第1章 1-17 理由と表裏と迷子と
彼女の願いの真意とは!!!
1-17 理由と表裏と会談と
えっと…何かの聞き間違いかな?
「言い間違いではないからもう一度言うわね。あなたをしばらくの間、監視させて欲しいの」
聞き間違いではなかったか~
「あー…えっと、嬢ちゃん? 俺の方からいくつか質問したいんだが…普通は監視っつったら、隠れて監視するんだろ?なぜ正直に言ったんだ?」
「確かに、本来であればわたしも隠れて監視をするわよ。でもね、今回に関しては正直に伝えた方がいいと判断したの。
まず、監視対象であるオウギさんには精霊がついていることね。精霊と契約していると、いくら対象に気付かれなかったとしても、精霊から見つけられずに監視を行う事は不可能なの。
実際、わたしは過去にわたしを監視していたヤツに気付くことが出来なかったけど、ジェイドに教えられて、捕縛しているからね。」
こう言ってるようだけど、そこんとこはウンディーネさんの意見を聞きたいのだけど?
『彼女の言っていることは間違いありませんわよ。わたくしたち精霊は、自然現象が自我を持ち実体化したのです。言うなれば、自然を味方にしているわけですから、そこにポッカリと穴があく…違和感を覚えるわけなので気付かないと言うことはあり得ないのです』
「あ~…俺たち軍務の奴らも気配や違和感から敵襲や状況を察知したりするからな、そのような感じか~。 …なら次だな、なぜ俺がいるこの場で言ったんだ?オウギ殿だけにこっそり伝える事が出来たはずだぜ?」
「簡単に言ってしまえば、予め許可を得てしまえばオウギ殿の監視に堂々と王城に出入りが出来るからですね。そのためには、主だった方達で検討する時間を設けた方が時間をかけずに行えるからです」
「ふむ。筋は通ってるな…わかった。ここでは結論がでないから国王達に今日のウチに伝えとく。明日の会談時にはすぐに話題に入れるようにしておこう」
「わかったわ。その怪談の時にはジェイドも顕現させますので、よろしくお願いします」
『ん?我もでるのか?』
「ええ、あなたが顕現するならば、他の精霊も同席したいと思うでしょうから、意見の交換がしやすくなるからね、と言うわけで顕現は会談時と言うことでジェイドの同席の許可をお願いします」
「・・・わかった、そのときには国王もいるだろうから、伝えておく」
ジェイドの必要性があるのかな?単純に俺の調査ですごいことになってる気が…
「オウギさん、なんでこんな大事に?って顔してますけど、それくらい重要な案件ですからね?今の段階でも魔王国にとって単純な脅威度であれば勇者よりオウギさんの方が高いですからね?」
「そうだろうな、勇者達は単純な攻撃のリスクだけだが、オウギ殿の場合は精霊様達による攻撃のリスクと、食文化の侵略のリスクがあるからな。」
いやいや、食文化の侵略って、ただの料理ですよ?
「オウギ殿からみれば普通の料理でも、俺らでさえあんなに盛り上がってるんだぞ?さっきの魔王国での食事事情を考えりゃ、それだけ脅威って事だな」
「はい。そういうこともありまして、ちゃんと調査をおこなう必要があるのです。先ほどの理由もかねて、隠密での監視…もとい調査のほうが適切かもですね、そういうわけもありまして、王国関係者のいる目の前で許可を得たいと思ったのです。」
「俺個人としては、今までの会話のなかで嘘とかはみつからなかったからな...許可は出してやりたいが…さすがにこの場で許可は出せねぇな、会談の場でだな」
「わたしも、許可が出るまでは動きませんし、いざとなれば監視をつけて頂いても構いませんよ」
「いや。そこは信用…とは言えないが、監視はつける気はねぇよ。それこそ不誠実だからな」
「では、わたし達は明日の昼前に王城に向かいます」
「わかった。外まで送ろう。送らねぇと変な誤解を生むわけにも行かねぇからな」
あぁ、奥さんは恐妻家ですしね~
「そういう意味じゃねぇからな!てかオウギ殿!わかってて言ってるだろ!!」
グレンさんとのやりとりで場が少し和んだところで、カレンさんはグレンさんと一緒に退室をしていった
―――――――――side:カレン?―――――――――
「――――んで?お嬢さんは明日までどうするんだ?野宿か?」
「いえ、さすがにか弱い若い女性が野宿では襲われてしまいますよ、どこか宿を取ろうと思います。」
わたしがそう言うと、わたしと共に部屋を出てきた男が声が震えないように話してきた
「どこがか弱いだ。仮に俺が死ぬもの狂いで挑んだとしても軽く返り討ちにされるだけだっての。
現に今もお嬢さんと会話をするだけで恐怖で足が竦んじまってるのを知られないようにするだけで必死だってのに…」
「いえいえ。おにぃさんもなかなかの強さですね。上から数えた方が断然早いです、魔王国で例えますと…四天王の側近と良い勝負ができますから、落ち込む必要はないですよ♪」
この男はわたしの実力をすぐに見抜きましたからね。実力を見抜いたのは魔王国でも一握りです
現に、対象が部屋に来るまでのあいだ、わたしにかなわないのを承知で交渉をしていましたからね
「この国では勝てる奴がいないくらいの強さなんだがな~…自信なくすわ…つ~わけだ、おまえさんも絶対手を出すなよ。≪リース≫」
「ええ…今も恐怖で立っているのがやっとだもの、動けるないわよ!」
「あのドワーフのお嬢さんもなかなかですね。私は明確な殺意をもって挑まれない限りは殺しませんよ。あの子は興味深いから持ってかえ「それだけは俺らが死んででも阻止するぞ」…そこまで殺気を持たなくても大丈夫ですわよ。
例え魔王からの命令であっても、行う気はありませんもの。わたしから視ても興味が湧いたのです。渡す気はありませんわよ」
そう、表のカレンとあったあの子、オウギくん…だったかしら?あの子を例えるなら巨大な金剛石の塊ね。一部は磨かれてはいるけど、まだ地中に埋まってるから全容がわからないわね。少なくともすぐにどうこうする気は無い。今は顔を合わせて話しただけ…縁を結ぶだけで十分。
あの子がどんな風に輝くかしら…輝かせるには一度黒く滲ませる必要があるのだけど…
「そうそう。今のわたしは普段出ているカレンとは別よ。わかりやすく言えば...裏かしらね表のカレンとは全くの別物よ。滅多に出てこないから安心しなさい」
「そうしてくれると俺の心配事が減るから助かるんだけどな。
1つ…いや2つ聞きたい、お前さんに名前はあるのか?また、お前さんと同じように表裏がある人間はいるのか?答えられるなら答えてくれ」
ふむ…この男はわたしよりも弱い。でも、弱いながらに知恵がある。本来なら答える気は無いのだけど、わたしはこの男は嫌いではないわね。
「そうね、あなたは弱いなりに知恵を絞り出して、少しでも判断材料を増やそうとしている。そういう男をワタシは好きよ。」
「俺は既婚者だ、頼むからリースの目の前での修羅場はゴメンだ」
「一夫多妻もそうだけど、毎日死と隣り合わせの生活とか私もいやよ!」
「あら残念。そうね、あなたたちの心意気が好ましいのは事実よ。だから質問に答えましょう、ワタシに名前はない。裏カレンとか呼べば良いし、なんならあなたたちで名付けても構わないわよ。そして、表裏のある人間は我が≪ラフクニス≫家のみだけよ、カレンを含めて3人ね」
「3人もいるのかよ…マジで魔王国は恐ろしいところだわ」
「グレンでもかなわないところと戦争するって、あの帝国は頭おかしいんじゃないの?」
「まぁ、否定はしねぇけどな。 んで、名前だったか?リースが許可するならな」
「はぁ! わたしのグレンが名付けとか…本当はイヤだけど、今回は特別よ!」
「まさかお前が渋々了承するとはわな…なら・・・表と似た感じで、間違えてもごまかせるような方がいいだろうから・・・カリンでどうだ?」
「そうね、わたしも呼び間違えそうだし、グレンのカリンで良いと思うわよ」
目の前の夫婦で話し合いのあと、ワタシの名付けはカリンとなった。やっぱりあの二人は良いわね、本気で考えようかしら
「「頼むからその考えをそっこく破棄してくれ!!!!」」
・・・この二人をからかうと面白いわね…また来ましょう
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―――――――――――side:オウギ―――――――――――
カレンさんを外に送りに行ったグレンさんが戻ってきたが、なんか疲れた顔をしてるから、尋ねたけど教えてはくれなかった
今度、疲れに効くものをつくってプレゼントしようかな
そんなわけで王城に戻って、午後の予定をこなしていると夜になり、あした行われる会談への準備などが行われた
「では、今日はこんなところかの。明日は大事な会議があるからの、皆はゆっくり休んでくれ。では、解散じゃ」
国王様の一言で会議が終了し、解散することになった
「では、今日は俺は部屋に戻って、休みますね。明日は会議までは装備に慣れるように王城内で練習しています」
「お~ぅ、オウギ殿お疲れ~ぃ。部屋まで送るぜ~」
「いえ、グレンさん、カレンさんと会ったときからものすごく疲れているようですし、俺もここで生活しているので、迷わずに部屋に戻れますよ」
「いや、しかしだな…」
「それに、俺には精霊達がいますからね。何かあっても対処できますよ」
『そうだねぇ~、ならボクだけでも大丈夫だろうけど、念のためウンディーネを呼べば万全だよ~』
『ワタクシを呼びましたか?』
ノームの呼び声にウンディーネが顕現したので、グレンさんも渋々だが了承してくれた
「では、俺たちはこれで。みなさん、明日もよろしくお願いします」
『じゃ~ね~』『おやすみなさいませ』
「オウギ殿、おやすみなさいなのじゃ」
国王様たちに挨拶をしてから部屋を出ると、夜だと言うこともあり、廊下は薄暗く、魔力に反応して灯りが点るように作られた[魔力灯]が等間隔に置かれている。元の世界ではランタンに似ていて、この世界では魔導具だ。
「ん~…寝るにはまだ早いし、少し遠回りをしてから部屋に戻ろうかな?ノームとウンディーネもそれでいいかな?」
『ボクはそれでもいいけど~』『ご主人様、ワタシが地図を持ちますわよ』
「いいよいいよ、たまには俺が持たないと、これが日常になっちゃうと、ありがたみを忘れちゃうからね」
『それはそうですが…』『まぁ、主様がそう言ってるのだし、良いんじゃない?ボクらがいれば、なんとかなるだろうし』
『うむむ…はぁ、わかりました。』
ウンディーネはものすご~く渋々了承してくれたけど、もともと日本人だから、自分で出来ることは自分でやりたいんだよね…
精霊達と話しながら、王城内を探索していたのだけど…
「あれ?ここどこだ?さっきまでは知ってる道だったのに?」
『だからわたくしが地図を持ちますと言いましたのに…』
『そういえば主って方向音痴だったよね~すっかり忘れてたよ~』
『嘘おっしゃい!わかっててああ言ったのでしょうが!』
『あ、バレた~?』『わかりますわよ!!』
まぁまぁ、二人とも落ち着いてくれって。
おっかしいな…何度も通った道だったから今度こそ大丈夫だと思ったのに…
『間違えそうになる前に、案内役が正しい方に誘導してくれていからですわよ…なんで今回は大丈夫!って思うのかしら…』
『多分、今回間違えたのは自分じゃないって勝手に解釈してるからじゃないかな~』
『絶対それですわね。しかも、そういうときに限って周りからの意見を聞きませんものね』
『だよね~。今回はダメだったけど、次回は大丈夫!っておもってるんだろうね~』
あの、二人とも、お願いだからこれ以上言葉の矢を放らないでくれ…マジで痛いから
おれの短所…もう弱点と言っても良いか…俺の弱点は方向音痴なところだ。
子供の頃に、友達と近所の公園に遊びに行ったときも、気がついたら隣町のスーパーにいたんだよな。
高校の卒業旅行の時も乗り換える時に大都市の駅構内で迷子になり3つお隣の県についてしまったのだ。後で友人達と調べたら、乗り換えのホームを間違えたらしい。
そういうことがあったから、友人達は移動の際におれが乗り間違えないように前後について監視をしていたくらいだ。
異世界に来てからも、メイドさんや執事さん、グレンさんが一緒についてくるのはこれが原因だ。
「ん~…ここで俺の判断で動いちまうと、もっとやばくなるのは今までの経験でわかるから、じっとするか、周りの判断に従うのが良いんだろうな…さらに迷子になりたくないし」
『それが賢明ですわ…わたし達がこの場に留まり、部屋に戻れる道順を確認しますので、動かないでくださいませ』
『そうだよ~すぐにわかるからね~』
了解。さすがに今度からは移動時はお供の精霊に任せます。
【――――――――――】
ん?
『どうかした~?』
あぁ、いやな。なんかかすかに声が聞こえたような気がして
『ボクには聞こえなかったけどな~ ウンディーネはどう~?』
『声…・ですか? う~ん…ここは王族たちが過ごすところみたいですわね』
ウンディーネは必死に探してくれてるため聞こえなかったのかな?
『――――――ぅ―――――』
あ、ほら、聞こえたでしょ?
『あ、ボクにも聞こえた』『わたくしにも聞こえましわね』
なんというか、苦しんでる?声だったな
『――――ぅぐぁぁぁぁ―――――』
こうしちゃいれないな、ウンディーネ、あの声のところまで案内して欲しい
『そうですわね、主様への殺気や敵意はないようですし…わかりましたわ。こっちですわね』
ウンディーネの案内で声の元に急ぐこと2~3分くらいかな?とても大きな扉を見上げることになったんだけど....普通のより二回りくらいデカいんですが?
『うん、先ほどの声はここで間違いありませんわね』
『なかには~一人かな~』
ウンディーネとノームが確認した直後
『―――ぅあぁぁああああああああああああああっ!!!!!!!』
とうめき声が聞こえた瞬間、俺は反射的にドアを開けてしまっていた
『ちょ!主様!!』
『スキル使ってドア開けちゃったよ!!』
俺がドアを簡単に開けれたのは、[変金]スキルで鍵の形状を理解し、[解錠]スキルで鍵を解錠したからだ。必要だからと思ってスキルを習っといて正解だった
部屋の中に入ると、ベッドのところに一人の少女が苦しさなのか胸を押さえ、痛みに耐える獣のような呻き声を出しているところだった。
すぐに少女の胸を押さえてる手を両手で掴み、原因を知る為に新たに作り上げた魔方陣を起動した
【メディカルチェック】
魔方陣が起動すると、ステータス画面が表れ、同時に少女の頭から足に向かって光の環が動き始めた
この魔方陣は、俺が明日王様に提出する予定だった魔方陣であり、内容は元の世界での健康診断と全く同じだ。ただし元の世界の健康診断と違うところは、魔法を使って短時間で診断を終えられるようにしたことだ。光の輪もCTみたいな感じで調べることができ、専門知識がない人間でも原因がわかるようになっている
光の環が3往復して、診断が終わり、結果が目の前のステータス画面に表示された
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【原因 :重金属汚染・虚弱体質(後天性)】
【原因金属:Cd・Hg】
【対処法 :変金スキルで体外に過剰分を除外推奨】
↓
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おいおい。なんでこんな女の子が重金属汚染…しかも複数重金属に汚染されてるんだよ!
「原因がわかった。変金スキルで除外すれば治せる」
『本当ですの!』『どんな病気なの!』
「原因とかは後だ!すぐに除外する!」
つか、なんでこの病気なんだよ!よりによって母親と同じ病気だなんて!!!
まさかの!




