第1章 1-25 襲撃者と別れと
1-25 襲撃の対処とハハハハハとクククク
ここはエルドラド王国の王都≪レセトラス≫の中心にそびえ建つ王城内、その王城内に存在する数多くある部屋の中で主にVIPである人物を真っ正面に座らせ、言葉で相手の考えを探り合い、こちらに有利な交渉を引き出させ、相手より優位な条件を互いに引き寄せ合う戦場として使われる部屋である
その部屋には国王を…否、王国を舐められぬようにするために部屋の向きも調整されている。
日差しが国王の後ろから陽が入るように計算されているため、相手からは国王の表情がわかりづらくなっており、反対に国王側の視点では相手の表情の微細な変化を知ることが出来る為、交渉でアレンジしやすくできるのである。
室内にある調度品も国王より目立たぬようにしつつも王国としての威厳を損なわぬ豪華さと映えを両立するように複数の職人にテーマから創られた作品から選び配置されている徹底振りだ
その部屋は今、襲撃者達とその者達を迎撃した者達によって観るも無惨な様相になってしまっている。
照明や窓は粉々に砕かれ、テーブルや椅子にはナイフや魔法により切断や破損されてしまっている。
このような惨状は15分ほどの短時間に行われ、その後鎮圧された
この世界へは異世界召還に巻き込まれてこの世界にやってきた扇江星は戦争とは無関係の世界にいた事もあり、襲撃直後からずっと固まったままだったところを事前に聞かれていたグレンによって庇われて無傷だった。
扇の側にいた国王とフローリアは扇と共にいた為、無傷
グレンは3人を庇いつつ襲撃者と対峙したカレンのフォローを行うという八面六臂の活躍をしたのだ。
それはそうだろう。グレンは軍務大臣であるため有事の際は戦況を分析しつつ、軍の行動の指示を飛ばすため、全体の状況把握と行動力は折り紙付きの人間なのである
そのためエルドラド王国においてはグレンは王国史上で右に出るものがいない程の傑物である。間違っても扇の保護者ではないのだ。
一方、襲撃者と真っ正面から対峙しなければならなくなったカレンは襲撃直後にカレンと交代をして、襲撃者達と対峙しつつ非戦闘員の一時避難が完了するまでは攻撃を避け続けることにしたのだ
「カリン!避難は完了だ!援護するぞ!!」
「え、えぇ!!了解したわ…」
その後はグレンの援護によって余裕を取り戻したカリンにより賊を行動不能にすることが出来たのだ
「ふぅ~…武器携帯許可していて良かったぜ」
「ほんとうじゃのぅ…カレン嬢ちゃんもお疲れ様なのじゃ」
「ワタシはカリンよ。とっさにあの子と変わって貰ったのよ、戦闘面はワタシだからね」
「なるほどのぅ。オウギ殿はどうじゃ?はじめての戦いの場じゃからの、かなり心配なのじゃが…」
国王の言葉におれはやっと今の状況に気づいた
「大丈夫…とは言えないですね…正直落ち着いたら吐きそうです」
「オウギ様、お背中をさすりますわね。反対側を向いて深呼吸をしましょう。
…たぶん、旅にでたらこれ以上に悲惨と言えるような場所を目にするかもしれませんですし」
『そうですわね、ご主人様はこの世界で生きていくとお決めになられたのですし、可能ならば今の状況は有り難かったのかもしれませんわね…』
『かもな~…主、酷なことを言うが、少しずつ慣れていった方が良いぜ』
『ボクとしては、今のままの主でいてほしいけどね~この状況になっても平然としてる主はちょっとやだな』
「精霊様の言うことはごもっともですわね。私も今のままのオウギ様でいてほしいですし」
精霊達とフローリアの言葉がなかったら俺は部屋に引きこもってたかもしれないな…
だって、こんな俺を好いてくれている人達が身近にいるのだから
「まぁ、少しずつ慣れていくことにするよ」
「ケッ!クソ青臭ぇガキどもだな。三文芝居なんざヨソでやれってんだよ!!」
俺たちの会話に突然割り込んできた声にそちらを向くと、襲撃が失敗に終わり捕縛され隠し持っていた武器や毒を取り上げられ無力化され床に転がされた襲撃者だった
「てめぇの覚悟なんざいらねぇんだよ!さっさとくたばれば良かったのなぁ、その覚悟のなさが手めぇの地獄の未来を決めちまったんだよぉ!!ギャッハッハッハ!!!」
「…お前さんにゃいろいろ聞かなきゃいけねぇからな、楽になれると思うなよ?」
「はっ!んなことハナから思っちゃいねぇよ!どうせ俺は…あの方から目的は達成したからな!」
「「「「は?」」」」
襲撃者の言葉に意味がわからず、全員が唖然としてしまったのがとても嬉しかったのか、襲撃者はとても愉しそうに言葉を重ねたのだった
「俺はもうすぐあの方の礎となるからな!土産に目的を教えてやるよぉこの襲撃はある方からの依頼なんだよなぁ! …そこの『魔王の暗部』である[カレン=ラフニクス]の父親であるラフニクス家当主のレドニド様からなぁ!!!」
「…っ!!!!」
――――――――side:カリン(カレン)――――――――――
襲撃者の言葉にワタシ、カリンは驚きはしたものの顔に出す程ではなかった。
なぜならば、コイツはカリンの父親の側近の部下だったからだ
コイツはラフニクス家において襲撃を担当する部署にいたのを知っていたからだ
でも疑問が残るのよね…本来ならコイツはここにいないのだから
コイツは元々魔王国にいて、侵攻時の部隊への襲撃を担当だったのだから
「アンタ…ワタシから1つ聞いてもイイかしら?」
「あん? 裏切り者が俺様になんのようだよ?」
「…その依頼は本当にお父様[レドニド=ラフニクス]から依頼を受けたの?」
ワタシの質問にみんな訳がわからないのか怪訝な顔や首をかしげているが、目の前のコイツは周りの状況が見えないのか自信満々に答えたのだ
「あぁ、そうに決まってるだろうが!あのレドニド様からの依頼だ!」
「依頼は本人から直接依頼を受けたの?」
「あん? 直筆の依頼書を上司から貰ったんだが?ご丁寧に家紋付きの封蝋でだが?」
そいつの答えを受けてワタシは違和感が確信に変わった
「なるほどね、そういうことか」
「カレン嬢ちゃん、なにやら納得しとるようじゃがどういうことかの?」
ワタシの言葉に国王が質問をしてきたのはそう思うわよね
「結論から言うと、アンタが受け取った依頼書は捏造の可能性があるわね。」
「「「「「『『『はぁっ!!!』』』」」」」」
「父様はそもそも依頼の場合は絶対依頼書だけではなく父様本人が口頭で依頼を説明してから依頼書を渡すのよ。依頼書には蜜蝋に家紋をつけずにね。
少なくとも私以外の人間にもそうしていたわね。なぜなら、依頼書だけでは細かいことが伝わらないし、依頼書を曲解してしまう恐れがあるもの。
父様が蜜蝋を使うのは陛下への報告書の時だけよ。いちいち蜜蝋していると時間がかかるから、指示遅れによる失敗を父様はなにより嫌うからだもの。
…アナタ、その依頼書を渡した人物は誰だったの?」
「…依頼書は俺の上司だが?」
「多分ソイツの独断専行ね。父様が居ない隙に偽造と捏造をしたのかもしれないわね」
「…なら、俺は…」
「多分捨て駒にされたのかもしれないわね」
「そん…な…」
ワタシの言葉に膝をついてしまったけれど、まだあるのよね
「国王様、いくつか確認しておきたいのだけど良いかしら?」
「ん?なにかね?」
「今回の事なのですけど、彼に罪状をつけるとしたらどれほどになるのかしら?」
「ん~…今回のがそのままだとすると、死刑か奴隷に落として強制労働じゃのぅ」
「まぁ…妥当だろうな。 …カリン嬢ちゃんからは何かあるのか?」
「えぇ、今回のは異例ずくめなのよね。だから、判決を下す前にこちらの方でも調べておきたいのよ。もしかしたら彼は誰かに唆されているかもしれないしね。私からの報告を含めて判断したいのよ」
「難しいのぅ…まぁグレンがなんとかしてくれるじゃろう?」
「はぁ!! …人使い荒すぎるだろうが…」
「あの~…なら、こうしたら良いのではないですか?」
ワタシ達が会話をしていると突然オウギが提案をしてきたのだ
「カレンさんが戻ってくるまでは彼に俺やフローリアを影から護衛して貰うとかはどうですかね?」
「「「「……」」」」
今回の事で一番の被害者である彼からそのことが出るとは思わなかったと言えば嘘になるのよね
彼の話をまとめると、今回の事で周りの事に気を配れる人が居るだけでかなり違うのではと言うことらしい。んで襲撃者には港町まで一緒に来て貰い、そこまでの過程恩情を加味して判決を下すということらしい。
魔王国にとってもその提案は魅力的なのだけどね...襲撃者である彼は上位に君臨している実力者でもあるのだし
「お、私はそれでも構いません。必要であれば奴隷落ちでも構いません」
襲撃者君としてはむしろ納得しているらしいわね
「まぁ、オウギ殿の提案を受け入れた方がいいのかもしれぬのぅ…あいわかった。ワシとしてはオウギ殿に助けられておるからの、それで良いぞ」
「いいのか?国王さまよ」
「うむ。ワシとしては今回のはいささか可笑しな点もあるからの。その調査と照らし合わせてからの方がいいじゃろうしの」
「たすかるわ。ワタシもこのあとすぐに魔王様に確認と調査をとりに行くわ」
「ワシらの方もそのように動くでな、よしなにじゃ」
国王との会話が一段落したのでこのまま向かってしまいましょう
「それではオウギさん、フローリアさん、ワタシはこのまま魔王国に向かうから、ココでお別れね。」
「カリンさん、了解しましたわ」
「カリンさんもお気をつけて」
さて、どんな困難がこの後待ち受けるのかしらね…
――――――――――side:オウギ――――――――――――
襲撃の件も片づいた(?)とはいえ、しばらくは厳戒態勢が敷かれることになった俺たちだが…
「つっても、オウギ殿の場合は特に忙しくなることはないだろうしな。いつも通りで良いんじゃね?」
というグレンさんの言葉でいつもと変わらないらしい
とはいえ、襲撃者のこともあるし、これからのことや、フローリアさんのこともあるし…俺としてはスローライフしたいのに、ほんと、どうなってしまうんだろう
――このときの俺は…俺たちはこの世界について何も知らなかったのだから
――なぜなら運命の歯車は神によって突然差し込まれその流れを容易に狂わされるのだから
――神の悪戯によって狂わされた歯車に俺たちが巻き込まれるまで、あと半年―――
これで第1章は終わりとなります
次の章はまだプロットすら真っ白でして、早くて9月頃までには第2章を更新出来たらと思っています
第2章ではさまざまな人物が登場しますので、お楽しみにして頂ければと思います
それまでには閑話を入れられたら良いな~とおもっています
では、次章でお会いしましょう!!
(2019/07/24 クラレヤン)




