気が付くとそこは 1
途中ですが、あげます。
直接的な表現は出来るだけ避けましたが、痛々しい描写が存在します。
抵抗のある方はお読みにならないでください。
よろしくお願いします。
あたしは鉱山に売られてきた奴隷だ。
その日は朝から発破という、魔法の道具で坑道を広げる作業のため、鉱山内に入れず半休だった。
もちろん、奴隷のあたしに休みなど無い。
その時も主人に言われ、麓の湖近くの魔道具の隠し倉庫まで、道具とカナリヤを取りに来ていた。
主人の奴、わざわざ足に鎖なんてつけて、現場から一番遠い場所を指定しやがった。
もちろん逃げられる事を心配してじゃない。
昨日、酔った勢いで乗っかかってきたので、蹴り上げてやった事への仕返しだ。
鉱山の奴隷は、あくまで国の所有なので、主人とは言っても仮のモノだ。
だから寝てやる義理はない。
最も待遇がよくなるからと率先して寝る子もいるけど、あたしはそこまで割り切れない。
倉庫に着くとカナリヤ番のオヤジが居なかったので、勝手に鍵を開け地下の隠し倉庫へ降りる。
主人に反抗的なあたしは、ここの常連だ。
そして棚から道具を取ろうとした時だった。
ドドドッと音が聞こえた、最初は太鼓の音がと思った。
夜に鉱山夫達が飲んでドンチャカやってるからだ。
でも昼間だし、それよりカナリヤ達の声の方が気になった。
ピーピーバタバタうるさい。
まぁカナリヤはうるさくてなんぼか、そこまで思った時、体に揺れを感じた。
気づけば太鼓の音が更に大きくなっている。
カナリヤの声に混じって悲鳴まで聞こえた気がした。
ここまで来れば鈍いあたしでもやばいって思う。
バタンッと振動でドアが閉じた音で我に返る。
慌てて地下から出ようとして、足の鎖でもつれて転んでしまう。
主人の顔を妄想で殴ってる間に、地下の窓が割れた音共に真っ暗になる。
そしてあたしの上に何かが落ちてくる。
今まで経験のない痛みに、一気に意識が飛ぶ。
手足のあまりの痛みに、意識が急激に戻る。
周囲は真っ暗で、自分の状態もわからない。
しかし、あまりの痛みで浅い呼吸しか出来ない。
その時あたしは、近くの道具棚にリンスンと言う、少しの間だけ周囲を明るくする使い捨ての魔道具があったのを思い出す。
坑道に亀裂などがあった時、深さを測るためのものだ。
暗闇の恐怖から、必死に手を動かして探した。
そして範囲にそれらしいものが見つかる。
シュボッと明かりが灯ると、すぐにその明かりを投げ捨ててしまう。
暗闇とは違う、現実という恐怖からだ。
呼吸がより早くなり、涙が溢れた。
よくは見なかったが、明かりに照らし出されたあたしの手足は、棚と土砂で見えなくなっていた。
・・・痛いはずだ、チクショウ。
どれだけそうしていたかわからない。
半分以上は気絶していたかもしれない、意識があっても痛みで意識が朦朧とし時間の感覚がない。
リンスンがすぐに消え、戻ってきた暗闇の中で、あたしが生きていると思えるのは、痛みとどこかから聞こえてくるカナリヤの声のおかげだ。
いつの間にか、痛みが消えていることに気づく。
だが、まだカナリヤの声だけは聞こえていた。
その声もバタバタっと聞こえたと思ったら遠ざかり聞こえなくなった。
あたしは、死を自覚する一方で、カナリヤに裏切られた気がした。
フッ、勝手なものだ。
だが、このなぜかわからない、悔しい感情が渦巻いて、出せる全ての力を使って、カナリヤを罵倒してやった。
そう思っただけで、実際は蚊の鳴くような声が出ただけだったかもしれない。
そして、沈んでいく意識の片隅で、足音を聞いた気がした。
すると、地下の扉が開いた。
顔に薄っすら光が当たる。
誰かが入って来たと思ったら、いきなり手足に痛みが戻ってくる。
さらに首を絞められる様な感覚。
その後は手足を炎で炙られる様な熱が広がり、口に何か突っ込まれる。
甘いと思ったのも束の間、今度は体の中から炎が噴き出したようだ。
あまりの責め苦にすべてが真っ暗になる。
次に気が付いた時には、倉庫の長椅子の上だった。
そうか、あたしは死んだのか、そう思った。
読んで頂きありがとうございます。
あたしという一人称を使いました、半分以上あたいと入力していて修正する羽目に、作者にはレティシアさん仕様が染みついている様です。




