第1章 1-16 武器と調査と密談
魔王国の料理事情が明らかに!
1-16 武器と調査と密談
「そう…ですね、すこしお二人にお話をしたいことがありますので、余人が聞かれないところがあれば、わたしも嬉しいです。」
そう言って、カレンさんは同行を申し出て、武器屋まで向かうことになったのだった。
「そういえば、カレンさん…魔界の方では、どんな料理が出てくるんですか?」
俺がそう聴くと、カレンさんはうっっと顔をしかめ、酸っぱいものを食べたときのように話し出した
「実は…魔界ではあの様な手の込んだ料理は存在しません。あるのは肉を丸ごと焼いた後にそのまま出したり、様々な肉、野菜を煮て、味付けしたのが唯一の嗜好品ですね。我々は元々魔力で生きられるので、食材を料理する概念が乏しいんです…なので、今日食べたのがあまりのおいしさで、危うく変化が解けそうに…」
「そこまでかよ!!! …オウギ殿がそっち行ったら、革命起こせるんじゃねぇか?」
グレンさんの言葉に、そんなまさかと答えようとしたら
「いえ。確実に起こせますよ…オウギさんはまだレパートリーを持っていますよね?
そのうちいくつかのレシピを出すだけで一生を余裕もって生活できるだけの金貨が手に入りますね…間違いなく」
ぇぇー…レシピで革命って…
魔界の料理事情のマズさを聞いているうちに、目的地である武器屋が見えてきた
「あっおうぎさ~ん、お待ちしておりましたよ~♪」
店内に入ると、店主の≪エレオノール≫さんが出迎えてくれた。
≪エレオノール≫さんはここ王都では珍しいドワーフであり、昔から住んで武器を作成している女性だ。
ドワーフは、成人男性でも身長が150 (≒150cm)くらいだが、力が強く鍛冶仕事が得意な種族だ。
基本ドワーフたちで固まって出来た国の中で生活をして外に出ないそうだが、≪エレオノール≫さんは好奇心旺盛だったので、独立したときに国を飛び出し、比較的治安のいい王都で武器の製造販売・修理を請け負う店を出したそうだ。
「エレオノールさん、おはようございます。武器を見せて貰った後に、奥の会議室を借りても良いですか?」
俺がそう言うと、≪エレオノール≫さんはキョトンとしたが、後ろのカレンさんに気付き、納得したようだ。
「なぁるほどぉ・・・おうぎさんも隅に置けませんねぇ~」
「こらこら、俺もいるだろうが…エレール、俺の武器の点検も頼めるか?」
「あれ?グレンちゃんもいたのねぇ~諸々了解よ~」
エレールはグレンさんが≪エレオノール≫を呼ぶときのあだなである。グレンさんは昔からここを利用しているので、気安く呼ぶくらいの仲らしいが…グレンさんをちゃんて呼ぶのか…
「では、わたしは奥の部屋で待っています。流石にここにいては行けないでしょうし」
「俺も一緒に行こう。流石に嬢ちゃんを一人にしておく訳にはいかないしな、事情が事情だし」
カレンさんが奥の部屋で待つとグレンさんもついて行くらしいが…監視ってことだよな?
カレンさんが不快に思ってしまうかもと思ったが、カレンさんは特に思って無いどころか
「構わないよ? むしろ、私の方からお願いしたかったしね。後ろめたいことはないのだし。」
そういってグレンさんのあとをカレンさんがついて行く形で奥の部屋に向かうのだった
「ん~と、ならこっちはこっちで、用事を済ませてしまいましょうかしらね~
これが、あなたの意見を元に作り上げた武器になるわ」
そういって切り替えたエレオノールさんは、収納魔法で手元に長さが1m程の杖を呼び出した。
この収納魔法は、ギルドが発行している<ギルドカード>を用いることで使える魔法だ。
ギルドではこのギルドカードの使い道を増やしたかったそうで、昔召還された勇者に開発を依頼し、1から魔法陣を開発したそうだ。
俺もギルドに登録して、この収納魔法がつけるようになったのだが、召還者特性なのか収納できる範囲が広い、普段の人はだいたい物置位なのだが、俺はテニスコート一面位あり、周りを驚かせてしまったのだ
「いいわねぇ~♪ 異世界の人って、私たちが発想しなかったことを提案してもらえるから、創作意欲が湧きすぎて、抑えるのに苦労したわよ~
それと、この武器にはまだ銘がないから、説明後に銘を決めましょうね~入れないと効果が半減してしまうから~」
この世界での武器は銘がどこかに彫るとのこと、入れなければ武器が持つ効果が半減してしまうし、盗難や紛失した際に証明が出来ないため、ギルドから義務づけているそうなのだ。
「ではでは~武器の説明に入るわね~杖の素材は"ハイエルダートレントの枝"で魔法の発動時間短縮と魔力伝導率の向上、先に取り付けてある水晶はそれぞれ"ロ-ズクォーツ鉱石"、"ターコイズ鉱石"、"カーネリアン鉱石"の3つを取り付けてあるわよ~各属性の魔力消費軽減の効果があるわね~」
"ハイエルダートレント"は樹海に住む魔物で、木に擬態してそばを通った冒険者を襲う"エルダートレント"の上位存在であり、その素材で作られた武器は後衛の冒険者にとっては人気の素材だ。
鉱石はそれぞれ魔法の発動時に少ない魔法で発動できるようになるそうだ、俺は火と水と土の魔法を使う為、この鉱石をはめ込むことにしたのだ
「それで?銘は決まったかしら~?」
「そうですね…では【????】でお願いします」
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武器も決まり、銘を彫って貰う間にグレンさんとカレンさんが待つ奥の部屋に向かうことにしたのだが…
「「・・・・・・・・・・・・・・」」
く、空気が重い…何かあったのか?
俺が部屋の空気の重さにビックリしていると、カレンさんが俺に気付き、顔を上げた
「あ、オウギさん、用事は終わりましたか?」
「え、えぇ・・・それと、この空気の重さは、いったい?」
「おぉ、オウギ殿。普通に待ってただけだが?」
「ですね。話すべき事はオウギさんが来てからですので、待ってただけですよ?」
何も話さなかったから、空気が沈んでたのかぃ
そう思いながら、カレンさんの対面の椅子に座ったのを確認してから、隣に座るグレンさんが話し始めた
「んじゃ、揃ったことだし、お嬢さんが話したいことを話し、その後で質疑応答していくって事で良いかぃ?」
「えぇ、構いません。
そうですね…まずは魔族であるワタシの簡単な紹介から、ワタシの名前は≪カレン=ラフクニス≫と言います。魔王国の四天王である我が父≪デグラス=ラフクニス≫より、勇者達の脅威度とどんな人物かを調べる任務を受けまして、帝国に調査に来ました。その折に、王国にも召喚者がいることを知り、その人の調査も行おうと思い、こちらに来たのです。たぶん疑問に思うことがあると思いますよね?」
そういうと、カレンさんはグレンさんに目を向けた
「…そうだな、いろいろ聞きたいが、そもそも、そのことを俺らに言って構わないのか?任務って話だし、不味いんじゃねぇのか?」
「確かに、本来であれば秘匿するべきなのですが、ある状況下においては許可される場合があるのです。
その状況下とは、「対象がこちら側の立場になる可能性が高い場合」つまりは敵の敵は味方という状況下ではあえて話してしまって構わないという特例が存在します」
カレンさんの話によると、魔王国と敵対している帝国と王国とそれぞれで調べた情報では、王国は帝国への報告を濁しているため、敵対ないしは反旗を企てるのかもしれないとカレンさんは結論づけたのだ、根拠としては、王国内で国民や行商人が俺に関しての情報を帝国に流れないように自主的に行っている事からだそうだ。
「帝国ではオウギさんのことを強くはないが、戦力の分散による予備戦力とみていますね。現にワタシも王国に来るまではそう思っていたので、魔王国に敵対されたときの脅威度がどのようなものか調査を行うためこちらに来たのです。…しかし、こちらに来たら、今までの風景が一変していたので驚きました」
カレンさん曰く、魔王国が持つイメージは、帝国は軍事独裁国家、王国は資源豊かな田舎とのことだ。俺も王国に来た当初はそう思っていたので、生活を豊かにしたくて行動してたので納得してしまった。
グレンさんも苦笑いしながら、オウギ殿が動くまではそんな風景だったからな~と答えていた。
「そういうわけもあり、王国と帝国は足並みを水面下では乱れていると思い、特例を適用し、オウギさんの前に現れたというわけです。…わたしがこちらに来た理由と現れた理由は以上になります」
カレンさんがそう締めくくった時に、カレンさんの肩に闇が生まれ、30cm程の子人が顕れた
『カレン、王国に住む精霊からいろいろ話を聞いてきたぞ…というかどんな状況だ?』
「おかえりなさいジェイド。紹介しますね、この子はジェイド、闇精霊です」
ジェイドと呼ばれた闇精霊はこちらを向いた途端に驚いた顔をした
『おいおい、この小僧は俺を視えているだと…と言うことは小僧が例の召喚者か!となりの男も…視えてはいないが気配は感じるようだな。姿を見せたほうがいいだろうな。俺の名はジェイド、カレンと契約した闇精霊だ』
『あら?ジェイドじゃない、お久しぶりですわね』
闇精霊…ジェイドさん(?)が挨拶をすると、俺のそばにウンディーネが顕れ、空中でカーテシ―で挨拶を返した
『お前はウンディーネか、久しぶりだな。と言うことはそこの小僧と契約をかわしたのだな』
『わたくしの他にサラマンダーとノームも主様と契約していますわよ』
『なっ!! 複数の精霊と契約だと!と言うことは精霊の方から契約をかわすほど、この小僧には何かあると言うことか…』
それっきりジェイドさん(?)は一人で考え込んでしまったので、カレンさんが代わりに説明をしてくれたのだが、本来であれば契約は一人につき精霊1体なのだそうだ。
なぜならば、二体以上だと精霊同士でけんかを起こしたり、精霊の属性で干渉し合い、威力が半減してしまうからだそうだ。
グレンさんも二体以上の契約しない理由については知っていたそうなので、あのときは本気で驚いていたのはそういう理由だそうだ。
「……まぁ、嬢ちゃんがここに来た経緯はわかった。俺としては全部が全部信用したわけじぇねぇが、精霊様がいる以上、こっちに不利益が出ない限りは何か仕掛ける気は無い。とこの場で宣言するぜ。」
「ありがとうございます。わたしとしてもしばらくは騒ぎは避けたかったので、その申し出は助かります」
途中からグレンさんとカレンさんが交渉・・とまでは言わないけど、いくつか取り決めを決めていたようなので、その間にエレオノールさんから銘が掘れたと教えて貰い、武器を確認後戻ってきたら、ある程度終わったみたいだった。
「んじゃ、明日にでも門番には話を通しておくから王城に来てくれ。軍務大臣のグレンに用事があるって言えば俺の元まで来れっから、この話を国王や宰相にも話を通せば、面倒毎はこっちで処理できるように秘密裏に対応しとくからな」
「わかりました。わたしは人族に変化したまま向かいますので、よろしくお願いします」
「その件は解決として…お嬢ちゃんの方は他に用件はあったりするのか?」
グレンさんの問いに、カレンさんは言うべきか迷うように目を閉じて考えていたが、やがて結論が出たのか目を開けたときには決意の目をして、カレンさんは口を開いた。
「そうね、本当であれば先ほどの交渉だけのつもりだったけど、もう一つ、オウギさんに許可を得たいのだけど、良いかしら?」
「え?俺ですか?」
「ええ、わたしが許可を得たいことは…」
「嬢ちゃんが得たいことは…?」
「あなたをしばらくの間、監視させて欲しいの」
「…え?」「…はあ?」
まさか、あんな展開になるとは
次回は5/25(土曜)の14時になります




