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天使の本質(1)

「あの、マスター。なにかあったんですか」


 頭を抱えているマスターのそばに近寄ると、笑顔のアンジェが代わりに答えた。


「今接客の練習をしていたのですけれど、お客様と接するのは非常に楽しいことなのですね!」


 下界に降りてきて一番の笑顔なのではないだろうか。

 そう思うほど口角を上げてゴキゲンなアンジェの反面、なぜ木更津が頭を抱えているのかがわからない。その木更津がゆっくり頭を上げると、アンジェを指さしながら辰己を見て口を開いた。


「辰己、あなたはこの脳内お花畑の少女は仕事ができると思って、この喫茶店に連れてきたのよね」


「はい、最低限の常識は揃っているかと」


「ラインディアちゃんはどうだったの。厨房は任せられそう?」


「あぁ、それならここにさっき作ったクッキーがありますよ」


 そう言って手渡したクッキーを一口かじった木更津は、無言でラインディアの手を取り勢いよく手を上下に振った。


「ラインディアちゃん、あなた採用よ!明日から厨房は任せるわ」


「え、ああ、はい。ありがとうございます」


 猛烈に感動したらしく就任初日から厨房を任せられたラインディアは、処理が追いついていないらしく返事がしどろもどろになっている。その様子をにこにこと見ていたアンジェは、次は自分の採用告知かと笑顔を崩していない。


「あの、木更津さん。私はいかがでしょうか」


「あー、アンジェちゃんね。うん……レジ打ちから覚えようか」


「レジ……打ち?聞いたことがないお仕事ですが、任せていただける以上頑張ります!」


 ラインディアを採用した時とは打って変わって、歯切れが悪そうに一番無難なポジションの採用となったアンジェは、仕事を任せてもらえることが嬉しいようでぽわぽわとしている。


(マスター、アンジェはなにがそんなにやばかったんです?)


(あー、うん。私はあそこまで接客業に向いていない人間を初めて見たわ)


(アンジェがですか、あの物腰の柔らかさなら行けるかと思ったんですけど)


(そこは問題ないのよね、敬語もしっかり使えるし)


(じゃあ、なにが……)


(あの子はね、筋金入りの善人なのよ)


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