田んぼを作ります。
よろしくお願いします。
僕たちは飛竜に乗って穴の外へ出る。
そこは、村から森に入って山の方へ進んだ辺りにあって、周囲を森の木々が覆い隠すように生えている。
確かに大きな穴なのに空から見ると、とてもわかりにくい。
でも、村からは意外と近くて、あっという間に戻れた。
僕たちが降りるて、しばらくすると、誰かが伝えたのか、沢山の人達が出てきて、御輿の様に皆で尻尾を持って地下に下りる。
ちなみに、今回は最初に使った穴とは、別のルートで、穴の幅も広く天井も高い。
ここは、牛ゴリラの人が出入りしたり、ワーグ達が荷物を運び込む、搬入口だってレティが言っていた。
そして途中で広い部屋に出る。
その部屋は、僕たちの通っている天井付近の道の下に、ひらけた空間があって、そこで今運んでいる尻尾よりも太い虫がとぐろ巻いていた。
「驚いた?あれは穴掘虫だよ。ライシェラが、この辺りに居た何匹かを従えてね、その内の一匹。今じゃ穴掘りは彼らが主力さ」
「凄いおおぎいね」
「あぁ、あれで意外と頭も良いんだ」
「そうなんだ、すごいね」
そうして、ドワーフの穴がある部屋に戻ってきた。
どうやらここが村の中心らしい。
戻ってきてまずやったことは、ドワーフ達が閉じてしまった4つの像の扉を開けることだ。
元ボスさんに相談すると、扉は壊して穴を大きくしても良いそうだ。
「いいのかい?外から魔物が入ってくるかも知れないよ?」
「ドワーフ達も壁の向こうさ居るダ。オラ達には、逃げる穴が沢山の方が安心できるダ」
「なるほど、そういう考え方もあるか。じゃあ、アタイが壁を溶かすよ。皆離れてな」
そういうと、レティは壁に片手を当てる。
すると、手の触れている辺りから赤く光り出す。
周囲に熱気が広がっていく。
周りの人達がズザザザッと後退る。
そして、石が積み上げられた壁は、ドロッと溶け出した。
レティは、ドロドロに反対の手をかざし空中に集める。
それは丸くなり、段々と大きくなる。
塞いでいた壁が無くなると、空中の赤いドロドロにレティは両手をかざす、するドロドロが、一瞬で光を失いまた石に戻る。
周囲を見回すと、また何人かが、土下座している。
するとそこへ、先程の大きなミミズが、頭の上にライシェラを乗せて現れる。
ミミズの後から、何人かついてくる。
手に何かの皮で作った手袋をしている。
「お、ナイス!ライシェラ、じゃあ後は任すよ」
ミミズはライシェラをおろすと、レティが開いた穴を広げるように周囲の土を食べ始める。
まさに、ガツガツって感じだ。
ライシェラが、後から来た人達に、どの位穴を広げるか指示している。
手袋の人達は、ミミズと新しく出来た通路の壁を往復し始める。
「あれはなにじてるの?」
「あぁ、ラウドンゴは、特殊な分泌物を出すの。それは土に塗り込んでしばらくすると硬くなる。だから、ああして新しい壁に塗り込むと固まって崩落を防いでくれるのさ」
「そうなんだ、凄いね」
すると、後からさらに2匹のミミズが現れる。
「じゃあ、こっちは任せて外の畑を見に行くか。タンボだっけ?」
僕たちは何人かと一緒に外に出る。
先ずは、橋へ行ってどうやって水をまいているのか確かめる。
そこには、橋?って思うぐらい大きな橋が架かっていた。
橋の幅は馬車が4台は余裕ですれ違える程広い。
そして、橋の真ん中辺りにちょっとした塔が建っていて、1階の真ん中が、通れるように穴が開いている。
その穴の上には落とし格子までついている。
橋の下の方はアーチ型になっていて。
さらに橋脚には、水車がいくつか回っている。
「レティ、あの塔の中には、入っだ?」
「いや、ライシェラと話して、コブンが居るときの方がいいだろってなったからね」
「いっでみていい?」
「もちろん」
塔の右側の中に入るとすぐに、2階に上がれるようになっている。
上に行くと、落とし格子の巻き上げ機が2つあり。
部屋の足元には、下に攻撃できるような穴。
森側の壁には狭間までついている。
そして、もう1つの大型の巻き上げ機がある。
それは、鎖が繋いである。
「ごれは?」
「コブンが、作ったんだろ?アタイはわからないよ」
僕は一緒に来てくれた人達と動かしてみる。
すると、鎖の先の仕掛けの石が下がっていき、森側の橋が、折りたたむように巻き上げられる。
森側は跳ね橋になっていたみたいだ。
「こりゃ、すごい。小さい砦だね。今までは、ほっといたけど、使わない時は上げとく様にしようか」
僕たちはその後しばらく、落とし格子や、狭間なんかの使い方を確認した。
「なるほどね。弓を扱えるのを育てないとだ」
そんな話をして、確認が終わった後。今度は反対側の、塔の左側に入る。
そこは、すぐに下に降りれるようになっていた。
したはレティだと、少し屈まないといけないくらいの、低い部屋になっていた。
橋脚の水車から汲み上げられた水が、部屋にある水槽に1度溜まり、水路を通ってタンボの方へ送られているみたいだ。
部屋にはハンドルが1つあり、それを回すと、水路が閉まり、余った水は水槽から溢れて川に落ちる仕組みのようだ。
「へぇ、ここで止めるのか」
「そうみだい」
「いや、驚いた。外見もごついけど、仕掛けも多い橋だね」
「僕もこんな凄い橋になっでるとは、思っでなかった」
その後は、皆で田んぼに戻る。
田んぼに手を突っ込むと必要な資材がわかる。
とりあえず、石だけでいいみたいだ。
「レティ、石が必要みだい」
「石?」
レティは、そう言って、川の中の大きな石に手をかざす。
すると、遠くの石が浮かび上がって、僕の目の前でドカッとおろされる。
僕はそれに触れながら、集中する。
どこか、懐かしいような光景が浮かんだ。
すると手の平の感覚が無くなって、目の前がパッと光ったかと思うと、綺麗な田んぼが出来ていた。
ガタガタだった畦もまっすぐ伸びる直線になり、馬車が通れる程のあぜ道まで出来ている。
しかも、既に田植えも終わった状態だ。
僕は、どっと体力が減ったのを感じる、なんかもう動きたくない感じだ。
意識を失うほどではないけど、今日はこれ以上は無理だと思う。
たぶん、今ので2~3たん?位は整地できたと思う。
「アタイが言うのもなんだけど、コブンのこれは魔法だね」
「今日は、もう、無理みだい。残りは、何日がに、分げて、やる」
「あいよ、じゃあ戻ろうか。歩ける?」
「ちょっど、むりぞう、すごし、こごで寝る」
僕は草の生えたあぜ道で、横になる。
柔らかな日射しと、そよ風が気持ちいい。
隣に誰かが寝転んだ気もしたけど、まぶたは開けなかった。
そして、いつの間にか意識は沈んでいった。
「コブン!コブーン!」
ゆっくりと浮かび上がってくる。
夢は見なかった。
気付いたら、レティの顔と赤くなった空が見えた。
「おはよう、レティ」
「おはよう、コブン。尻尾食べに行こう」
「わかった」
体のだるさは嘘みたいに無くなっていた。
「歩ける?」
「もう大丈夫、元気になっだ」
レティと2人でまた地下に潜る。
ミミズ達の方も今日中には終わらないみたいだ。
僕はトカゲの尻尾食べるために降りてきたけど、当たり前のように作るのは僕だ。
60点から挽回すべく今回は、カレーにした。
トカゲの尻尾は、細かく刻んで挽肉状にした。
出来上がると、細かいお肉が入ったキーマカレーに近い感じだ。
付け合わせは平べったく焼いたパンだ。
おおむね好評だったみたいで、ニコニコしていた。
そしてもちろんそれだけで終わる訳はなくて、また人数分、沢山作ることになった。
ちなみに洞窟内での火の使用は危険だと思ったので、飛竜達の穴の方で集まっている。
あとは、ひたすら鍋を振るった。
他の人も手伝ってくれたので、だいぶ楽だった。
そして、またいつもの宴会の様になり、みんなその場で眠ってしまった。
・・・そして、その夜。それが侵入してきた。
読んでいただきありがとうございます。
いいわけですが。
橋の構造とか、作者には理解不能だったので、そんなんあり得ないでしょ。
って思われる方もいらっしゃるかもしれません。
ファンタジー的、何かだと思ってください。
城門とか塔とか橋とか水車とか、ごちゃ混ぜになった建造物でした。
コブン君のスキルと作者の妄想が明後日の方向に暴発した結果です。
理不尽な。と思った方は笑って読み飛ばして頂ければと思います。




