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気が付くとそこは 2

 この話には、ファンタジーという世界観にはそぐわない、と感じる可能性がある表現が含まれています。

 もし抵抗がある方は、飛ばして頂いても、さほど問題はありません。

 よろしくお願いします。

 起き上がると、ぼやけた意識がゆっくりと目覚めていく。

 はっきりしてくると、痛みが無くなっている事に気付いた。


 足には鎖もないし、左腕からは奴隷の入れ墨まで無くなっている。

 そうか、あたし死んだのか。

 そう思った。

 だが泥だらけで、所々破けたボロボロの服には、黒くなった跡までついている。

 そういえば、何故かカーテンが体にかけてあった。


 その時、クーッとお腹が鳴る。

 恥ずかしくて、つい周囲を見回してしまう。

 そして、長椅子の前のテーブルの上に、なにかお皿のようなモノがあるのに気づく。

 お皿の上にお皿がかぶせてあり、あたしの方に食べろとでも言うように、木のさじまで置いてある。

 あたしは周囲をサッサッと見回してから、皿を空けてみる。

 途端に良い香りが広がった。

 もう温かくは無いが、スッキリとするような香りだ。

 もう一度に誰もいないことを確認する。

 木の匙で、恐る恐る一口飲んでみる。

 もう止まらなかった。

 そのまま皿を持って一気に口に流し込む。

 体から元気が溢れてくるような、じっとしていられない様なそんな不思議な感じがした。

 ほんと、今まで食べていたモノは何だったのかと思うほど、美味しかった。

 でも、もう少しゆっくり味わうべきだったと、少し後悔する。


 取り合えず外に出よう。

 そう思ってボロボロの建物から出ると、そこは一面木々に覆われた林の様になっていた。

 空いた口が塞がらない。

 振り返ってみると、半分崩れているが、カナリヤの倉庫だ。

 空の鳥かごだって軒下に吊るされている。

 なんだろう。あたしは何十年も眠っていたんだろうか?

 ほっぺをつねってみれば確かに痛い。

 これが死後の世界と言うやつなのかもしれない。

 取り合えず、鉱山の方へ向かう。

 地面はフカフカした苔に覆われている。

 人が通った跡がない。


 途中いくつかの建物があった。

 いや、元建物だ。

 なにか強い力で押しつぶされたように崩れているから。


 鉱山は山が半分がへこんだ様になって木々に覆われていた。

 しかも、まるで前からずっとそこに居た、とでも言うように巨大な像が立っている。

 一体は、両腕を組んでとても偉そうな女の人の像だ。

 もう一体は、なにか大きな獣の様。

 女の人の像の横合いからぬっと顔を出し大きな牙出している。

 今にも恐ろしい唸り声が聞こえてきそうだ。


 あたしは、なんとなく怖くなったので、それ以上近づくのをやめた。

 その像は見るからに、人を寄せ付けない雰囲気が出ている。


 それにしても、二百人はいたはずの鉱山の人達が一人も見当たらなかった。

 まぁ、死後の世界だからかもしれない。

 途中にとても甘い香りが漂ってきた。

 あたしはそっちの方へ行ってみると、赤い木の実がなっていた。

 拳ほどの大きさのそれを、一つ取って食べてみる。

 とても甘くて美味しい。

 しかも、一つ食べればお腹いっぱいになる。



 何日か経った。

 あたしは木の実を食べ、綺麗な川の水を飲み食事に苦労はなかった。

 あのボロボロの服は、崩れた建物の中から着れる物を拝借して着ている。

 驚いた事に、あの川で汚れた服を洗うとみるみる綺麗になる。

 まるで魔法の様だ。

 ちなみに寝る場所はカナリヤ倉庫だ。


 特に、不便を感じない生活が続いたある日。

 突然誰かの声が響く。


 『いさだくてし難避、為の全安は民住設施。すで様模るいてし持所を器武は象対。たしまし認確を者入侵の数複』


 頭の中に響くような声にびっくりしたし、意味はわからなかった。

 でも、頭に浮かぶ地図の赤い場所に、なんとなく見に行った方が良い気がした。


 その場所は、元の鉱山へ入り口に続く道辺りで、巨大な像が正面から見える所だった。

 木陰からそっと覗くと、鎧を着て武装した沢山の人達だ。

 死後の世界にも他の人達もいるのか、そんな事を考えていると、その人達に見つかってしまった。

 出て来いと言われたので出ていく、しばらく誰とも会話していなかったので、人寂しかったのかもしれない。


 「お前は、鉱山の関係者か?鉱山はどうなったのだ!?あの巨大な像はなんだ!!」


 鎧を着ていない偉そうな奴が、馬の上から話しかけてきた。

 まるで、貴族みたいだ。


 「あたしにもわからないわ。前に大地が揺れたでしょ?そして気付いたら林になっていたの。って、ここって死後の世界じゃないの?」


 「なにを訳の分からんことを!!隠し立てするつもりか!?」


 「ちょっちょっと待って!?もしかして、あたし死んだ訳じゃないの?」


 「なにを言っておる!!他の者たちはどうした?なぜこんなに木々が茂っておるのだ!!鉱山主を呼べ、突然鉱石が運ばれなくなったのはなぜだ!?」


 馬の上の奴が何かまくし立てるが、それどころじゃない。


 「そうか!!あたしはまだ生きているのね!!」


 「ええい!埒が明かぬ!縛り上げ尋問せよ」


 周囲の兵士があたいを取り囲む。


 「えっ!?なっちょっとまって!」


 するとまた頭の中に声が響いた。


 『すまし化力無を者動行対敵、し放開を能機衛防、部一。すまし使行を限権理代、為の在不が者理管設施、たしまし認確を動行対敵のへ民住設施』


 そう聞こえた途端、何匹もの石像の魔物が兵士たちに襲い掛かる。

 次々と武器に噛みつき、上に乗りかかり、押し倒してしまう。


 「クッ!?なんだこれは!?」


 それに誰かが答える前に半分近い兵士が獣の足に押さえつけられる。

 さらに獣はどんどん出てくる。

 貴族も不利を悟ったのか、顔を青くしてまくし立てる。


 「退け!!ひけぇー!!」


 そう言って、馬の向きを変えて走り出す。

 他の人達も後に続く、押さえつけられていた人たちも、すぐに解放されその後に続いた。

 残ったのは、腰を抜かして動けないあたしだけだ。


 獣は兵士が居なくなると、石像の方へ戻って行った。

 でも、一匹だけあたしの正面に腰を下ろして動かないのが居る。

 これは、どうすりゃいいんだ!?

 読んで頂きありがとうございます。

 この話で、このあたしの人のお話は一区切りです。

 もう一つサイドストーリーを挟んでコブン君たちの話に戻る予定です。

 ちなみに、次の話は漠然としか決まっていなくて、少し更新が遅れる可能性があります。

 ご了承ください。

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