第1章 1-15 初遭遇と警戒とお礼
ついに出会ってしまった二人、さてどうなることやら
第1章 1-15 初遭遇と警戒とお礼
時は少しさかのぼり、主人公・扇江星が魔族を見つける一月ほど前の話
――――――side:????――――――――――
『(不覚!まさかワタシとしたことが召喚者を一人見落としてたなんて!!)』
わたしがその事を知ったのは帝国の帝都である≪ヴィルドガル≫で召喚者の調査をあらかた終え、魔王国に戻ろうと思っていた矢先だったの
召喚者であり、{癒やしの修道女}の二つ名を与えられた少女≪チカ=ワタラセ≫についての調査が終わり、帝都にある宿舎から脱出しようとしたら、兵士の会話を盗み聞きしたらこんな会話をしていたのだ。
『しかし…王国の返答だとまだこっちに送ることは難しいらしいな』
『実力はついてきたとのことですが、まだ実戦段階には届かないとのことです』
『どうせゆっくり育てて基礎を固めてから~とか考えてるんだろうな』
『その点では勇者様達が従順だったのが幸いでしたね』
この話の限りだと、王国にはまだ戦力がいるって事か...報告が終わったらそっちの方も調査した方が良さそうね
『全くだ。経験を積ませりゃ、あとは実戦すりゃ手間もかからんものを…』
『おっしゃるとおりです。しかし、あっちに残したのは良かったかもしれません』
『―――ほぅ?お前がそう言うとは、興味深い。その理由は?』
『はい、なにやら、魔王国の方でもいくつかきな臭い情報が入っておりまして、特に我が帝国に間者が入り込んだかもしれぬと言う情報もありますので、戦力を分散出来たのは良かったのではないかと』
ぅぐ、隠蔽操作のヤツをケチったのは失敗だったかしら、帝国の方も侮れないわね…次回はケチらずに操作しなきゃ
『なるほどな…そう考える事も出来るか…出来損ないとはいえ召喚に巻き込まれた者だから、隠しておけばなにかと都合が良い。
王国のやつには周りに知られずに出来るだけ急げと伝えておけ』
『はっ!承知しました。では失礼いたします』
そういって退出した兵士の影に潜んで部屋を出れたけど、ちょっと興味深い情報があったわね、纏めてみたほうが良いわね
・帝国に居る勇者以外にも召喚された者が他にいる
・その者は王国にいる
・実力はあるが、まだ実戦段階ではない
他にも調査するべき対象がいたとは、不覚だったわ…ソレよりも
・魔王国から間者を放ったと言う情報
・ほかにきな臭い情報がある
これはかなり嫌な予感がするわね…いったんここの調査を中止して王国の方にいる巻き込まれた人の調査に切り替えましょう。
なによりこの帝国は空気が煤けてて居心地が悪いったらありゃしないもの!
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そして、帝国を脱出し、王国へやってきたのだけど…
「なんですか~この発展具合…いくら何でもおかしすぎるですよ~」
すこし情報を集めただけでおかしい点がいくつも出てきました~
帝国を例えるなら、石炭などを燃やして武器や防具はもちろん攻城兵器などの軍備を作り出す事を奨励している軍事国家といえますね
対して王国は農作業を中心とした田舎だったのに、今いる王都は歴史に配慮しつつも区画整理が行われ、利便性が高い街になっている。農家の方も手作業と魔法による刈り入れによって効率が上がったのか、本来は働き手となる子供達が寺子屋と言われるところで読み書きと計算を習っているのだ、その影響は冒険者にも及び、ギルド内で読み書きの講習を行っているとのこと
今まで案内板のそばで代わりに内容を読み駄賃を貰う{読み手}だった者は王国からの依頼で寺子屋のところで読み書きを教え、定期的に給料を貰うようになったとのこと
「帝国で知った情報とは食い違いますね…何があったのでしょうか?」
何かヒントが転がってないか調べようとしたときに、肩からよく知る声がかけられた
『なるほどな、これがあいつらの言ってた噂の原因か』
そこにはわたしと契約をしている闇精霊のジェイドだった
「噂ですか~?」
『あぁ、さっき聞いたばかりなんだが、最近≪精霊視≫を持つ人族が顕れ、火・水・土の奴らと契約をかわしたらしい、そいつが行った政策で人だけでなく精霊が住みやすくなったというらしい』
なるほど、てことはそいつが例の召喚に巻き込まれた人って事ですね
でも、それほど実力があるのなら、帝国に送られても良いような気もするのだけど…
「ジェイド、情報ありがとう、動く前に少し休みましょう、お腹も空いてしまったし」
『そうか、了解した。こちらももう少し情報を集めてみよう』
「ジェイドの方は?魔力はだいじょうぶ?」
『わたしはただ飛んでるだけだからな。魔力はさっきの時間で回復したよ、ではな』
そういってジェイドはスッと消えるように飛んでいった
ジェイドはわたしが≪精霊視≫を持った時に契約に応じてくれた闇精霊なのです
なんでも『君はあぶなっかしいからね、サポート出来るヤツが側にいた方がいいだろう?』とのことですが…否定できないわたしです
実際、何度か危ないところをジェイドのサポートでことなきを得た事もありましたね~、だからジェイドにあの疑問をぶつけたときも、笑ったりせずに真摯に向き合ってくれました
『さすがに精霊であるわたしでは答えを出すことは出来ない。だから今はその疑問を持ちつつも様々なところに行き、知識を増やしていくべきだとわたしは思うぞ』
と言われては、わたしはそう思うしかなかった。
ジェイドが魔力のことで大丈夫と言っていたので、わたしの方を解決するべきですね~
少し先にある露店からおいしそうな匂いがしたので、そこに言ってみることにしたのですけど…
『さぁさぁ、よってらっしゃいみてらっしゃい!この店はあの召喚者であるオウギ殿が考案した[唐揚げ丼]に[フライドポテト]のお店だよぉ!
しかも、今なら出来たてだからすぐに食べられるよぉ!!』
――――え?召喚者?考案?
固まってしまったわたしを見つけた露天商で働いている女性はわたしのところにやってきて
「どうしたのですか?固まってしまって…あ、もしかして召喚者のオウギ様のことかな?
オウギ様が召喚者だというのは王国ではみんな知ってることですよ、ここで少し生活をした者はみな帝国にこのことが漏れないように協力してるんですよ」
てことはなに?取り残された召喚者はオウギというのはあってるけど、帝国で手に入れた王国に関する情報はガセの可能性があるって事ですか~!
そのあと食事をここで取ることを条件に教えて貰ったことによると、以下のことがわかりました
・召喚者の名前はコウセイ=オウギ
・帝国が要らないと言って捨てていったのは事実
・そのあと王国で生活をするのに行った政策で国民の生活が向上した
・政策は国民全員の生活の水準を上げる為に識字率の向上と衛生環境の改善
・農民には土壌に合った作物を教え、収穫量が上がった
などなどらしい、しかもこれらの中には実際に効果を上げているのもあるとのこと
「いったいどんな奴なのかしら…」
そう思い行動したかったが、先ほどの条件でもあるここで食事をしてからにしようと考え、女性のオススメと言われた[唐揚げ丼]を食べたのだけど
「なにこれ!美味しすぎるぅ!」
唐揚げに使われているのは[ワイルドターキー]と言う鳥の魔物で考案者曰く見た目は鶏っぽいとのことなのだけど、そのモモの部分を一口大に切り、セーユ(醤油)とお酒、砂糖とにんにくを混ぜた液体に漬けて、高温の油でこんがり揚げたのがこれなのだそうだ。
その唐揚げを口の中でサクッと噛んだ途端にジュワッと油と共にお肉に染み込んでいた少し濃いめのセーユとにんにくが口の中を蹂躙し、そのあとターキーのプリプリッとした食感が熱さと共に跳ねるのだ、その状態でご飯を食べると、濃くなった口の中を薄めてくれるのだ、薄まった口の中が次の唐揚げを早く入れろと急かすように先ほどので半分になった唐揚げを無意識のうちに口に放り込み無限に繰り返してしまうのだ。
なんて、なんて甘美な食べ物なのだろうと思っていると、先ほどの女性がわたしに提案をしてきたのだ。
「オウギ様の話だと、お好みでマヨーネゼ(マヨネーズのこと)や摺り下ろしたダンコン(大根)をのせたり、唐辛子を細かく砕いたものを唐揚げに少しかけて食べるとまた違った味になるそうよ。」
実際に追加のトッピングでやってみたが、マヨーネゼをかけると口の中が最初の時以上の蹂躙をされご飯が止まらなくなり、ダンコンだと先ほどの蹂躙が軽減されサッパリとされど肉のおいしさが際立つようになったのだ、唐辛子はどちらかというとお酒のおつまみ感覚とのことなので辞退したが、今度食べようと思う
「オウギ殿がこのレシピを広めたのね、しかも格安でとは…逢えるのなら一目でいいからみたいものです」
「ん?オウギ様なら、今日の午後に出かける予定があるらしいわよ、なんでも武器屋と防具屋の人たちが張り切ってたって冒険者の奴らが言ってたわよ」
どうやらオウギ殿の予定はそれほど秘匿されてないようだな…逢えるならあってみたいものだな
そこでお会計をしたのだが、唐揚げ丼と追加のトッピングでも500ダームとのことで、驚いてしまったのだった
そのあと武器屋を教えて貰い、待ち伏せしてオウギ殿の顔を見ておこうと行動することにしたのだった
―――――――――side:扇 江星――――――――――――
『主様、手前の右側の脇道に注意してくださいまし、人族に変装した魔族の方がいらっしゃいますわ』
「え?」「は?」
俺の素っ頓狂な声と共に、ウンディーネの声が聞こえたグレンさんも素っ頓狂な声を上げてしまった。
今日の担当(?)であるウンディーネの声が聞こえたのか、その魔族の人(?)が脇道から出てきた
「ほ、本当に精霊と言葉を交わしているわ…人族がかわすなんて数百年ぶりの快挙…あ、でも召喚者とのことだから例外…になるのかしら…というか、変化してるのにバレてるし…」
な、なんかブツブツしゃべってる女性に対して、片手を武器に添えてグレンさんが質問をした
「それで?そこのお嬢さんはどういった事情で俺らの前にあらわれたのかな?事と次第によっちゃ…どうなるのかわからねぇんだが?」
「あっ!いつもの癖が出ちゃったわ。ごめんなさい。まずは自己紹介と誤解を解くわね。
ワタシの名前は≪カレン=ラフクニス≫と言うわ、ステータスの開示は流石に往来の場所では難しいから、今は省略させて頂くわね。
ソレと、あなたたちの前にあらわれた事情なのだけど、あなたが考案した唐揚げ丼がとても美味しかったから、お礼を言いたかったのよ。
あんなに美味しい食事をしたのは数十年ぶりだったから…」
「俺は≪コウセイ=オウギ≫です。それはどういたしまして…て、数十年ぶり?」
俺が疑問を返すと、カレンさんが説明をしてくれたところによると、魔王国は食べ物がそれほど多く収穫できず、もっぱら魔物を焼いてたべるくらいしかないそうだ。
その状態で俺が広めた料理を口にして、美味しいどころか感動してしまうほどで、レシピを魔王国で広めれば、料理の幅を増やすために購入する前に、考案者である俺にお礼をしたかったそうだ。
「なるほどな…たしかに俺ら王国民でさえ、我を忘れちまうほどだったからな…俺としても購入は推奨するぜ?
自己紹介が遅れたな、俺は≪グレン=ランドルフ≫だ。
ここじゃなんだし、お嬢さんもいるし俺らと一緒にどこかで落ち着けるか?」
「いえ、オウギさんは武器屋に向かうそうなので、そこで構いませんよ?」
そういわれ、俺とグレンさんは顔を見合わせて、溜息をついた
「なんで俺の予定が国民に筒抜けなんでしょうかね…」
「いやほんとだな、俺ら以外にだれも教えてないはずなのに…いちどお前さんの身辺を調査した方がいいかもしれねぇな…」
なんでだかしらないが、最近俺の予定が国民にバレていて、出かける度によるところに待ち伏せされてしまっているのだ。
俺の予定を知っているのは俺と国王様と宰相さまと大臣達だけのハズなのに
「まぁ、調査はするとして、武器屋ならスペースあるからお前さんの武器を確認してからそこで落ち着いて話をするか、なんかお嬢さんは訳ありっぽいしな」
「そう…ですね、すこしお二人にお話をしたいことがありますので、余人が聞かれないところがあれば、わたしも嬉しいです。」
そう言って、カレンさんは同行を申し出て、武器屋まで向かうことになったのだった
実は扇の予定を聞いた後、国王様が警備を敷くため、直属の兵士を使い警備の為に向かう先の店に通達を行い、その店主から拡散していました。
現代では情報の漏洩にはうるさいのですが、異世界では気にしてないのが実情です。
また、グレンが知らないのも、警備を国王直属の兵士が行っているため、連絡系統が違うのでグレンに報告を行う義務が生じてないため、他の大臣含めて知らされてないのが理由です
次は5/18(土曜)の14時頃更新です




