岩の広間です。
よろしくお願いします。
昼寝の後、少し進むと、レティより大きな岩がゴロゴロある場所に出た。
そこは周囲に木々がなく、膝より低い位の草と、同じ様な形の大小様々な岩が一定の間隔をあけて、不規則に沢山ある。
ライシェラが、少し鼻を動かして。
「レティシア、いやな、においが、する」
「えっ!?」
驚くチコリをよそにレティが、近くの岩をコンコンっと叩く。
「こいつかな」
そう言うと、レティに叩かれた岩がモゾモゾと動く。
「これ!?岩亀虫!!なんて大きな群れ」
「一掃しとくか」
「!?お待ち下さい!レティシア様!!この虫は放っておけば、さほど害があるわけではありません」
「チコリ、岩亀虫の特色は?」
チコリは少し考えてから。
「・・・ギルドの情報では、岩亀虫は外殻を岩の様に硬質化する事で、飛行能力を失った大型の虫です。攻撃性は低く、こちらから手を出さなければ、危険性は少ないく・・・」
「危険が無い訳じゃないだろ?」
「はい、強く刺激すると、麻痺と毒を併用する臭いガスを出し、そのガスは発火性も強いため、敵対時の危険度は高いです。しかし、紛らわしい見た目と、討伐難度からギルドでは極力避ける様にと・・・」
「よく勉強してるね、チコリ。でも、街からここまでだと、大人数の冒険者の足なら、ちょうど日の落ちかけるころに着くと思わない?場所は、周囲に木々が無くて見通しもいい。もちろん岩亀虫に気づけば、ここでキャンプはしないだろう。だがもしここで火を使って岩亀虫がガスを出せば、おっきな花火になっちまう」
「・・・たしかに、しかしこれほどの数を全て倒すのは無理です。一匹がガスを出せば周囲の虫は逃げるような習性があったはずです。そして岩亀虫は飛べない代わりに見た目に反して足は速い・・・」
「そのための魔法だろ?コブン、念のため匂い消し作っておいて」
「わかった」
僕は、背負子を下ろして、道具を取り出す。
「一網打尽にする時の鉄則は?」
レティがそう言いながら周囲に結界を張る。
「たいろを、たつ」
次に、パチンッと指を鳴らすと、周囲にある全ての岩が浮かび上がる。
岩の裏側には足が見える。
異変に気付いたのか必死に動かしている。
「ガスはよく燃えるって?好都合!!」
レティは、一匹に自分より大きな火の玉を投げつける。
それが、虫に当たったと思った瞬間、視界一面炎に包まれる。
「・・・なっな!?」
炎が収まった後には、草が燃え黒くなった地面と、空に浮かぶ岩の様な虫の外殻しか残ってなかった。
僕が作った薬を、レティに渡すと、たぶん風の魔法かなにかで周囲に拡散させていく。
この使い方は、ライシェラに怒られた後、レティが考えた方法だ。
レティが結界を解くと、特に臭い匂いはしなかった。
上から、バラバラと虫の殻が落ちてきた。
「見えるのは全部焼いたな」
「・・・あっ、はい、すごいですね」
「そうか?まぁ、火の玉一発だったしな楽なもんだ」
「はっはは、そうですか・・・」
「レティシア、はでずき。でも、これで、しゅういの、まもの、みにくる、かもしれない」
「・・・それは、考えなかったな。まぁ、目印でも付けて進めば文句ある奴は、追ってくるだろ」
意外と、開けた場所の周囲の木々は少し黒く焦げただけだった。
そこから先は、進んだ一定間隔ごとに、目印の岩の様な殻を切り裂いて、木の枝に吊るして行く事になった。
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