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朝の一幕

 朝日が顔に差し掛かり目を開けると、そこにはいつもの天井があった。

 昨日の出来事が夢だったのではと思ったが、ラインディアの暴れた跡がしっかりと残っていたため、夢ではなかったのだと再確認する。


「これから毎日あいつから魔力をもらわないと、まともな体には戻れないのか……」


 その事実を再確認すると、自然とため息がこぼれてしまう。

 とりあえず、昨夜の惨状を片付けようと散らかった座布団に手をかけたとき、押入れに微妙な隙間が空いていることに気づいた。


(そういえばあいつ、窓から普通に出て行ったけど、どこに泊まったんだ?)


 公園とかじゃないだろうなか考えていると、その押し入れの隙間が妙に気になってきた。

 まさかとは思うが、と勢いよく襖を開け放つと、そこにはよく眠っているラインディアの姿があった。思い切りたたき起こそうかと思ったが、ふと眠っているラインディアの寝顔を見てしまった。

 昨夜は暗がりの中唐突に襲われ、顔もろくに見ないまま解散してしまったが、黙っていればかなり可愛い部類に入るのではなかろうか。肩甲骨のあたりまで伸ばしている黒髪は手を伸ばしてすくいたくなるほどきめ細かく、すらっと伸びた脚もポイントが高い。

 全体的にしなやかな印象を受ける体格は、凹凸のなさ故なのか。

 などと失礼なことを考えながら押し入れの前に立っていると、ふと視線を感じて前を向いた。そこには、こちらをじっと見ているラインディアがいた。


「おお、とりあえず色々言いたいことはあるが、まずはおはよう」


「おはようじゃないわよ!何人の寝顔じっと見てニヤニヤしてんのよ、出てけ!」


 そう叫ぶやいなや、押入れから伸ばされた足は辰己の鳩尾を捉え、吹き飛ばされた辰己は目を白黒させながら押し入れに向き直った。そこでは大きな音を立てながら襖が締められ、裏で何かごそごそと物音が聞こえる。


「出てけだと!?そもそもここは俺の家だ!開けやがれ!」


「いやよ、私ここ以外に行く場所がないのだし。そもそもあなたに定期的に魔力を与えるのだから、ここにいたほうが楽でしょう?」


「だからって勝手に住み着くんじゃねえ!とりあえず襖を……なんで開かねえ!」


「私のデスサイズが簡単に折れるわけ無いでしょ。まあ、諦めなさいな」


「死神のくせに、なんて庶民的な罠を使いやがる!制服が押入れの中にあんだよ、とりあえず着替えだけでもいいから回収させてくれ!」


 その後もしばらく騒いでいた2人は、しばらくして停戦協定を結び、必要な時だけ押入れの中身を使用できる権利を辰己は得た。

 なお、学校には遅刻した。


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