島の洞窟です。
少し遅くなりました。
しかも、短いですがよろしくお願いします。
僕たちが踏み出すと、魚の人は下がった。
僕たちが歩き出すと、魚の人もきびすを返して歩き出した。
やっぱり、ついてきて欲しいみたいだ。
走っていた村の魚の人とは違い、歩くのがゆっくりなので、僕たちが合わせる感じだ。
魚の人の横穴は緩やかに下りながら、大小様々な空間が広がっていて、ドワーフの穴みたく人が手を入れた感じでは無い。
急に切り立った崖のようになっていたり、いくつも枝分かれしていたりと、魚の人が居なかったらきっと迷子になっている。
「でも、よく案内したがってるなんて分かったね?」
「さっき、レティが攻撃はしてこなかったって、だから何でが考えてだの」
「なるほどね。アタイは挑発されてんのかと思ったよ」
「それは、僕も思った」
そんな話をしながら真っ暗な中を進むと、それ以上進めなくなる。
行き止まりじゃ無い。
洞窟の先が水に浸かっている。
魚の人は、そのまま入っていってしまう。
あ、途中で振り返った。
また、怪しく手を動かし始める。
入ってこいって事だと思う。
僕は、レティを見る。
「ここまで来て引き返すわけにも行かないか」
「レティ、僕泳いだこと無い」
「そういえば、ゴブリンが泳げるって、聞いたこと無いね。コブン、ゆっくり深呼吸して、水の中に入ってみて?種族的な拒否反応があるなら危険だからね」
「わかった」
僕は深呼吸した後、ゆっくりと水の中に入ってみる。
「んで、顔を水に浸けて、もし怖かったら、無理しないでやめるんだよ」
顔を浸ける時に、少し体が強張ったけど深呼吸をすれば大丈夫だった。
なぜかこれは怖い事ではないって気がした。
でも、足を魚の人に掴まれる。
これはさすが恐くて、一瞬頭が真っ白になる。
慌てて振りほどこうとする直前に。
「落ち着いて下さい。大丈夫ですよ」
そう、声が聞こえた。
とても柔らかい、優しい感じの声だ。
もちろんレティじゃない。
僕が驚いてそちらを見る。
水の中なのでゆがんで見えない
「よかった、聞こえるみたいですね。少しお待ち下さい」
すぐに視界が開ける。
しかも、今までは暗闇で、白黒だったのに、色がわかる。
声の人は魚の人だった。
「大丈夫みたいですね。もう一人の方も水中に入ってもらえますか?」
僕は水から顔を出す。
すると、色が無くなった。
「レティ、魚の人が、魔法みだいの使ってぐれるから、水に入ってで」
「ほーぅ、わかったよ」
「ありがとうございます。魔法で水中に対応させます。呼吸が出来るようになり言葉も伝わります。あと視界も開けますので、心を落ち着けて受け入れてください」
そう言って、魚の人がレティに触れて何か唱える。
歌のようにも聞こえる。
「ほぉ、こりゃ驚いた。コリュンバー・・・。古の呪文?」
「ご存知でしたか。魔術への深い知識があるのですね。ならば、もう一つ使ってもよろしいですか?体への影響が大きく、人に使うと無意識に拒否してしまう方が多いのですが・・・」
「いいよ、少し興味もあるしね」
レティが、頷くと魚の人がまた歌を歌い始める。
「スケロス・・・ヒェリ・パラミ・・・ソー・・・アラ・・・」
レティにはいくらか意味がわかるみたいで、聞き取れた単語をくちずさんでいるみたいだ。
すると、レティの体から泡が沢山、出てくる。
僕はびっくりしたけど、レティは自分の手足を眺めて笑ている。
あの笑い方は初めて見た。
少し、戦っている時の様なギラギラした感じに似ていたかもしれない。
でもそれも、すぐに沢山の泡で見えなくなってしまう。
泡がおさまった時には、レティの姿は変わっていた。
読んで頂きありがとうございます。




