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死神少女の来校(1)

「なあ、お前を親友と見込んで相談したいことがあるんだ。実は、居候に俺の部屋の押し入れが占拠されたんだ」


「すまない、僕の知っている病院では君を紹介できる場所はなさそうだ」


 親友が困っているというのに、あんまりな対応である。

 いや、今回に限っては俺が対応を急ぎすぎたのかもしれない。

 もう少し順を追って説明すれば、こいつも何かいい案を出してくれるかも知れない。


「少し結論を急ぎすぎたな。事の発端は昨日の夜だ。俺が寝ているところを死神少女に襲撃され、魂を刈り取られたんだ。ここまではわかるか?」


「いや、本当にすまない。なにか悩みがあるのなら相談にのるが」


 だから、その悩みを今相談しているんじゃないか。

 昼休みに食事を取りながらする話でもないのかもしれないが、ここは真面目に聞いて欲しい。


「そして、今俺の体と魂が不安定になっていてな。いつでも幽体離脱ができるんだ」


「そうか、わかったよ。君は武器か職人かで言ったら、武器になりたいんだね?」


「違う、そうじゃない。俺はどちらかと言ったら職人派だが、そうじゃない」


 某魂を刈り取る有名漫画はこの際置いておいて、今は自宅の押し入れが占拠されている事案を解決しなければならない。


「俺の魂が幽体離脱しないためには、その死神少女から定期的に魔力をもらわなければいけないんだが、いちいち来るのが面倒だという理由だけで我が家の押し入れが占拠されたんだ。どうやったら出て行ってもらえるかな」


「なるほど、魔力供給という名の薄い本的展開の話をしたかったんだね。それならそうと早く言ってくれれば、僕の秘蔵書からいくつか貸してあげるのに」


 違うんだ、その本には大変興味があるが今はそうじゃないんだ。

 どう伝えたものかと思案していると、窓の外にちょうど説明に困っていたラインディアの姿が見えたので、ちょうどいいと視線を向けさせる。


「盟友真島よ、ちょうどいいところに本人が来てくれた。いま窓の外にいるこいつが、今俺が話してる死神少女本人でってえええ!?来ちゃったの!?」


 真島も窓の外に浮いている死神少女に気づき、数秒間フリーズしてからメガネを拭き、もう一度見直してから目頭を揉んだ。


「なあ辰己、僕は疲れているんだろうか。窓の外にゴスロリの美少女が見える」


「大丈夫だ真島、お前は疲れてなんかいない。あれが俺の魂を刈り取った女だ」


 とりあえず窓の外は目立つからと教室に招き入れ、その間に真島が用意していた机と椅子に座らせる。混乱しているだろうに、女子に対する対応はさすがの紳士ぶりである。


「なんで学校に来ちゃったの?家で待っててって言ったよね?」


「だって、あんた朝の魔力忘れてたでしょ。せっかく届けに来たのに大声あげちゃって」


「いや、お弁当忘れてたよくらいのノリで窓から来られたら、そりゃびっくりするわ」


 バレたらまずいとか、そういう問題はないのだろうか。

 俺たちの会話をじっと眺めていた真島は、こほんと咳払いをしてからラインディアを見た。


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