20話 「奴は…でも最弱」(前編)
「なんてこったい」
どうも、鈴谷守こと、エルリディアです。俺は今とてつもなくピンチです。
「はははは!!笑わせてくれるなぁ!劣等種め!ふはは!!」
「あっはい」
「ガキが…殺すぞ」
「やれるもんならやってみてくださいよ」
「後悔しても遅いぞ…」
「かかってこいよ!劣等種!」
「んだとクソガキ!ぶち殺す!」
時は2日遡る
「ふぅ…さすが人外」
「意外とヘコむのでやめてくださいそれ…」
「いいじゃない」
「はぁ…もういいです」
シヴァさんのパーティーメンバーとの初対面から1週間経った。
「よし!帰って酒だ!」
「………(コクリ)」
「昨日も行ったでしょう!てか未成年なんですけど…僕…」
「はは!気にすんな!」
「気にします!」
「ワシはちょいと出掛けるぞ」
「んー、私も今日は用事があるわ」
(本当に協調性無いなぁ…)と思いつつ帰路につく。
「おっ酒!おっ酒!」
と上気分なシヴァさんが馬車から吹っ飛んだ。
「おっと、くしゃみしたら人が減った気がするのう。まぁええわい」
「ふざけんなジジイ!!」
(本当に、仲が良いんだか悪いんだか)と和みながら帰った。
そしてギルドからの帰り道…
「はぁ…疲れたなぁ…」
「おい!キメラだ!キメラが来たぞ!冒険者を呼べぇ!!」
「キャーーーーーーー!!」
「やべぇ!早く冒険者を!」
(帰り道にこれかぁ…)とため息をつきながらも、現場に向かう
「キェェアアアァァァェェエエエアアアアアア!!!!!」
「ん?聞き覚えが…」
目の前には、ワシの頭でライオンのような体とたてがみ、コウモリのような羽がつき、梟のような大きな目玉。そして孔雀のような飾り羽がつき、蛇のような尻尾をした謎の生物がいた。
「これ…前のキメラといっしょじゃ…?」
前に真っ二つにしたキメラと全く同じ見た目の魔物だった。
「ははは!この街に来たのが間違いだったな!このクロウ様がいるからには人を殺させねぇ!」
とキメラの目の前に立つクロウが言った。
「おいっ、お前じゃ」
遅かった。
「ウオラァァアアア(ブチュン!!)」
クロウは食われた。前の俺みたいに。
「オラァ!!」
剣がワシのような頭を吹き飛ばす。
クロウの上半身はもちろん…溶けて無くなっていた
ロナリアもこのように死んだのだろうか…。考えても仕方ない。
「………」
シヴァさん達が駆けつけた
「これは…」
人間の下半身のみの死体と血だらけの俺、頭の無くなったキメラを見てゲイルさんが言った。
「…エル…これは一体?」
「あの死体はクロウという冒険者です」
「なるほど…で、あれは」
「キメラです。梟のような目で鷲のような頭をしていました。それ以外は見ての通りです」
「うむ…とりあえずギルドに報告せねばな」
「…はい」