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オワコンワールドReboot  作者: 大門
2/3

森の中

 視界が回復した。

 さてと。

 ん?

 何故に森の中?

 行き先、間違えた?

 右手人差し指を前に出して、上から下に30センチほどスライドさせて左にピッとはねる。

 出ない。

 再度。

 出ない。

 もう一度。

 出ない……


 ちょっと待て俺、冷静になろう。

 モーションコマンド、雑過ぎた?

 あはは!

 久しぶりのミスだぜ、恥ずかしい!

 モーションコマンドがダメなら、ボイスコマンドすればいいじゃない。


「オーケーシステム、メニュー」

「オーケーシステム、GMコール」

「オーケーシステム、ログアウト」


 ボイスコマンドも反応なし。

 動いているからサーバーダウンじゃないよな。

 何ぞエラーくらったか?


 何やら違和感を感じて周囲を見回すと、やたらリアルな木々。

 というか、先ほどまでと明らかに違って、普通に現実に見える。

 幹に毛虫がいる。

 足元の落ち葉をつま先で少し掘って覗き込むと、ゲーム内では存在しない1mm程度のダニみたいな蟲が見えた。

 一体ここはどこだ…… 

 気候的には温暖で過ごしやすそうだが。


 まさか海外……

 ドッキリで、誰かが俺を気絶させて海外に連れてきたとか。

 誰得だよ。

 俺は、リアクションで笑いをとれるようなバラエティー芸人じゃない。

 しがないヒラの地方公務員だ。

 どこかの組織に狙われるような金持ちや権力者でもない。

 

 明晰夢?

 意識がずいぶんとはっきりしすぎていると思うのだが、こういうものなのか?

 定番の、頬つねり。

 普通に、痛い。

 手足に、リアルな肉体の感覚。

 現実?

 あー、まさか一番あり得ない異世界転移か?

 いやいやいや、ないわー。

 ないよね?


 リアルガチファンタジーは、全く嬉しくないのだが。

 立ち上がると、クラっときた。

 ウップ。

 気持ち悪い。

 精神的ダメージが酷い。

 ショックで血圧下がった。

 来年還暦の安定超大好き市役所勤めのサラリーマンに何をさせようというのか。

 ファンタジーワールドは、ゲームだから楽しいんだ。

 今更この歳で、リアルな冒険なんてしたくない。

 心なんか踊らない。

 

 参ったな。

 近くにあった倒木に力なく腰を下ろす。

 丸太が凸凹していて、ケツの座りが悪い。

 うわっ!

 すぐ隣に、ムカデのような赤黒い足がいっぱいの蟲が出てきたので、慌てて立ち上がる。

 尻をはたきながら、木々の間からのぞく空を仰いだ。

 

 人生90年時代。

 昔からすりゃ格段に日本人の平均寿命が延びているが、とっくに俺の寿命は折り返している。

 定年制度は、政府が年金問題に絡めて大ナタを振るい、制度自体が無くなったけど、体力的に誰もが働けるというわけもなく、皆さん65歳頃までにリタイヤを目指す傾向だ。

 俺も最近は、急激に身体の衰えを感じて、運動系の趣味を控えるようになった。

 で、VRなら身体能力が関係ないから、遊んでいるわけだが。

 そんな男が今更、異世界に?

 こんなシチュエーションのラノベを最後に読んだのは、30年以上前の話だぞ。

 

 大きく深呼吸する。

 未だVRゲームで匂いは再現されていない。

 あまりにリアルに作り込むと、虚実の境が分からなくなる輩が多くなるからだそうな。

 だが、ここは……

 ああ、子供のころに嗅いだ森林の香り。

 大きく深呼吸する。

 心地よい遠い記憶。

 ログハウスに渓流釣り……

 少年だった頃、オヤジにキャンプ連れて行ってもらったなあ。

 昨日まで忘れていた何もかもが懐かしい。

 

 現実逃避している状況ではないか。

 さて、どうしたものか。

 取り敢えず現状の確認だな。

 

 周囲に人工物は見当たらない。

 鳥の鳴き声っぽいのは聞こえるが、とりあえず脅威となりそうな動物は、近くにはいないようだ。

 高い場所から周囲を確認するべきか。

 そういえば、ゲーム内にいる時のようによく見える。

 裸眼視力が良くなっているのか。

 最近、近視乱視&老眼が進んでいたので、遠近ともよく見えるのは有り難い。

 

 自分の体。

 よく見ればさっきまで使っていた倉庫キャラが着ていた茶系の旅人の服のようだ。

 ペタペタと自分の顔を触って確認してみる。

 最近、気になっていた加齢による首筋のイボが無い。

 倉庫キャラのボディーなのか?

 設定は確か20歳だったな。

 寿命儲けた。


 というか、ゲームのキャラで異世界転移……

 いや、まだだ!

 まだ認めない。

 

 そうだ!

 ゲームで使えるアクションがここで使えないなら、ゲームとは関係のない世界ってことだよな。

 頼む!この現状が俺の妄想ということにしてくれ!


 覚悟を決めて、近くの木に視線を向ける。

 今俺がゲームキャラなら、見えてはいないが今装備しているのが例の神ダーツだ……

 投擲するイメージで、約2メートル先の木に向かって右手を軽く振る。


 カツッ


 木の幹に何かが当たる小さな音がした。

 近づくと、小さな穴が見えた。

 呼吸が不安定になってきた。

 念のため、転がっている大き目の岩に同じことをする。

 

 カツッ


 やっぱり音がずる。

 近づいてみたら、大体狙ったところに穴が開いていた。

 直径は1mmぐらいだけど、確かに穴が開いている。


 ああ、ゲームと同じアクションができた……

 膝から崩れるほどの精神的ショックを、人生で初めて味わった。

 ファンタジーな攻撃方法が存在するということは、当然、その設定が活きてくる危険な世界というわけで。

 

 じゃ、じゃあ、マイルームに入れるか。

 攻撃のアクションがあるなら、入れるよな。

 俺に救済を……

 課金アイテムを意識する。

 ショートカット1……

 

 よし、入れた!!

 俺が課金して手に入れたマイルームは、10メートル四方の広さがあるワンルームタイプで、ユニットバス、トイレ、状態異常完全回復&ログアウト機能付ダブルベッド、四人掛けテーブルセット、三人掛けソファー、コンテナボックス3個、装備品収納棚、衣装棚、コンパクトキッチン、姿見、アイテム展示棚、高級デスク一式、システムコンソールパネルが完備された最高級ユニットルーム(BGM付き)だ。

 静かで快適だからか、この部屋に閉じこもって仕事をする人もいる。

 倉庫キャラにとって、拡張倉庫代わりとなるマイルームは必需品だから、仕方なくアカウントに課金して持っていたが、今ほど課金アイテムに感謝したことはない。

 というか、何喜んでいるんだ俺……


 幸い、コンソールには商品仕入れ用のゲーム内通貨38万ゴールドがプールされているし、コンテナボックス内には、販売用の商品が大量にストックされている。

 記憶通りの在庫一覧。 

 この在庫たちが設定通りの性能であるなら、この世界で生きていく上で、だいぶ助けになるだろう。

 また、仕入れ用資金で暫くここで飯が食えるし、安心して寝ることもできる。

 本当に不幸中の幸いだ。


 ダメ元で壁にあるコンソールパネルを操作して、ログアウトやクランメンバーにメールとかチャットとか、アクセスを試す。

 が、無反応。

 フレンドネーム一覧は灰色で、ログインしていない表示。

 まあ、想定内だ。

 ちくしょー!

 

 そういやステータスは……

 筋力とか知力とか、全部初期値の100だな。

 HPとMPも100だ。

 経験値は、0。

 そりゃそうだ、このキャラで戦闘したことないからな。

 初期職の旅人から一次職の戦士か魔法士に転職するだけでアクションスキルが使えるようになるんだが、現状、只の人だ。


 アクションスキルが使えないなら、装備を変える。

 ここはたぶんヤバい世界だ。

 だから現状で俺の使える最高の装備にしなければ。

 現在、俺は旅人なので、適正装備のグレードはE。

 はっきり言ってEグレード装備の需要は皆無だが、NPCのショップには売られている。

 買う奴はいないが。

 

 そして転職してから適正となるDグレード以上の武器と鎧は、俺が装備すれば能力にペナルティーが発生する。

 当然だ。

 いくらセカンドキャラとはいえ、出来立てほやほやのキャラが最高スペックを誇るSグレード装備で無双してたらシナリオやゲームバランスが崩れる。

 が、オーバーグレード装備が全くの無意味かというと、そうでもない。

 実は武器と防具とアクセサリーの付与効果はそのままだが、一段階のグレード差毎につき、武器なら攻撃力が15%、防具なら防御能力が一か所につき3%、アクセサリーは一か所につき魔力強度が3%弱体化するだけだ。

 なので、現在0レベルの俺がEグレードで、20レベル以上がD、40レベル以上でC、60レベル以上でB、80レベル以上でA、100レベル以上がSだから、Sグレードを今装備するなら攻守の値が75%の弱体化で済む。

 そう割り切って考えると、ヒノキの棒と布の服より万倍ましだ。

 そして、レベルが上がればどんどんペナルティーが軽くなる。

 セカンドキャラの高速育成は、オーバーグレード装備必須でしょ。

 さあ、俺tueeeeeしよう。

 

 システムコンソールパネルを指先で叩く。

 で、装備一覧。

 まずは武器だな。

 ダーツを外してっと。

 あれ?

 外して……

 外れない……

 呪われては……いないな。

 何故?

 というか、ダーツは種別が武器じゃなくてアイテムだから、Sグレードでもグレードペナルティーが無いけど、それはちょっとマズい。

 

 試してみたところ、ネックレス、指輪2個、腕輪2個の5個セットのAグレードアクセサリーである廃エルフの囁きシリーズも外れない。

 こっちは、アクセサリーだから防御力が誤差程度しかないのでペナルティーが気にならないけど、付け替えができないのは痛い。

 更に、コンテナ内の、着るか露店して売る予定だったイカした在庫の装備を実体化することができない。

 何ということだ……

 リアルな俺自身は、装飾品を身に着けることが嫌いなので、どうせ外せないならコンソールいじって非表示にする。

 指輪とかが見えなくなった。

 この辺、ゲームなんだよなあ。

 

 しかしこれは、宝の持ち腐れコースか。

 今着ているのは、初期装備の旅人の服だぞ。

 あ、普通に服は脱げた。

 すっぽんぽん。

 モザイクやハイライトはない。

 ナチュラルな俺自身が見える。

 風呂には、服を脱いで入ることができる。

 良かった。

 

 お、初期装備の「※ショートソード」と在庫の消耗品は、取り出すことができた。

 といっても消耗品は、マイナーHPポーションしかないのだが。

 取り敢えず「※ショートソード」を手にする。

 なんとも心細い。

 

 ん?

 消耗品なら、何でもいけるのか?

 飯は……

 コンソールパネルで、一人前のモーニングセットを注文してみる。

 クラブハウスサンドとコーヒー。

 あ、出た。

 コンソールの横の壁に埋め込まれている電子レンジみたいのがあるんだけど、「チンッ」って鳴ったから蓋を開けたら、ちゃんとあった。

 費用は、ゲームの仕様と同じで、目安が飲み物3~30G、食べ物は一品5~100G。

 物によっては、それなりに高くなる。

 感覚的に、1Gが100円ってところか。

 とりあえず、美味い。


 しかしここで問題が発覚。

 残金は38万Gだから日本円換算で3800万円だが、稼ぐ手段がわからなければそのうち金は尽きる。

 そうなる前に、解決しなければ。

 因みに金は、物質化できなかった。

 ふむ。

 コンソールでポーションを買えるので、それを町で売れば良いか。


 そうだ、今更だけどベッドで寝たら元の世界に戻れるだろうか。

 ごく普通のログアウト方法。

 そして最後の希望。

 ベッドに寝っ転がる。


 「ギュイーン、ピキーン!」って効果音が流れて、気分がリフレッシュした!

 

 そうじゃねえ!!


 コマンドでログアウトできないんだから、わかっていたけどさ……

 完全回復だよね、ゲームの仕様なら。

 まあ、この世界で生きていくことになるなら、非常に有り難い。

 

 コンソールの前に立つ。

 モニターの時計が止まっている。

 未練がましくいろいろ弄ってみたけど、やっぱりログアウトができないね。

 外部と通信が絡む機能は、全滅のままだ。

 自分のステイタスは……何度見ても初期値である。

 そして何故か、ステイタスの数値が灰色になっている。

 これって、もしかして数字が動かないのでは……

 ここで生き残れるかどうかは、今後のキャラ(自分)育成に掛かっているのだが。

 

 現実は非情であることが判明した。

 試したところ経験値の配分は「体術」からの変更が、できない模様だ。

 泣ける。

 

 がっくりとベッドに腰掛け、なんとなくあっちの生身の自分を思う。

 現実の俺は無断欠勤か。

 暫くは療養休暇か休職にしてくれるかもしれないけど、最終的にはクビだよな。

 まあ、家のローンも終わっているし、単純に無職じゃ外聞的にまずいかなと思ってやっていた仕事だから、職業に未練はないけど。

 っていうか、こっちに来ているの意識だけかな。

 ここでは、この体だもんな。

 妻と娘は、俺の本体をうまく保存してくれているかな。


 あ、そういえば奥さん、実家の人と海外旅行中だった。

 あと2週間はヨーロッパ旅行から帰ってこない。

 嫁いだ娘は、滅多に連絡よこさないし。

 ということは、水分も摂取できず、VR接続ベッドで餓死か。

 ハイ!

 絶望しかございません。

  

 まあ、妻と娘は、それぞれのやりたいことをやって経済的に独立しているから、俺が戻れなくても、生活には困らないと思う。

 なら俺は、こっちで頑張らなければ。

 

 コンソールに表示されたウォレットには38万G。

 部屋の維持費だけで毎日300G引かれる。

 更に一日分の飯、風呂で100Gと見積もるなら、3年以内に資金が枯渇する。

 あれ?

 結構余裕あるな。

 商売用のキャラでこっちに来れて、ラッキーだったのか。

 節約、したくないな。

 まあ、ぼちぼちウォレットのGを増やす方法を見つけてゆとりが欲しいところだ。

 

 あと、なんとかレベルを上げる方法を見つけて早めに旅人の卒業したいものだが、ゲームにあった転職神殿、こっちにあるのか?

 そもそも全ての経験値が「体術」へ流れるなら、永遠に転職基準を満たせないが……


 現状できることを探そう。

 部屋備え付けのコンテナに表示されている所持金は現物として出すことができなかったが、逆にGを入金することができるのだろうか。

 ゲームじゃ、敵を倒すと勝手にウォレットにGが溜まっていったが。

 Gの表示は白字で、固定されていない。

 ラッキーである。

 食事とかで使うから、増やす方法を何としても確立しなければ。

 ここでグダグダ考えても結論は出ないので、とりあえず部屋を出るか。

 ヤバい奴に遭ったら、直ぐここに逃げ込めばいいんだし。

 その前に実験しないと。

 食事用ナイフで、ちょっぴり腕に傷をつける。

 で、ベットに横になる。


 ギュイーン、ピキーン!

 

 お、ゲーム仕様だ、綺麗に治っている。

 金は減ってない。

 よかった。

 外で即死ダメージを食らって往生際でHP1になったら、直ぐ避難だ。


 「怪我したらマイルーム、怪我したらマイルーム、怪我したらマイルーム」

 

 自分に暗示をかける。

 ピンチに際して、パニックにならないようにしなければ。


 マイルームを出た。

 陽は、既に高い。

 さて何処に向かって進もうか。

 やみくもに歩くより、目標があったほうがいいよな。

 そうだ、ペットの小鳥を召喚しよう。

 ゲームじゃ戦力にならない売れ残りだが、偵察任務にはもってこいだ。

 今から考えると、さっぱり売れなくてラッキーだった。


 手の中に、たった今「ルナ」と名付けた小鳥を召喚。

 よし、できた。

 飛翔スピードが速い方がいいと思ってツバメにした。

 まだらにできないことがあるから、実体化できるか不安だったぜ。

 木々の上空へ放つ。

 ツバメの視界は、俺の左目に映る。

 ペットの小鳥は、ゲート魔法のアンカーの役目もある。

 ゲート魔法は、こめかみに二本指を添えるだけという簡単なジェスチャーコマンドですべてのキャラが使える。

 課金アイテム万歳。

 で、ペットの小鳥は、攻撃手段としてファイヤーニードルが打てるんだが、最下級の攻撃魔法なので挨拶程度のダメージにしかならないから、戦力としてそんなに当てにできない。


 木々の天井を抜けて上昇させ、ルナの視界で見回すと、結構広い森の中にいることが分かった。

 ん?

 彼方に山並みと……海と……漁村?が見えるな。

 文明があってよかった。

 やっぱり、ゲームの初期村っぽいのかな?

 行ってみるか。

 ゴブリンの村とかだったら嫌だな。

 出来ればルナにこのまま飛んで道中を見てきてほしいが、呼び出したばかりでペットとの親密度が低いうちは、あまり離れるとイベントリに戻ってきてしまう、という仕様だったはずだ。

 まだ出したばかりなので、遠くに派遣できない。

 よって、自分で行くしかない。

 それから……

 どうせいるんでしょ?

 モンスター。


 気を取り直して。

 漁村に進むのはいいが、最初の遭遇モンスターって、スライムとかゴブリンかな。

 聖属性攻撃特化の残念な俺では、最弱MOBごときにすら苦戦が想定される。

 そう考えると俺は、物語の主人公枠ではないな。

 ふむ。

 ここは誰の物語の中だ?

 

 耐久力無限の初心者用「※ショートソード」を左手で振り回し、疎らな薮をかき分けながら進む。

 俺は、この世界でやっていけるのか。

 この世界がゲームとほぼ同じ仕様と仮定するなら、地水火風の精霊四属性ならともかく、神威である聖と闇属性ダメージは、それを弱点に持った敵じゃないと属性ダメージが入らない。

 かといって、俺のメインウエポンたるダーツはアイテムであり、当たりゃ固定の物理ダメージとして6点が設定されてはいるが、例えばノーマルショートソードのダメージが1~6で、それに筋力補正、ランダム加点、それにスキルダメージが載せられることを考えると、固定6点じゃ心もとないところではある。

 

 あー、何だか足も気も重くなってきた。

 安定志向の俺は、不安定な現状にモチベーションが上がらない。

 とはいうものの気持ちがフワフワして、何かやらなければという強迫観念のようなものが俺を駆り立てる。

 時々ルナを上に飛ばして方向を確認しつつ歩く。

 ルナは現状、100メートルほど俺から離れて飛ぶことができるようだ。

 地べたの俺は、なかなか進むのが厳しい。

 森って、超歩きずらい。

 手の皮も剥けてきたし、腕の筋肉も痛い。

 更に普段使わない肩の筋肉やら背中やら腹筋やら脹脛、そして靴擦れ。

 はっきり言って、全身痛くてたまらない。

 もうヤダ。

 かといって、ルナを活用したゲートによる移動も、何度やっても失敗して使えない。

 距離の問題じゃないはずだ。

 親密度がまだ低すぎるのか。

 数時間歩いて野生動物は、ウサギっぽい奴とか、鳥っぽい奴とかを見かけたが、俺の足音で逃げて行った。

 さっきの薄い紫色のウサギは、額に角があった。

 異世界っぽくなってまいりました!

 

 しかし、動物を殺して食う必要がないのはありがたい。

 こういった話の定番で、よく魔物とか野生動物とか食ってるしな。

 いや、俺には絶対無理だけどな。

 そんなワイルドなエピソード、要らねえし。

 普通にルームに入って、あっちの日常飯食います。

 

 慣れない森の中の単独行軍は、やたら疲れる。

 ふかふかの森の土や地面の高低差に足を取られ、目標の方向に真っすぐ歩けずテンションが下がる。

 ルナには、俺の周辺を飛んで状況を確認させている。

 代り映えしない森の景色と、何が起こるかわからない緊張が続く。

 

 太陽が大分上った。

 ルナとの親密度が幾分上がったのか、初めよりちょっと遠くまで行けるようになった。

 だが、まだゲートは使えないようだ。

 昼飯を取るためにマイルームに引っ込もうかと思った矢先、ルナが大分先の森の木々の隙間に、ゆっくり動く何かを見つけた。

 ルナを、そいつの近くの樹上に派遣して観察しよう。

 

 背の低いモンスターが一体。

 身長約1.2mぐらい、気色悪い緑色の肌に、申し訳程度に纏った腰蓑、頭髪疎ら、人間より歪に少々大きい尖った横顔と大きい目。

 そして50センチぐらいのこん棒を所持。

 ゲームに出てきたゴブリンだな。

 生ゴブリンかぁ。

 初めての敵性生物に遭遇し、ちょっと鳥肌が立つ。

 本物は、当然初めて見るものだし、怖い。

 ゲームじゃないんだよな。

 周囲を警戒しながら獣道を歩いているようだ。

 

 さて。

 一応、スライムと並んで一般的には雑魚とされるゴブリンが、多分一匹。

 数分、ルナを通して周囲を見ていたが、周囲に奴の仲間の気配は無い。

 体格では、俺が圧倒的に優位。

 相手のスキルは不明。

 だが初めての戦闘としては、これ以上ない好機だろう。

 苦戦しようとも、今後のためにも一度は、己の能力の検証をしたほうがいい。

 しかし、ゲームと違う雰囲気に、変な緊張感で包まれる。

 魔物とはいえ、Gや蚊以外の生き物を能動的に殺そうとする行為は、今までの人生ではなかったからな。

 あ、釣った魚はノーカンね。

 さて、どこまでやれるか。

 相手の能力も不明なので負けるという可能性も捨てきれないが、初めての戦闘でビビっていては、何も前に進まない。

 いつかは、初めての戦闘を経験するのだ。

 この危険な世界で生き抜くために。

 

 俺の攻撃能力の確認。

 ダーツの射程は、競技で規定されている2.37メートルだ。

 で、この神ダーツは、数こそ無限に投げられるが、きっかり一秒に一本しか投げられない。

 まあ、このダーツは何も持っていないように見えるので、相手の油断を誘うのに便利だけど。

 

 因みに俺の利き手のである右手は、既にダーツが装備されていて、更にショートソードを持つことはできても装備はできない。

 装備できない状態とは、しっかり武器を握ることができない状態ということだ。

 具体的に言うと、同じ手に二つ武器を装備しようとすると握力が10分の一になり、どちらもまともに使えなくなる。

 ダーツは右手に装備しているので、先ほどから振り回している※ショートソードは左手で把持している。

 こいつは、初期装備なので廃棄可能で譲渡・破壊不可、切れ味は安物のダガー程度だが、いくら使ってもこれ以上キレ味は落ちない。

 というか切れ味いまいちは、デフォルトである。

 研ぐこともできない。

 まあ、無手よりマシってことで。

 考えようによっては、壊れない盾だしな。


 こちらの射程の関係で不意打ちはできないので、堂々と近づいていく。

 彼我の距離が30メートルくらいになった。

 そこでルナが、俺の指示でファイヤーニードルを発射。

 ゴブの視界に入る低空飛行で、俺の方に戻らせる。

 ゴブリンがルナをターゲッティング、続いて俺の姿を認めて、俺に向かってグェグェ言いながら走ってくる。

 ちょっとビビる。

 明確な敵意というか、殺意って、向けられると体が強張るんだな。

 野良犬とかでも、牙向いて唸りながら走ってきたらこんな感じだろう。

 幼少時の遠い記憶がよみがえる。

 毎回体が竦んでしまうようじゃ困るので、慣れが必要だな。

 

 ゴブリンの急接近に鳥肌が立つが、射程に入るまでオラオラと身振りで威嚇して待つ。

 我慢して、我慢して。

 今だ!

 彼我の距離、目測3メートル切ったところでダーツを奴の目に目掛けて投げ、体を開いて避ける。

 体術スキルが効いているのだろう。

 イメージ通りに体が動いた。

 そしてラッキーなことに狙い通り顔に当たったようで、ゴブリンは倒れるようにズコーっとこけた。

 あれ?

 痙攣してるけど起き上がる気配がない。

 とりあえず、止めにショートソードを大上段から薪割りフルスイング。

 ゴブリンの頭にガツッとヒットした。

 うへぇ……

 嫌な音だ。

 どんだけ切れ味悪いんだ、これじゃ鈍器だ。

 手に伝わる、鉄で骨を叩く衝撃。

 飛び散る、血しぶき。

 それに伴う、生臭いオイニー。

 生き物を、この手で殺した。

 爽快感?

 とんでもない、すごい罪悪感だ。

 ゲーム内なら微塵も感じなかったんだけど、リアルだとこんな感情に支配されるのか。

 

 俺って根っからシティーボーイだからさ、やっといてなんだけど、こういう野蛮なの性格に合わないんだよね。

 もうね、これからは生き物との肉弾戦闘は極力回避したい、一回で懲りた。

 ラノベの異世界に来た途端、人格が入れ替わったように盗賊やモンスターを躊躇なく殺せるとか、約60年、温和な日本人やってきた俺には、理解できんわ。

 みんな普通に生き物を殺せるモンなの?


 そして、本当にこいつの仲間が近くにいなかったようで、戦闘は終了だ。

 ゲームと違って、戦闘のBGMが終わるみたいな明確なシーンチェンジがないから、自分で判断するしかないんだよな。

 なんか物足りないというか、現実っぽいというか。

 現実か。


 そして、どんどん濃くなる血の匂いが鼻につく。

 生臭くて、気持ち悪くなる。

 あ、ちょっと服に血が飛び散ってるじゃん!

 やだ! ばっちい!

 とりあえず臭いで何か寄ってくる前に、立ち去ろう。

 形だけ、ゴブに手を合わせて成仏を祈った。

 命を奪って申し訳ない。

 南無南無……

 やっぱ、敵倒したら、ゲームみたいにキラキラして消えてほしいよな。

 生き物の死体は、見てて不快だし。

 車に轢かれた動物、可哀そうって思うでしょ?


 そういや、アイテムドロップとかあるかな。

 ログ画面はないのでルームに戻って、コンソールのマイステータスから確認。

 金は10G増えていた!

 少ない気がするけど、こんなもんだったっけ?

 とりあえず、G増やすことができました。

 で、他に俺の所持品に変化はない。

 そしてなんと、経験値は即座に「体術」に流れて、0のまま。

 代わりに「体術」のスキル値は、ほんの僅かに上昇していた。

 体術は、別名「気休めスキル」だから、あまり気にしないようにしよう。

 

 そういや、ここは自動でドロップアイテムが手に入る仕様じゃないのか?

 魔石とか素材とか討伐証明部位とか、そういうの?

 こっちのルールが、わかんねえな。

 何ができて何ができないのか、検証が面倒だよ。

 もう年で、覚えるの苦手なんだからさ。

 あ、俺20歳か。

 

 あと皮剥いだり、内臓をかき分けて魔石とか探す必要があるとか勘弁してください。

 心臓の近くとか、ありがちな設定だけどさ。

 クエスト達成条件で、ラノベとかでありがちな討伐証明の耳切り取りとか、触りたくもない。

 シティーボーイは、グチャグチャとか臭いのとか、体液でこっちが汚れるとか、それを持ち歩くとか、すごくすごく嫌なんですよ。

 

 心が還暦になのにボーイとか、突っ込みは無しで。

 老若女性集団でも女子会とか言ってるじゃん。

 え、言わない?

 いいじゃん、それぞれの気持ちの問題なんだからさ。

 

 しかし、戦闘自体は上手くいった。

 というか、柔らかい目玉から貫通してダメージが脳まで届いたのか、ゴブさん死に体だったなあ。

 もしかして、ダーツに貫通属性付いたのかな?

 恐る恐るゴブさんの後頭部を覗いて見る。

 何かが突き抜けたちっさい点がある。

 細っそいパイルバンカー属性キター!


 取り敢えずダーツの命中率は、今後も生命線になりそうだし、歩きながらそこかしこに撃って練習しよう。

 ダーツは、スキルじゃないし、MP使わないから投げ放題だ。

 出来れば今後も奴らの眉間に、いや狙ったところに確実に当てたい。

 勿論、生物との戦闘はできるだけ避けるさ。

 あ、そうか。

 純粋な生物以外の敵もあり得るよな。

 ゴーレム系とか?

 アンデッド系とか?

 自分で思いついていながら、その可能性に戦慄した。

 そういえば、俺のダーツ、対悪魔&アンデッド特化なんだよな……

 MMOの速攻倒せるゾンビ程度ならともかく、ガチホラー系ゲームとか苦手なんだけど……

 ゴブリンにすらビビっているのに、リアルの奴らに遭遇して俺のSAN値は大丈夫なのだろうか。


 しばらく投擲練習続けながら歩いていたら、少し当たりやすくなってきているかな、的な雰囲気。

 リアル熟練度、上がっているよね?

 取り敢えず、*ショートソードは、邪魔なので右腰に差す。

 マイルームに入って、と。

 

 お、よく見りゃウォレットのGが何故か24も増えていた!

 原因不明。

 もしかして時間経過でかな?

 よしよし。

 これで死ぬまで、生きていけそうだ。


 飯は、どうしようかな。

 折角の細やかなグッドニュースだしな。

 ミックスフライとサラダの盛り合わせと、浅利のみそ汁にしよう。

 ピクニックみたいに外で食べるか。

 器を持って、外に。

 おや?

 出られないぞ。

 持ち出せないのかな?

 ちょっと考察。

 可能性としては、飯が出せない、飯は器ごとだと出せない、そもそも部屋で買ったものが持ち出せない、というところか。

 

 カラアゲを出して、一つ持って外に出る。

 あ、出れた。

 口に入れる。

 問題ない。

 器というか備品?が出せないというパターンっぽい。

 じゃあ、外の物を部屋に持ち込む。

 葉っぱ一枚を持って部屋に。

 できた。

 んー、外で皿を調達すれば、部屋で料理を盛りつけて、外に持ち出して、おひとり様キャンプができるってことだね。

 おっけー。


 ベッドで筋肉痛とか治して、また出る。

 歩きながら葉っぱとかに狙いを定め、ポイポイ放って遊びつつ、2メートル強の感覚をアジャストさせていく。

 ふむ、だんだんわかってきたが、何と意識さえすれば何とモーションなしで投げられる。

 左手の剣を振る動作に合わせて、謎の遠隔ダメージを演出できた。

 更に目線で発射とか、指差し発射とかトリッキーな動きもいける謎仕様。

 そして目を閉じていても、取り敢えず発射できる。

 なんとなく慣れてきた。

 その後、木に投げて検証したら、おそらく射程の2.37メートルしっかり貫通することがわかった。

 俺のチート人生、始まったか!?

 いや、かなりショボいか。


 さて、ピクニック気分で飯を食うために、どこかに皿、落ちて無いかな。

 木でも彫って作るか。

 面倒だから竹、無いかな。

 パカッて割ってさ。

 でも周りを見たところ、そんなものはなかった。

 

 等と思いつつ頑張って歩くこと、数時間。

 漁村は、まだ先。

 正確な時間はわからないが、日は傾いてきた。

 今日中には無理っぽいか。

 ルナは200メートルぐらい離れて飛ぶようになった。

 多分順調である。

 その後5回、ゴブリンと遭遇したが、4回を迂回、一回は、う回路が崖で設定できず、止む無く退治した。

 その時は、ルナのファイヤーニードルで釣って、寄ってきたところ目を打ち抜いて始末する。

 スマートにいけた。

 何故か狙った場所を、割とピンポイントで打ち抜ける。

 俺にそんな特技があったのか?

 余計な剣の追撃はしなかった。

 一発で仕留める。

 清潔第一。

 ご安全に。

 

 そして、スライムもいた。

 あれ、スライムだよな?

 緑色の半透明で、岩の上にプルプル震えていた奴。

 気持ち悪いから、これもちょっと離れて処理。

 定番通り、中ほどにある一際濃い緑の丸い部分(核?)にプスッとダーツ打ち込んだら、ドロッと溶けた。

 反撃を受けなかったので、結局どんな奴かは分からなかった。

 あれも生き物だよね?

 やっぱ、無駄な殺生は止めておこう。

 10Gげっと。

 もう2メートル以内なら、見えてりゃ指で触る感覚でダーツを必中させることができるようになった。

 ショボチート万歳。


 そういえば、自分の周りを飛んでいるルナが時々火を吐いて、蟲を退治しているんだけど、細やかなGを稼げているのは、敵扱いの蟲の討伐報酬が自分に入っているのだと思われる。

 自動で稼げるのは、地味にうれしい。

 できれば、俺の散歩に合わせて毎日の飯代を自動で稼ぐぐらい頑張ってほしいと思うのは、贅沢だろうか。

 あ、そうか、もう一匹召喚して、稼ぎを倍にしよう。

 

 早速、売れ残り2号を召喚。

 使い勝手が良いので、またツバメを出す。

 安直に「ヒエン」と名付けた。

 ルナは、俺の左側を周回させることにして、ヒエンは俺の右側を飛ぶ任務にした。

 これで稼ぎが倍になる、と思う。

 

 夕方っぽくなってきたので、ルナとヒエンを回収して、とっととルームに入る。

 ペットのエサは、ルーム内で販売している。

 一食1Gで10分ほど飛んでいられるようだ。

 飢餓状態だったようで、慌ててMAXの100食ほど二羽に持たせた。

 すると30食ほど消費された。

 餓死ロスト寸前だった、危ない危ない。


 さてボタン一発、風呂を沸かして、と。

 さて、飯食って、出来ることが他にないか確認するべ。


 飯は、有難いことにカネの許す限り、出すことができる。

 当然所持金は有限なので無駄に豪華にはしないつもりだ。

 小生、糖質制限ダイエットしているので、穀物は基本的に少な目で。

 まあ、そんな厳密にやってはいないんだけどね。

 

 今日は、バーニャ・カウダとA5和牛シャトーブリアンのサイコロステーキ、三種のかまぼこと漬物盛り合わせ。

 飲み物は、勿論キンキンに冷えたビールで。

 おひとり様のディナータイムである。

 チアーズ!

 味は、ちゃんとしている。

 普通に激ウマい。

 

 メニューは、料理自慢の個人や、食品メーカー、レストランが、宣伝のために載せているので、軽く1000種は超えているから、味に飽きることはないだろう。

 これ、こっちの世界に持ち出して料理屋とか始めたら、余計な奴に目を付けられるかな。

 ぜってーやらねえ。

 あ、飯代掛けすぎた。

 油断した。

 

 BGMは、残念ながらネットに繋がっていないので、プリセットのもので。

 タイトル知らないけど、ゲーム内の酒場でかかっているスロージャズっぽいやつ。

 あー、寛ぐ……


 そういや、Gで基本的な消耗品、買えたよな。

 チェックしてみるか。

 取り敢えず、マイナーヒールポーション、100G? 結構高いな。

 ポチっとな。

 お、買えた。

 で、取り出せた。

 アンプルごと部屋の外に出られるか。

 お、いけた。

 これは容器の移し替えしなくていいみたい。

 

 これだけで、もしかしたら生きていける?

 いや町で大量販売するとか、悪目立ちするか。

 材料を仕入れてもいないのに売ったら、何か秘密がありますよ~って言ってるようなもんだもんな。

 ん~ポーション屋、ダメだな。


 さて、風呂に入ろう。

 当然、今は現実だし、マッパになれる。

 ゲームじゃR18になるほど脱げなかったし、お湯は安全のため、人肌程度の温さだった。

 使い方は、広告スポンサーであるハウスメーカーの大型ユニットバスがモデルなので普通にわかる。

 42度設定で。

 あーいい気持だ。

 ここでは、ちゃんとした風呂の温度だ。

 目をつぶると、ここが異世界だということを忘れてしまう……


 おっと、逆上せる寸前だった。

 少しクラっとしたけど、いやー、いい湯だった。

 

 風呂上がりに、グラスビールと枝豆を出す。

 ゴキュッと至福の一杯。

 くあー!

 あ、また贅沢してしまった。

 反省。

 では、照明を足元だけにして、リラックス用のBGMを最小ボリュームでかけて。

 

 おやすみなさい。


 そういえば、俺が得意なはずのアンデッド、出てこなかったなあ。

 やっぱ夜限定なのかなあ?

 やだなあ……


 そういや、結構敵倒したよな。

 金は、122G増えてた。

 経験値は……やっぱり0のまま。

 だよね!

 

 俺、強くなれないのかな……

 

 

 

 

 

 

 

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