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飛竜の引っ越しが始まりました。

ミスリルの名前を変えました。

 皆さんのイメージが強すぎる鉱石だと思ったからです。

 よろしくお願いします。

 ガシャン、ガランガランガラン。

 そんな音で、目が覚めた。

 音の方を見ると、鍋が吹っ飛んだみたいだ。

 いつの間にか、外は明るくなっているみたい。

 ちょっと寝坊した、いつもは明るくなる前に起きるのに。


 「申し訳ありません。コブン殿、狭い空間ではどうしても勢いを殺しにくいのです」


 鍋を飛ばした犯人の、紫ワイバーンさんが申し訳なさそうにしている。


 「大丈夫、おはようございます」


 周囲を見回すと、もう他のゴブリン達はいなくなっていて、広間に残っているのはレティだけだ。

 ちなみにレティは、持ち込んだ自立式ハンモックで寝ている。


 「おはようございます。コブン殿。それにレティシア殿も」


 「おはよ、ずいぶん早いね」


 「応募した所、思ったより多くの者達が集まりまして。それと昨日確認し忘れた事なのですが、我々の眷族には渡りを行い、一定期間だけ巣を作り子育てする者達もおります。そういう者達にもこの場を提供してもよろしいでしょうか?」


 「ちょっと待って、今ライシェラが来るから。アタイ達だけで決めることじゃないよ」


 「わかりました。急ぎすぎました、申し訳ありません」


 「気にしないさ」


 僕はそんなやりとりを聞きながら、昨日の尻尾肉の残りを煮込んで燻製にし、近くの穴に陰干しのため吊しておいたのを取りに行く。

 あれ?なんか量が半分ぐらいになってる。

 ライシェラが、朝ご飯に食べたのかも知れない。

 少ない分は合成して補うことにする。

 3人前の、しょうが焼き風丼ふうどんぶりを持って行く。

 ちょうど、ライシェラも着たみたいだ。

 僕はレティと紫ワイバーンさんにしょうが焼きを渡す。

 ちなみにワイバーンさんのは、特大サイのしょうが焼きだけだ。 

 それをライシェラが、ジッと見つめている。


 「コブン、わたしのは?」


 あれ?ライシェラ食べたんじゃないのかな?っと一瞬おもったけど、すぐお腹すくこともあるかと、思い直す。

 僕の分をライシェラに渡す。


 僕は1度近くの穴に戻って、袋から乾燥した小リンゴといくつかの素材を取り出す。

 田んぼのキラキラから取れたものや、ライシェラが取ってきたお肉も使う。

 出来上がったのは。

 リンゴの炊き込みご飯、おにぎり。

 中の具は刻んだカリカリベーコンだ。


 もちろん、今度は抜かりなく人数分ある。

 それぞれの感想は。


 「なんと、わざわざあ・・」

 「このほのかな甘みと・・・・・・」

 「ん、うまい」


 こんな感じだった。

 僕の感想は、リンゴの甘みとベーコンの塩気でいい感じ、だ。


 結局難しい話は、この穴の一部を渡りの飛竜用に、月借りの住処にするって事になったみたい。

 その後は元ボスさんも来て、レティが森の出口に認識阻害の結界を張るとか、その場合飛竜達の目印はどうするか等色々話し合っている。


 僕は、そんな話を聞き流しながら、この穴で採れるキラキラを集める。

 苔とか今まで採れたことがないものがいくつか見つかった。


 その後、川へ鍋などの調理具や食器を洗いに行く。

 ワーグさんと女のゴブリンが何人か手伝ってくれた。

 ここには水場が無いので、料理の時は大きな器に貯めておいた水を使ったけど、洗うのは軽く濯いだだけだ。

 地下水か、川の水を引っ張る方法でもあればいいのにね。

 そんな事を思っている内に川についた。

 ワーグさん達の足の速さに驚いた。

 このワーグさんは子守当番らしい。その小さいワーグさんも調理具を運ぶのを手伝ってくれた。

 小さいワーグさんには川に近づかないようお願いして、僕は河原へ降りてい・・・こうとして、そんな場所がほとんどない事を改めて知る。

 川は急流ではないけど、水量は多く物を洗うのは危険な気がした。

 考えてみると、僕は泳いだことが無い。

 しょうがないので、橋の水車の水を使うことにした。


 女のゴブリンにいつもはどうしているのか聞いてみると。

 普段はわざわざ器を洗ったりしませんよって言われた。

 そもそも、調理器具を使って調理する事もないそうだ。

 やったとしても、葉っぱに包んで焼くとからしい。

 それはそれで、美味しそうだけど。


 でもそうだった、僕たちは地面に落ちたものを食べても、簡単にお腹壊したりはしないのだ。

 けど、土の中は雑菌の宝庫だ。

 僕たちはよくても、レティやライシェラまで平気とは限らない。


 一通り洗って、ワーグさん達に手伝ってもらって戻ることにする。

 戻ったら話はまとまったらしく、紫ワイバーンさんは帰ったみたいだ。

 レティは一度帰って、結界を張る道具をとってくるらしい。

 元ボスさんはミミズ達、拡張工事の監督だ。


 僕はライシェラや大きいゴブリン達と、調べていない坑道の奥を調べることになった。

 僕はキラキラを集めながら、もしもの時に回復するのが担当だ。


 最初に調べた横穴は、途中で行き止まりになっていた。

 掘った後に周囲の土が崩れて、埋められた様なふさがり方で。

 僕には自然に崩落したのか、ドワーフ達が崩して塞いだのかは判らなかった。

 この奥に行くなら、レティが居る時にって事で一旦飛竜の広場に戻る。


 次の横穴は進むほどに、上下左右縦横無尽に枝分かれしている。

 どれもある程度進むと行き止まりだが、どれが本道か判らず、急に落ち込んだりと、複雑だった。

 途中でライシェラが、異臭を感じたので、深入りせず途中で引き返す。

 ちなみに紐を腰に巻いて道しるべに、等はしていない。

 探索の大部分は、ライシェラの鼻が頼りだ。

 でも、帰り道には目印を付けて戻った。


 次の穴は、新しかったのか、他の穴と違い。

 歩く地面や壁がでこぼこで、天井も低かったり高かったり、横から岩がせり出していたりと、整地されてない。

 途中壁の横幅が狭すぎて、通れない場所があり引き返した。

 ライシェラが崩落の危険があるから、ミミズ達の今の作業が終わるまで待った方がいいと判断したからだ。


 最後の穴は斜め下に向かって伸びている。

 綺麗な道だがかなり深い。

 ライシェラは、耳や鼻をよく動かしている。

 これは、音や臭いに集中しているからみたい。

 坑道内にガス溜まりが有ったり、魔物との遭遇を避けるためだ。

 ちなみに、ここに居る全員が事前にレティから、音が消える魔法をかけてもらっている。

 でもこの魔法は鼓動とか衣擦れ等の音は消せても、土の振動までは消せないので、穴の中だと気休めかもと言っていた。

 そして、灯りになる物は使っていない。

 ライシェラは、僕たちとは違って光りが全くないと見えないらしいけど、臭いや音で、ある程度判るみたい。

 今は音を消す魔法を使ってるから、僕と手を繋いで歩いている。


 しばらく進んだ所でライシェラが、全員に止まるように合図する。

 全員が立ち止まりサッと腰を落とし、武器に手をかける。

 今ここに居る大きいゴブリン達は、戦うのが得意な人達で、最近は牛ゴリラさんや、ライシェラと、訓練をしているらしい。

 持ってきている武器はナイフ等だ。

 これは狭いところでも、戦いやすいからって言ってた。


 ライシェラが、そっと壁に手を当てる。

 何か近くに居るらしい。

 皆の緊張が高まるのを感じた。


 シーンッとなった穴の中で、次第にザクザクザクッと音が聞こえ始める。

 流石ライシェラだと、改めて思う。

 もし僕たちだけなら、この音の主に奇襲されたかも知れない。

 相手に先んじて発見するって事は、時に生死を分けると思う。


 ザクザクッて音は近づいて来て、ジッとしていれば振動までわかる程になった。

 もうすぐそこまで来ている、それは皆の緊張感からもわかった。

 そんな、こちらの緊張を感じ取ったとでも言うように、すぐそこで音が止まった。

 次の瞬間、ライシェラが壁に突っ込む。

 壁は簡単に崩れ去り、その奥の生き物に手が届く。

 ところが、その生き物は奇襲だったはずの、ライシェラの一撃を大きな手の爪で受け止める。


 ライシェラはすぐに飛び退いてこちらの、坑道に戻ってくる。

 その生き物は、大きなモグラだ。寝そべった状態で、坑道いっぱいのその体は大きく、手の爪は鋭い。


 「さがる。ここでは、ふり」


 ライシェラの指示を受け、大きい人たちが一斉に後ろに走る。

 僕はライシェラに襟を捕まれ持ち上げられる。

 モグラもすぐに追ってくる。


 「ライシェラ、あれ、仲間に、でぎない、がな?」


 「コブン、だまる。したかむ」


 僕たちは、飛竜の広間まで戻ってくる。

 でもモグラはここまで追っては来なかった。 

 たぶん、途中で引き返したんだと思う。

 でも、あの体で一定の広さの坑道だから、簡単には後ろに戻れないんじゃないだろうか?


 「コブン、なんで、なかまに、したいの?」


 「たぶん土の中の事、詳じいと思うから。今後助けになるがなって」


 ライシェラは周囲を見回す、大きい人たちはまだ息を整えている。


 「コブン、いくよ。ほかは、まってる」


 僕とライシェラはまた坑道の中へ入っていく。

 すると、しばらく進んだところでさっきの大きいモグラが、ザカザカ後に下がっている。

 見た目に反して素早い動きだ。

 途中、僕たちに気付いたみたいで、動きが止まる。


 「わたしの、ことば、わかるか?」


 「ギゥーギゥー」


 威嚇しているような、声を出す。


 「わたしたちに、きょうりょく、してほしい」


 ライシェラは、そう言いながら近づいていく。

 モグラは腕を振るって爪で引っ掻こうとするが、ライシェラはそれを受け止め、手で頭に触れる。

 たぶん、念話だと思う。

 ライシェラも出来たんだ。

 レティが、やり方教えたのかな?


 しばらく2人は、動かなかったけど。

 ライシェラが、頭から手を離し、モグラは後へ戻って行く。


 「じぶんが、つちの、おう、だから、だれにも、したがわない、いってた」


 「そっか、残念」


 「ただ、このあたりに、わたしたちが、すんでも、おそって、こなければ、なにもしない。やくそくした」


 「そっか、皆に伝えないどだね」


 僕たちは一旦広場へ戻った。

 レティが戻っていて、ミミズの作業が終わったらしい元ボスさんと話していた。

 そこにライシェラが加わって報告会が始まったみたい。


 僕は調理器具や簡易かまどをペタペタ触る。

 そして、坑道のキラキラから採れた石を持ちながら集中する。

 何となく建てれる物がわかる。

 ワイバーンさんの風圧に耐えれるように、屋根があってちょっとした壁があって、かまどがいくつかあって、調理具をしまう場所と、水が使える・・・。

 必要な条件を考えながら集中すると、きゃんぷじょうのすいじば?というのが思い浮かぶ。


 資材は石と木材、鉄とふうぇれ石?

 量は少ないけど、珍しい石も使うみたいだ。

 僕は大きい人に聞いてみると、石と木は用意してくれるらしい。

 鉄と、ふうぇれ石はキラキラから採れたのがあるので、石と木を待つだけだ。

 石は穴を広げた時に、邪魔になったのがあるみたい。

 ミミズは小さい石は食べるけど、大きいのは食べないらしい。

 木は、ワーグさん達が運んできてくれた。

 乾燥しているので、たぶん橋を作った時に余ったやつだと思う。


 そろった、資材に手を当てて集中すると。


 すまりかかがぃてるなぺにうどうこんかじくろのんかじなうよつひにくさいせいかつつとひをくわうょぎさ?


 よくわからない事がひらめいたけど、考えてもわからなかったので、そのまま作る。

 資材がパッと光って消えて、僕の目の前、飛竜の広間の端の所に、眩しい光と共にその建物が現れる。

 とたん、僕の体が重くなる。

 意識を失うわけではないし、疲れて眠くなるわけでもないけど、体に重い何かがまとわりついている感じだ。

 このままで動いたら、すぐに疲れてしまいそうだ。


 でもとりあえず、出来た建物を見てみる。

 屋根と広間側に壁がある、石造りの建物で。

 横から見ると壁がない。

 中にはかまどがいくつもあり、薪と鍋さえあればすぐにも料理が出来そうだ。

 しかも、僕の足場用の椅子まである。

 横一列に並んだかまどの一番端には、壁に埋め込まれた台があり、摘みを回すだけで火が付いた。

 こんろ?って名前な気がする。

 その後ろには流し台があり、じゃぐち?を捻れば水がでる仕組みになっている。

 たぶん、じゃぐち?も、こんろ?も魔法具でどこかに、ふうぇれ石が使われているんだと思う。

 さらに、食材を切ったりする台まであり、鍋や刃物をしまう場所まである。


 僕が思っていたより、大きくて便利な物が出来た。

 そう思っていると、レティ達が来る。


 「コブン、またやったの?大丈夫?」


 「大丈夫、思っだより、便利ぞう」


 「慣れてきたのかね?へぇ、これは魔道具まで埋め込んであるんだ?」


 「わがるの?」


 「そりゃやろうと思えば、物から魔力を感知するぐらいは出来るよ。・・・苦手だけどね」


 「コブン、たべものは?」


 「ここは、食べ物つぐる場所」


 僕がライシェラにそう言うと、親指を立ててスタスタ行ってしまった。

 たぶん、自分でやる気は一切ないって事なんだと思う。


 「とりあえず、コブンはこの後どうする?」


 「レティが良かっだら、田んぼの続ぎをやる」


 「アタイはいいけど、連続で使って大丈夫なの?」


 「たぶん、もう何日もねごんだりはじないと思う」


 「じゃあ、行くか」


 レティは、僕のえりを掴んで一気に飛び上がる。


 「れでぃ~!?」


 「結界の具合も見るためにも、必要な事だったのさ。コブン」


 一気に森の木々を抜けて遥か上空へ達する。

 そして、レティが何もない場所を蹴って、一気に降下する。

 風圧で何が何だかわからない。


 「ほら、着いた」


 「・・・」


 もう、なんか言葉にできないぐらい、色々とフラフラだ。

 とりあえず、深呼吸して落ち着いて、言いたい事とかを息で吐き出して、諦める。



 「・・レティ、石お願いしていい?」


 「ほいよ」


 どこからともなく、僕の前に石が落ちてくる。

 まだ整地できていない、田んぼに集中する。


 すまりなにとこるすんみいすんかじごなうよつひにちいせめたうかつてべすをくわうょぎさ?


 またよくわからない事をひらめいた。

 たぶん、疲れるよって事を、体が言っているんだと思う。

 でもやっちゃう。


 石がパッと消えると。

 目の前がパァッとひかり、整地され植込みの終わった田んぼが出来上がっている。


 「レティ、またこごで、すごし眠る」


 「はいよ」


 次に起きた時は、また空が赤くなっていた。


 「おはよ。コブン」


 「おはよう。レティ」


 「戻って飯にしよ」


 「・・・ありがとう。レティ」


 「フフ、どうしたの?急に」


 「ただ、なんとなく」


 「そっか、それより飯にしよ。さっきゴブリンが呼びに来たんだよ」


 「わかった」


 その後、戻ってまた宴会になった。

 もちろん作るのは僕だ。

 しかも、新しく住むことになった飛竜が、引っ越し肉に牛を狩ってきたため、早速炊事場が大活躍した。

 そしてその夜は炊事場で眠ってしまった。

 読んでいただきありがとうございます。

 コブン君のひらめいた言葉がイミフだと思うのですが、わからなくても全く問題ありません。




 ただ、もし気になる方がいらっしゃったら、逆から読んで頂けたらと思います。

 楽しんで頂けたら幸いです。

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