王国騎士団・北方教導隊 その後2
すみません、堅苦しい説明回になってしまいました。
主人公も出てきませんし、嫌いな方はすっ飛ばして頂いて問題ありません。
あとがきに要は何が言いたかったのかだけ書いておきます。
はぁ、俺はため息を付きながら隊列に戻る。
隊長に報告したが、結局ゴブリンがいる可能性のある北西へ向かうことになった。
もちろん、危険があるため、一度本体は引き返し、少数を偵察として残し相手の規模を正確に把握すべきだと提案したが、却下された。
隊長は体裁を保つ必要があるため、強気な姿勢を見せる事が求められるのはわかる。
いつものように馬があれば、少し周囲に不審に思われても、彼に近づき耳打ちするだけで良かった。
そうすれば、馬上との距離と周囲の音で、他の者に話が漏れることは少ない。
ところが、俺の馬は貸してしまっている。
そういう意味では、俺の浅慮のせいとも言える。
あの時、多少不自然でも一度、馬を返してもらって、報告に行くべきだった。
だから先ほどの報告で、馬上の隊長に進言する時に、大きな声を出す必要があった。
そうすれば、当然周囲の者の耳にも入る。
しかも、間を読めない副長まで来た。
ほんとにこいつは俺を貶めるために行動しているんじゃないかって、あらぬ邪推をしてしまうほどだ。
当然、副長がそんな器用なやつでないのは知っている、というより調べた、隊員からそれとなく話を聞いて。
一時は本気で消そうかと思ったほどだが、副長が居なくなることの利点と欠点を冷静に考えれば、答えは一つだ
決して、副長の妹がいい女とかそう言うのは関係ない。
俺が隊長に意見を進言している時、副長が来たからやめるなんて事は出来ない。
近くで耳打ちしてる程度なら、途中で切り上げても、不自然ではないし、失礼でもない。
俺は諦めて、隊長にゴブリンの報告と慎重論を進言する。
当然の様に、副長は調査こそが我々の任務、そちらへ向かうべきだという強気の意見を言う。
周囲がどう思うかは別にして、他の者が聞いている状況では、副長の意見を選ばざるを得ないだろう。
なぜって?正論だからだ、任務にも沿っている。
俺の慎重論は言ってしまえば弱腰な対応だ、隊長の性格ならその選択しはない。
これがもし、ゴブリンの事を知っているのが、俺と隊長だけなら、隊長が偵察を残し違う方面を調査する。そう言うだけでいい、下の者まで細かな理由を知る必要はないからだ、皆それに従う。軍人とはそういうものだ。
だが、誰も結果を期待していない任務に執着してどうするというのか?
俺たちが選ばれた時点で、王都では今回の調査をさほど重要視していないという事だ。
空振りに終わっても、そうか。で終わる話なのに。
はぁ、生真面目に付き合うと、苦労するとはこの事か。
俺は次の対応を考える、愚痴っていてもしょうがない。
決まった事はやらねばならないのが、兵隊さんってもんだ。
まず、隊長と副長そして、俺の間で大きく違うのが草原に関する知識の差だ。
これは、貴族の寄せ集めが多いこの隊の特色でもある。
お前も貴族なんだろって?
それはそうだが、俺はこの任務が決まった段階で、王都の冒険者ギルドや、北方警備隊などあちこち出向き、魔物や危険な場所、時間、地形の特色など様々な情報を集めた。
それは、騎士団の権限や知人を頼って、資料を見たり、話を聞いたり出来る限りだ。
もちろん、時間は有限だし、穴のある情報だろうが、無いよりはマシだ。
なぜかって?
もちろん、参謀役としての立場もあるが、生き残るため、というのが最大の理由だ。
貴族ってのは、生まれてから成人するまで、安全に生きていく者が多い。
だが、俺の実家は辺境だ。
街の外がどれほど危険に溢れた場所なのか、隊の奴等よりは知識があった。
いや、違うな。
恐怖があったのだ、飛竜の事件でもそうだが、ヒュムなど弱い生き物なのだ。
じゃあ、先ほどの報告で何を恐れているかって?
ゴブリンが3匹なら俺もそこまで警戒はしない。
いや、嘘だな。
警戒はするが、ここまで悲観はしない。
ゴブリンが騎乗していた、これがまず危険な状況だ。
ゴブリンというのは、ヒュムより小柄なため馬に乗るのは難しい。
じゃあ、何に乗るか?
草原で最も可能性が大きいのが魔狼と言われる魔物だ。
この魔物の狼、ゴブリンより力、素早さ、知力、どれを取っても優れている。
さらに、馬より持久力もあり、嗅覚や、聴覚にも優れるらしい。
それなのに、なぜゴブリンと一緒にいるかまではわからないが、このワーグを倒そうと思ったら、装備の充実した騎士でも4~5人で囲む必要がある。
それだけでも十分脅威だが、普通のワーグは群れても10匹もいかない程度だという。
ところが、ゴブリンの群れで強いボスが率いると、40~50騎の部隊が組織されることもあると言う。
単純に計算しても、ゴブリンとワーグ1騎に5人必要なのだ。
最悪250人必要になる、もちろんこれは最悪の話だ。
それにそんなのとやりあった場合、俺の目的である無傷の帰還が叶わなくなる。
その時は、早期撤退を進言する他ない。
だが、3騎と言うのも良くない数字だ。
縁起どうこうの話じゃない。
俺が斥候として出すだろう最小人数だ。
斥候とは部隊を動かすさい、偵察などを行い。
進む先の安全を確認する目的などで隊から、分けて先行させる人の事だ。
なぜ3人なのかって?
1人じゃ奇襲や、事故があった時、情報を持ち帰ることが出来ない。
3人なら生存確率が上がるって言うのもあるが、2人が情報を持ち帰り、1人が目印を残しながら相手の後を追跡する等、色々と出来ることが増える。
そうなると、軍事的な知識がある者が指揮している可能性まで考慮しないといけない。
そういう意味では、こちらの動きを把握されている可能性がある。
はぁ、奇襲の心配までしないといけないとは、頭が痛い。
頭を悩ませながら歩いていると、いつの間にか自分の馬の所まで戻ってきていた。
「どうだ?何かほかにみえたか?」
「はっ!いえ!あれからは見ていません」
「はぁ、ますます悪い知らせだな」
「えっ!?そうなのですか?」
「すまん、聞き流せ、それよりその方向へ調査へ向かう。お前の目が頼りだ期待してるぞ」
「はい!お任せください」
俺は近くの草を摘まんで、肩の高さぐらいから落とす。
草は北西に流れた。
はぁ、深いため息が漏れた。
不運ってのは重なるモノか・・・。
要は、早く帰りたいのに、ゴブリンの見えた北西に進みますよ。ちぇって事でした。
なんか、普段あまり説明を書かないので、ガンガン言い訳しちゃいました。
すみません。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
こんな感じの話がもう少し続きます、お付き合い頂けたら幸いです。




