13話 遂に覚醒[テンプレ]
あれから1ヶ月、サンリーさんに借金をしつつ生活し続けた。クエストをこなすことも考えたが、剣を握ると、どうしても震えてしまって何も出来なかった。
ある日、俺をあのキメラから救い出したという冒険者シヴァがこの町に来ることが分かった。
「行ってみるか」
何だか行きたくなった。
「やぁ、君、キメラに食われていた少年だろ?」
と修行僧みたいな格好をし、三つ又の槍を持った男に言われる。
「は、はい」
「そうか、君があの時の少年か」
「な、なんです?」
「なぁ、一緒にクエストしないか?」
「へ?」
「君は今、戦えるか?」
と、視線を合わせ、言ってくる。
「いえ…剣を握るとどうしても震えて…」
「…そうだろうな。私も最初にパーティーメンバーを失った時はそうだった」
「なら、何故私を誘うんです」
「私はね、とある冒険者に助けられて、今ここにいるんだ。助けられた時、自分も誰かを助けたい、って思ったんだ」
「それで私に何を?」
「まぁ、とにかく来なさい」
「は、はぁ…」
手招きされ、路地に行く。
シヴァは謎の板を取り出した。
「これに触って」
「はい」
触る。板が微妙に光り、何か書かれていく。その板を見たシヴァさんが「へ?」と素っ頓狂な声を出す。
「どうかしました?」
「いや…君は本当にレギンレイヴか?」
「ん?どういうことです?」
「これを見ろ」
と板を見せる。
「これはステータスキーパーといって、ステータスが数値化されて見れるんだ」
「は?」
俺が見た板には
筋力:1080
体力:1050
敏捷:940
魔法攻撃力:980
物理防御力:920
魔法防御力:920
といった、キチガイのようなステータスが映っていた。
「普通の冒険者でも全部100行くか行かないか位だぞ。それにシグルドリーヴァや、スカルモルド、ブリュンヒルドルだって400行って良いくらいだ。私だって攻撃力は560だが、それ以外は300だぞ」
とシヴァさんがまくし立てる。
「知りませんよ…まずこんな強くないはずですし」
「じゃあ、少し私を殴ってみたまえ」
とシヴァさんが言うので、ヤケになって全力で殴ろうとした。
すると、頭の中で声が鳴り響いた。
「武術家の心得を習得」
嫌な予感がしたので弱めに殴る。
体が勝手に動き、全身の筋肉を使って綺麗な放物線を描きシヴァさんに向かって拳が飛ぶ。
「うぉあぁぁぁぁぁあ!」
シヴァさんが吹っ飛んでいきゴミの山に突っ込む。
「え…え?」
「おぉう、すっげえな1000越えの攻撃は…」
シヴァが腹をさすりながら言う。
「なぁ、これでもまだ、戦えないか?」
「や、やってみようか…」
「さぁ、行こうぜ」