森へ行く準備をします。
よろしくお願いします。
「母からお聞きしているかもしれませんが、今回の依頼は冒険者に花を持たせる形で補助に回ります。冒険者の出方によってはキャンプを守り、遺跡に入らない可能性もあります。ただし、遺跡の前までは彼らと行動を共にする必要は無いので、ある程度、融通が利く内容でもあります」
「なるほどね、そりゃ楽でいい」
「私達は冒険者より2日先行し、情報を元に遺跡までの道を調べ、危険を排除します。排除が不可能な場合は、迂回路を探します。その過程で、冒険者が追いつけば共に行動しますが、遺跡までは極力私達が戦い、冒険者の戦力を温存します。ほかに・・・」
僕はじっとチコリの難しい話をレティの膝の上で聞いている。
これ、僕居る必要あるんだろうか?
「じゃあ、コブンは行くとして、ライシェラはどうする?何日か空けることになるけど」
いつの間にか僕が行くことになってる。
まぁ、いいんだけど。
「いく」
「それではワタシも」
「ふぃりるは、おるすばん」
「そんな!?」
「もりは、ふぃりるに、むいてない。ごぶりんたちに、たたかいかた、おしえてほしい」
ふぃりるは跪いて、頭を下げる。
「ライシェラ様が、そう望まれるのでしたら、その様に致します」
「ありがとう、ふぃりる」
「もったいない、お言葉です」
チコリはフィリルにちょっと引いてるみたいだ。
フィリルは、いつもライシェラに対して大げさな感じだ。
「って事で、こっちは3人だけどいいかい?」
レティが、ちよっと如何したら良いか分からないわって顔のチコリに確認する。
「もちろん構いません。心強いです」
「チコリ、他に説明しとく事はある?」
チコリが、視線を逸らして少し考える。
「あ!さっ最後になりますが、今回、参加している冒険者の中に・・・。えっと、その、以前レティシア様が街中で暴れた時、半殺しにした人が結構参加してまして、あの、一応記憶は魔法で誤魔化しているのですが、極度の緊張や恐怖で解けることもあるので・・・。彼らの前では、その、髪と顔を隠すために、こちらをつけて欲しいと、母から・・・」
そういって、震えながチコリが出してきたのは、マスクと帽子だ。
帽子には髪の毛まで付いてる。
「へぇ、ラティキエもつけだからって強気だね?でも熱そうだからやだね」
「あ、それがこの2つには、母お手製の強力な認識阻害と環境適性が付いてまして、暑いところではむしろ涼しくなると言っていました。ただ、他には特殊な効果は無い、それだけの装備品なのですが」
「・・・はぁ、まぁ熱くないならいいさ。冒険者の前ではそれを付けるよ」
「ありがとうございます」
「チコリはこの後予定かなんか入ってるの?」
「いえ?特には・・・。事前にお伝えすべき事はそのぐらいです」
「そっか、じゃあちょっとアタイに付き合ってよ。ちょっとここじゃ狭いから外がいいかな?」
僕を下ろして、レティがさっさと外へ出てしまう。
ライシェラが一瞬レティの方をみた気がした。
「あ、はい・・・?」
チコリがレティの後を追う。
ライシェラとフィリルも行くみたい。
アージは、部外者なので、既に地下へ行っている。
僕も外へ見に行く。
「さて、チコリやっぱ、一緒に行動するんだし、お互い実力とか知っとく必要があるよな?」
「えっ!!?」
「まずは、ライシェラとやってもらうかな。ケガしたら意味ないから、ライシェラは寸止め・・・」
ライシェラは、レティが言い終わる前に飛び出し、チコリに拳を大きく振りかぶる。
「クッ!」
らしくない、大雑把な動きの一撃は、チコリにかわされて、地面を大きく穿つ。
「おいおい、ライシェラ気が早いよ。まぁじゃあ、はじめ」
チコリは驚いた様に穿たれた地面を見た後、レティに何か言おうとする。
でもその前に、ライシェラが攻撃してくる。
「なっ!ちょっと!ライシェラさん」
「チコリは魔法使ってもいいぞ、手加減もしなくていい。やばかったらアタイが止める」
「クッ!」
チコリがライシェラの前に氷の壁を作る。
でもそれはライシェラの一撃で簡単に砕け散り、かえって破片でチコリの動きが制限されてしまう。
ライシェラが、チコリの背後に回って肩にポンっと触れる。
「ライシェラ、一本。三本勝負で行くか。ライシェラ少し離れてやれよ」
ライシェラは何も言わずに背を見せて、チコリから離れていく。
「待ってください、レティシア様。今日は武器もありませんし・・・」
「別にそんなのいらないだろ?殺すわけじゃないんだから。チコリはライシェラに魔法当てたら一本だ、誰が見てもお前が有利な条件だぞ?じゃはじめ」
距離が離れている時に、チコリはライシェラに氷の柱を飛ばして攻撃しようとするも、全てかわされすぐに近づかれてしまう。
近づかれてからは、防戦一方でライシェラが隙をついて、チコリは良い所なく三本とられてしまう。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
肩で息をしているチコリに、レティが尋ねる。
「チコリ、なんで負けたかわかるか?」
「・・・ライ、シェラさんが、強すぎて」
「違うさ、ライシェラは本気なんて出してないしな。チコリ、お前がライシェラにビビったからだ」
「・・・」
「今の戦い、思い返してみろよ。ライシェラが遠くにいる時は攻撃できたけど、近づいた時は守りに入った。アタイは寸止めって言ったし、現にライシェラも触れただけだ。だからチコリは大胆に攻めも良かったんだ。体を囮に罠を仕掛けるとかな。殴る蹴ると違って、魔法にはその柔軟性がある」
「・・・確かに、そうですね」
「それが、なぜ思いつかなかったか?ライシェラの最初の一撃。地面を穿つ攻撃を見て、当たったらヤバイって勝手に判断したのさ。もっとも、ライシェラもそれを狙っての奇襲だったんだけどな。最近そういう、やらしい攻めが多いんだ」
「レティシア、しつれい。だいじな、せんりゃく」
「・・・たしかに」
「まぁ、別にそんな説教臭い事、言いたかった訳じゃないんだよ。要は、恐怖や、先入観ってのは思考を狭めるんだ。でな、チコリ、アタイにビビってるだろ?」
「えっと、それは・・・」
「まぁ、別にいいんだけどな。一緒に行動するうえで、それじゃ困るだろ?だからアタイがどの程度なのか理解するために、ぶつかって来いよ。って事さ」
「いやいやいや、無理ですよ!レティシア様となんて」
「まぁ、そう言うなよ。ちゃんと手加減する、攻撃当てたら一本だ。それに、ライシェラと組んでもいい。上手く連携しろよ」
ライシェラがすでに、低く構えてグルルルって言ってる。
あ、飛び出した。
レティの、火の玉がチコリに飛んでいく。
ライシェラが引き返す形で、その間に回り込み、ガァッて吼えるだけでそれを散らしてしまう。
「どうした、チコリ隙だらけだぞ。前衛のお荷物になってどうする」
「はっはい!」
なんか色々、言っていたけど、要はチコリと遊びたいって事みたいだ。
僕は空を見る。
今日は曇りだけど、昼までにはまだ結構、時間がある。
地下へ行って魔力が回復する薬と、乾燥レモンを牛乳と蜂蜜でもどした食べ物を用意する。
レティは、何本勝負か言わなかったので、きっと長引くからだ。
それを玄関の軒下にあるテーブルの上に置いて、畑へ向かった。
今日は少し早めにお昼ご飯を作ると決めて。
読んで頂きありがとうございました。




