大きな穴です。
読んでいただきあがりがとうございます。
ガガガガガッと塞がれていた扉が開く。
それに合わせて、4つの像も元に位置に戻った。
「じゃあ行くか」
扉を潜りしばらく歩くと、後の扉がしまり始める。
「帰りは別の道をさがせって事かね」
真っ暗な道は緩やかに曲がっていて、線路も続いている。
「かぜの、におい、そと、でれる」
ライシェラも、レティも、暗闇に閉じ込められても全然焦っていない。
しばらく3人で黙々と歩く、ちなみに僕は常時駆け足だ。
すると、奥に光が差し込んでいる。
ライシェラの言うとおりだった。
光の差し込む場所に近付くと、ゴーゴーとイビキをかいて大きな何かが寝ている。
レティとライシェラは、歩調を緩めること無くズンズン進んでいく。
気配を消して通り抜けたりせず、真っ直ぐに出口を塞いでいる何かの前まで行く。
あ、蹴った。
「ライシェラ、蹴ること無いだろ?」
「これ、うるさい」
「ライシェラは、耳良いからな。まぁ、邪魔だし丁度いいか」
そんな2人のやりとりの間に、大きな黒いそれがグググッと起き上がる。
良い夢だったらしく、とても機嫌が悪そうだ。
「悪いね。邪魔だからどいてくれないか?」
それは、黒い大きなトカゲだ。
上体を起こすと紫ワイバーンさんより、大きいくらいだろうか。
「ワシはこの森の神だぞ!小さい虫め!ワシの眠りを妨げ、ただで済むと思うな!!」
「へぇ、そりゃ凄い。名はなんて言うのさ?」
「名?そう!ワシの名はティアマトじゃ!この森を統べる黒き竜じゃ!!」
黒いトカゲの声が洞窟内にこだまする。
「ティアマトねぇ?黒い竜って言うよりトカゲだろ?」
「なんじゃと!!失礼な虫め!!!その愚かさを・・あ!イタッイタイ!」
「うるさい、だまらないと、たべる」
ライシェラが、そう言いながらトカゲの足を、踏みつけるようにガシガシ蹴っている。
「イタイ、やっやめて!ホントにイタイから」
小さいライシェラの攻撃なのに、黒いトカゲはフラフラとよろめく。
「そういえば、時間的にも昼頃か?」
「えっえ!?嘘でしょ?ワシ、神様だよ?食べちゃダメでしょ?」
「知らない神なんざ、かまうことないだろ?」
「いや!知ってるでしょ?昔、襲ったヒュムが言ってたんだよ?森の黒い竜だって。有名じゃないの?」
「ふーん、それで気に入って名乗ってるのかい?」
「えーっと・・・いや、そう呼ばれていて・・・」
「まぁ、どっちでもいいや。大人しくどけるか。アタイ達の飯になるか選びな」
「クックック!生意気な虫め!ワシがひと吞みに・・・」
そう言って大きな口を空けたところに、ライシェラが跳び上がりながら、下顎を殴りつける。
グベッて声と共に、大きな体が浮かび上がり、見えたお腹を今度はレティが殴りつける。
示し合わせたかの様な見事な連携だった。
トカゲはなすすべなく吹っ飛んでいって、壁に叩きつけられる。
その拍子に尻尾がちぎれて跳ね回る。
その間にトカゲはヒィーって言いながら、器用に垂直の壁を登って行く。
でも、出口まではかなり距離があるから、大変そうだ。
「ほらほら、どうした?追いついちまうよ!」
レティが、飛び上がって後から追い上げる。
トカゲはそれまでの倍近い速さで外に逃げ出した。
「れてぃしあ、にがした」
戻ってきたレティに、ライシェラが言った。
「まぁそう言うなよ。尻尾は採れただろ?なんか面白いヤツだったから、いいじゃん」
ライシェラは、さっきまで跳ねていた尻尾を肩に抱えて、僕の方へ持ってくる。
ちなみに尻尾の断面はライシェラの身長ぐらいの太さがある。
「コブン、たべるよ」
ここには、調理場が無いので合成する。
トカゲの尻尾に触れると、なんとなく作れるものがわかる。
でも、今までのお肉の中で一番作れる料理が少ない。
もしかしたら、食材にあまり向いてないのかもしれない。
料理によく使う軽い素材は一通り持ってきているので、今あるもので作れるのは・・・。
トカゲの尻尾は、筋張っていて硬いので、煮込み系しか思いつかなかった。
トカゲ鍋にする。
「・・・」
「・・・」
二人は珍しく黙々と食べた。
肉は少し臭みがあるけど、良い出汁がでていて、美味しかった。
もっとも、僕はレティやライシェラと違って美味しく感じないものはほとんどないんだけど。
「「・・・ごちそうさま」」
「・・・コブン、出汁は悪くなかったし、美味しくない訳じゃないけど。・・・なんかこう肉が主役になりきれていない、というかなんというか・・・」
「ろくじゅってん、つぎに、きたい」
「それ!」
二人とも、鍋の汁も全て完食した後に60点って・・・低くない?
でも、この悔しい感じは何なんだろう。
「わかっだ、次頑張る」
なぜか、ライシェラにフードの上からポフポフ撫でられた。
「さて、腹は膨れたがこれどうするか」
大きなトカゲの尻尾を見ながらレティが言う。
ここは、真上に穴を掘った状態で、ずっと上に外の光が見える。
広さもかなりあり、ここからさらにあちこちに穴が掘られているみたいだ。
ちなみに、上から降ってきたのかこの辺りには苔が生えている。
「ほかの、あな、しらべる?」
「いや、数も多いし、アタイ達だけじゃ面倒だな。後でゴブリン達を呼んでこよう」
「飛竜よんで、肉はごぶの手伝ってもらう?」
「あー、だな。さすがにこんな大きな物持って飛びたくないし」
尻尾は僕たち3人で食べてもまだまだ残っている。
僕は飛竜の角笛を取り出して、ライシェラを見た後に吹く。
すると、おもちゃみたいなプワーっと気の抜けた音がする。
しばらく待って、2回吹いたけど、飛竜たちは来なかった。
「音が聞こえないのがな?」
「ちょっと目印に花火打ち上げてみるか」
レティが手から火の玉を出して真上に投げる。
それは、外に出るくらいまで上がってパーンっとはじけた。
僕はまたライシェラを見てから、笛を吹く。
ちなみにライシェラは僕が角笛を吹く時に耳をふさぐ、僕らには気の抜けた音でも、ライシェラには爆音に聞こえるらしい。
それから少し待つと飛竜達が洞窟の中に降りてくる。
さらに、紫ワイバーンさんと他にもワイバーンが何頭か一緒だ。
「ご無沙汰しております、コブン殿。それに、レティシア殿とライシェラ殿も」
「なんか、ずいぶん沢山だね?」
「これは、申し訳ありません。少々探すのに手間取ってしまい、数を集めたのです」
「なんが、ごめんなさい」
「いえ、お気になさらず。それにしてもこの様な場所があったとは今まで気付きませんでした」
紫ワイバーンさんは、周囲を見回している。
「アタイ達も、今見つけたところさ。黒いトカゲが巣にしていたみたいだね」
「なるほど、そうでしたか」
紫ワイバーンさんが地面の尻尾を見る。
もしかしたら、本体の大きさを測っているのかも。
「それで、もしよがったら、住処まで運ぶの手伝っでもらえますか?」
「もちろん構いません。ただ、少しこちらもお願いがあるのですが、よろしいでしょうか?」
「はい、もぢろんです」
「ここは、飛竜達が巣を作るのに中々、適した地形のようです。もしよかったら、我々にも一部を使わせて頂けますか?」
僕はライシェラと、レティを見る。
そういう難しいことは2人じゃないとわからない。
レティは、ライシェラを見て、ライシェラは頷いた。
「さんざん世話になってるからね。アタイ達に異論は無いけど、ここは壁何枚かで、ゴブリン達の住処とドワーフの住処につながっていてね。揉め事の可能性もあるから、後でいくつか規則を作ろう。お互いのためにね」
「なるほど、わかりました。では後ほど、こちらも入居者の応募を致します。我々がもし使うとしたら、どの程度の範囲をお許し頂けますか?」
レティは、もう一度ライシェラを見る。
「首あげてみて?」
「こうですか?」
「そっから上は出口まで、好きに使って良いよ」
「おぉ!なんと、豪儀な。ありがとうございます」
「もし、穴掘ったり人手がいるときは協力するよ」
「おぉ、それは願ってもない申し出です」
「なに、これからは支援者じゃなく、共生者だろ?仲良くしようって事だよ」
「・・・なるほど、確かにそうですな。よろしくお願いします」
前回のギミックの言い訳を書きたいと思います。
もしよかったら、お付き合いください。
像の意味は。
剣盾(戦士)、ハンマー(鍛冶)、つるはし(鉱夫)、冠(王族)
謎かけについては。
我々は封印する者。
(俺たちカギっす)
四方を見、3度利き手に迷う、6つを求める。
(上下左右に、3回、右回りに動きます。6回で正しい位置にしてね)
矛、盾。右に剣、左に褒賞
(戦士は、右に鍛冶、左に王がいる位置です)
導く者。全ては・・・。
(王は、見ているようで誰も見てません)
闇の住人。右に道具。
(鉱夫は、右に鍛冶)
石の使者。左の石から。
(鍛冶は、左に鉱夫)
以上を踏まえますと。
△冠
◁剣盾 ▷つるはし
▽ハンマー
↓
△冠
▶剣盾 ▼つるはし
▶ハンマー
御覧の端末によっては正しく表示されない可能性がありますが。
上の状態から下の状態に動かします。
黒三角が動かした像です。
全て右回りなので、剣盾が2回、ハンマーが3回、つるはしが1回の計6回で完成です。
え?イミフって思った方はすべて忘れて頂いて、何ら問題ありません。
なぜこの様なギミックを作ったかといいますと、製作者の鉱夫達からみた、ドワーフ社会のあれこれを表現しようと思い、明後日の方向へ突っ走ってしまった結果です。
わかりにくいギミックに最後まで付き合っていただいてありがとうございます。
少しでも楽しんでいただけたなら幸いです。




