ない状況である。
魔法によるものだろうか、脳内に直接映像が流れてくる。
隕石同士が衝突し新たな惑星が生まれる。おおよそ地球と同じ形だ。
タイムラプスのように倍速で地球が作られていく…氷河期や隕石衝突、噴火など前世の地球と同じ正史をたどっている…ある程度進むが地球とどうにも陸地の形が全く一緒だ。
しかしさらに映像は進み陸地が狭くなり建物が段々と出来たところで止まった。
(産業革命も何も起きてないのに水位が上昇している?フロンガスとは別の理由で温暖化が進んでいる?いや、そもそも異世界だ。なんらかの天変地異が起きたと考える方が自然か…)
「大方分かりましたかね、では本題です。また、この世界が氷に閉ざされるかもしれないのです」
「氷河期の再来か…何故?」
「1000年前の文明崩壊をしっていますか?」
「知ってるっちゃ知ってる」
「少しは知っている」
「多少は…」
「…(横に首振り)」
「全く分かりません」
「では説明致しましょう。1000年以上前まで魔法はこの世界に存在しなかったのです。ですが1000年前、ある研究者が世界で初めて魔法を使いました…そして人間は1度終焉を迎えようとしました、ですが生き残った人間が7人居ました。この方々が我々ネフィラ教が信じる[七賢者]です」
ありがちな七賢者って奴だな…世界を創ったってやつだろうな
「そして現在に至るわけなのですが、先々月、遺跡でとある文献が見つかりました。これです」
と、渡された紙にはこう書かれていた。
「制…が…ない。この…では、世…が…。即刻…ば、新…を…なければな…このよ…終…る…なら…転…作…私…」
文字が潰れて所々読めないが大体理解した。恐らく世界に終焉をもたらしかけた研究者とやらのメモだろう。
「もう1枚どうぞ」
これまた研究者のメモだ
「もし…残っ…居…ら協…よ…10…年後に」
「なるほど、字が潰れてるが要は[1000年後に]ってわけだな?今年こいつが何かするって事か?」
「おそらくそうでしょう。実際どうなのかは分かりませんが警戒しておくに越したことはありません…そこで、古代の文献にある召喚術式を発動させたいのです」
「召喚術式…?」
古代の英雄復活とかドラゴン召喚とかだろうか?
「えぇ、我々とは違う世界に住む強力な者を召喚するのです」
(は?え、ちょ、え?異世界召喚?は?え?主人公は俺じゃない??)
「で、何をすれば?」
「護衛をお願いしたいのです。[協]とありますし、元々我々も敵が多いものですので」
「わかった。お前らも問題ないな?」
「金さえもらえるなら」
「同じく」
「…(コクリ)」
「…」
落胆で絶句していた。
「では引き受けよう、何時やるんだ?」
「明日の明朝に始めようかと」
「分かった、お前ら寝とけよ」
それから城から出て近くの高級そうなホテルに泊まった。
翌日明朝
「では、皆さん準備はよろしいですね?」
「はい!魔道士総員40名!準備完了しました!」
「あぁ、OKだ」
「始めましょう」
「「「「〜〜〜」」」」
全く聞き取れない。今までご都合主義で翻訳されていたので初めての言語に興奮を隠せない。
と、逡巡している間も足元に魔法陣が広がる。
「〜〜〜」
一人一人順に唱えていく
「〜〜〜」
その後も、それらしい呪文を40人が順々に唱えていった。
やがて最後の一人となった。
「〜〜〜」
「大まかにまとめると『古代の英雄達よ、我々に力を貸したまえ。我らの血肉を糧に現世に呼び覚ませ』だのなんだの言っていた」
言語の法則性を探して難しい顔をしているとシヴァさんが耳打ちしてきた。
魔法陣がいっそう輝き出す
そして魔法陣からヌルりと7人の少年少女が現れた。
(学生服…しかも同じ高校じゃないか…)
とはいっても、面識は無い。まぁ、別に珍しくもない制服だから、違う高校という可能性もある。
「「「「「「「ここは…?」」」」」」