第1章 1-22 疑惑と魔王と
この話だけで1週間半かかってしまった…
1-22 疑惑と魔王と
ーーーーーside:カレンーーーーーーーーー
「それでは、わたしが今回ここにいる理由を話しますが…大丈夫ですか~?」
「う、うむ…話しても大丈夫じゃ…」
え~と…フローリアさんが語った「未来に起こる魔王様との会談にはフローリア様が出席することについて」のことで問い詰めていた王様とグレンさんでしたが、お姫様に丸め込まれてしまい、落ち込んでいます…これで話しても大丈夫なのでしょうか・・・?
わたしが思っていることに気づいたのか、姿勢を戻した国王様が頷いたのを確認してから、わたしが許可をえる内容「オウギ様の驚異度を知るために監視をするための事前承諾」をこの場にいる全員(オウギ様とグレン様)に話しました。
「うーむ…確かに、今回のことに関しては、魔王国…ひいては港町との衝突の回避というのは良いことかもしれぬのぅ…もちろん今すぐに許可を出せる訳ではないが余程のことがなければ許可を出せると思うぞ?のぅ、グレン?」
「まぁ…なぁ…問題があるとすれば、オウギ殿の狂信的な信者や帝国にお恩を売りつけようとして暴走するバカがいなければいいんだが…ま、そんなことすりゃ、マジモンで血の沼に沈むだけだが。もちろん、仕掛けた奴がな」
「お主がそこまで言うということは、彼女はお主以上の実力者ということかのぅ?」
「あぁ、この国では良い勝負が出来るのが俺だけだろうな、負けるのは俺だが」
「やるとすれば…旧体制時代の古参どもかの…まぁ、あやつらには政治の職につけておらぬから大丈夫じゃろう」
「えっと、いろいろ聴きたいことがありますけど、その前にとても聞き逃したくないワードがあったんですが…俺の狂信者って何ですか!!」
わたしも聴きたかったのをオウギ様が絶叫気味に聞いてくれました。狂信者ってなんです?
「は?知らないのか?おまえの料理や知識の深さを知り、おまえさんを知識の神様と呼んで崇拝している奴らのことだ」
「ワシ直属の配下からの情報じゃとこの王都だけで平民や商人を中心に数万はいるそうじゃぞ?」
「わたしからすれば、いずれ港町と魔王国にも信徒を増やしたいと考えていますよ?」
そんな情報知りたくなかったです!!
…というか、フローリア様?港町はともかく、魔王国まで巻き込まないでください
「カレンさん、大丈夫ですわ。あちらでは料理の革命者と呼ばれるでしょうから」
いえ、本当に起こりそうなので止めてください。
…オウギ様とはあとでちゃんとお話し合っておいたほうがよさそうですね…主にバレないようにするための対策を
オウギ様もそのことを危惧したのでしょうか、あとで料理関係のことで相談に乗ってほしいですと言ってくださいましたので、大丈夫でしょう…たぶん
「んんっ!!話を戻しましょう。狂信者の方はオウギ様を害さなければ何とかなると思いますので、オウギ様を売ろうと考えている方達でしょうか?」
「そちらの方は、グレンか直属の奴をオウギ殿のそばに控えれば大丈夫かのぅ…しばらくすればフローリアとオウギ殿が購入した奴隷がその役になるじゃろうな…」
「そうだな。アイツ等に交代でつけるようにしよう」
「アイツ等とは?」
「オウギ殿の魔法を教える時に必要な物を重力魔法で持ってきた奴らだ、アイツ等ならば買収されるようなことはないから安心だしな」
「そうじゃな。その方向で調整を頼むぞ
あとは…お嬢ちゃんに関することかの?グレンはどう考えておる?」
「まぁ、そうだな。対策としては事前にお嬢ちゃんのことを知らせ、お嬢ちゃんには腕章か名札みたいなのを見えるところに身につけてもらえば大丈夫だろうよ。何かあっても、正規の方法でその場にいるのだしな。」
「ふむ。お嬢さん…カレンちゃんじゃったかな?今までの話の限りでは今回のことは本来ではあり得ぬ事…オウギ殿の世界の言葉では…い、いれ…いれぎゅらぁ?じゃったかな?と言うことになるのじゃが、カレンちゃんほどの実力者ならばワシらに報告せずとも監視を行えていたと思う。じゃがこうしてワシらの前に姿を見せ、正々堂々と真っ正面から許可を得るというのは本来の職務としては失格と魔王国の人から批難されてもおかしくはないはずじゃ。そうなるとワシとしては批難されても良いと思う理由があると思うのじゃが、そのことを聞いてもいいかのぅ?」
国王様の言葉を聞いているときにわたしはこの人が強かであり敵味方問わず話の中の文章から隠された単語を探し、それを汲み取りあえて自分に注目させることで流れを国王様に引き込み場を整えてしまうのにそれを周囲に気付かせずに行うこの方を、心の中で恐ろしい方だと理解しました。現に先ほどまで中心にいたフローリア様は空気に押されて会話に入ることが出来なくなっています。なによりも、この場の中心は国王様だと言うことをグレン様やフローリア様が気付かない程自然に引き込んでいるのですからね
この力でいままで帝国の帝王と渡り合い、王国を帝国に食い散らかされずに残してきたのだと実感してしまいました。
わたしがそのことを気付いたのか、国王様は一瞬だけ片目を閉じてくれたのですから。
「はい。本来であればわたしの行動は失格どころか失職レベルの失態になりますね。」
国王様は目線で続きを促してくださいましたので、正直に伝えた方がいいでしょうね
「そもそもの話ですが、異世界からの召喚を行ったことが異常事態となります。帝国が港町に対し小競り合いを仕掛けて来ることは数十年前からあり、その度に領土の増減がされてきました。いままで小競り合い程度であったはずの帝国がなぜ異世界召喚をおこなったのかがわからないのです。」
「え?おこなったことがわからない…ですか?」
「えぇ、そもそもの話ですが、最初から異世界召喚をおこなっていれば、数十年も小競り合いを仕掛けることはせずに終わっていたはず。わたしの考えでは、帝国には元々異世界召喚に関する方法を知らなかったと考えたからです」
「ってことは、なにか?誰かが意図的に帝国に情報を伝えたヤツがいるっていうことか!!」
オウギ様の疑問に答えますと、グレン様が驚愕して立ち上がりました
「はい。その可能性があります。これは帝国で情報収集をしていたときに知ったことなのですが、我が魔王国のほうでも暗躍をしている輩がいるかもしれないという情報を帝国の一部の上層部が話していました。もっとも、その話を詳しく聞く前にオウギ様の事に話題がうつってしまったので、真意は不明ですが…」
「なるほどのぅ…たしか召喚の方法などは王国が管理をしていたはずじゃが…早急に調べさせようかの。」
「そうだな、すぐに調べるように部下に指示を出してくるぜ」
国王様の言葉にグレン様が部屋の外にいる部下に指示を出しました。
『ん~、ちょっと話に割り込んでもいいかな?』
グレン様が席に戻ると、オウギ様の肩にノーム様が顕れ、手をあげたのです
「はい!大丈夫ですよ、ノーム様!」
『そんなかしこまらなくて大丈夫だよ~
えっとね、話というのは精霊…特にボクたち土の精霊達になるかな、ここ十数年くらい前から帝国領から精霊達が逃げてくることがあるんだよね~本来ボクたち土の精霊は土着信仰が強いから生まれた場所から遠くに離れる事はしないハズなんだよね』
『まぁ、俺のような火の精霊やウンディーネやシルフはその場に留まること自体が少ないからな』
『ですわね、わたくしたちは絶えず移動していますし』
『そうだな。我ら闇の精霊もその場から動かないが、物の移動があるから不動…とは言わぬしな』
精霊様達もノーム様の話に感じるところがあったようなのか、それぞれの見解を述べて頂きましたが…土精霊様達が帝国から逃げるような自体だとは、何があるのでしょうか?
「そういえば、ジェイドも帝国には行きたくないとゆっていましたよね?」
『あぁ、なんというか、あそこにいると気が狂いそうになったのでな。だから我はてっきり帝国領に精霊がいないから情報収集が難航していたからそれが原因かと思っていたが…なにやらきな臭くなってきたな』
そうですよね、召喚もそうですし、帝国からの精霊達の避難、精霊達の気が狂う…あの国では何をおこなっているのでしょうか…
「ふむ。これに関してはワシらも勘ぐられぬように調査をおこなう必要がありそうじゃの」
「この件は流石に俺ら軍務からは手出しが出来ねぇからな。頼んだぜ」
「うむ。軍務は実行部隊でワシの直属が調査をになっておるからの、任されたぞぃ」
『というか、カレンよ俺が言った言葉をよく覚えていたな。流石に驚いたぞ?』
「ジェイド、わたしだってそれくらい覚えていますよ!!!」
『ふ、そうだったな。すまなかった』
「~~~~~っ!!!」
「えっと、ジェイドもカレンさんも落ち着いてください!」
「『はっ!!!』」
わたし達の会話で場の空気が軽くなったのか、みなさんが脱力していました
あのですねカリンさん、溜息をつかなくてもいいと思うのですが~!!
「そうじゃのう…精霊の話については、王国でも調査はするが、期待はしない方がいいじゃろうな…魔王国の方では…」
「調べることは可能ですけど、魔王国でも不穏な噂がでているので、公に調べることは難しいかもですね~、魔王様には話そうと思いますので、すぐにでるかどうかわ…親にもはなせないですね」
「ん?両親は…」
「わたしの家…ラフニクス家はこの話をすると、嬉々として調査に乗り出すか一家の恥曝しとして絶縁されることになるので…」
「「「へ?」」」「え?」
わたしの言葉に全員が驚いたようです。というかフローリア様まで驚いているのですが?
「ラフニクス家は現在の当主である父様の発言で、今よりも上の位に行こうと躍起になっていますので…わたしはどちらかというと今の家はちょっと盲信過ぎていて、怖いくらいなのです。そのようや状態の時にこの情報を渡したら…オウギ様にちょっかいを仕掛けると思うので…」
「う~む…なるほどのぅ。そうなるとお嬢ちゃんから直接魔王殿に行く方がイイかのぅ...必要とあらばワシから一筆したためたほうがいいかの?」
「いえ、大丈夫だとは思います。…実は魔王様に封書を渡すことの方がめんどいことになるのです」
「「「は?」」」
「今代の魔王様はそれはそれは美しい女性の魔族の方なのですが…いかんせん興味を持ったら自分で調査に行ってしまう程に行動派なのです…家臣に内緒で出かけるくらいに」
「「「・・・・・・・・」」」
「い、以外とアグレッシブ…これじゃ伝わらないか、猪突猛進…思い立ったが吉日」
「ちょと? おもいたった…?」
「えっと、両方とも似たような意味で、自分がそう思ったら他のことには目もくれず即行動しちゃうという、元いた世界での四字熟語と諺のことだよ」
「魔王様…否定できない魔王様が悪いのですよ~!!!」
わたしの言葉でどこからかでくしゃみした魔王様がいたような気がしますが、魔王様のせいなのですからね
「話を元に戻しましょう。もし魔王様にカレンさんがお父様がしたためた封書を渡した場合、どのような行動をとりますでしょうか?」
「そうですね…考えられる可能性は2つ
1つは、一人で城を飛び出し、王城まできて、勝手に侵入し、国王様に会談を申し込むかと思いますね
2つめは、暗躍している人に怒りを向けて、暴走するかと…こっちの方が影響は大きいです」
「うむ…1つめならまぁ、穏便な方かのぅ…こっちはたまったもんではないがの」
「まぁ…な、警備の奴らの誇りは真っ二つになるがな・・」
「その場合はわたしが予知できればいいのですが…」
「難しそう…ですかね…」
「えぇ…」
『『『『えっと…みんな頑張って(れ)』』』』
みなさんの気持ちが1つになった瞬間ですね…はふぅ…
歴代魔王はアグレッシブなのが多くて、臣下の人たちは即行動にならないよう、すぐに動く部隊がいる程です
今代の魔王は歴代と比べるとまだ考えて動く人(?)です
次回は7/6(土曜)の14時頃になります




